今週のレンジ予想[毎週月曜日 更新]

今週のレンジ予想
9月22日 〜 9月28日
ドル/円
146.00〜150.00
ユーロ/円
171.00〜175.50
豪ドル/円
96.00〜99.00

先週のFOMC会合では、大方の予想通り0.25ポイントの利下げを決め、声明文でも、さらにパウエル議長自身も「労働市場の良い時代は終わった」と宣言し、政策の軸足をインフレから雇用に移す姿勢を鮮明にしました。FOMCメンバーが予想する政策金利の推移であるドットチャートでも、年内残り2回の会合全てで0.25ポイントの利下げが示唆されていました。ただ、翌日の失業保険申請件数でそれを打ち消すような数字が示されたのは気になるところですが・・・・。この決定にサマーズ元財務長官は、FRBの政策は緩和的過ぎる方向に傾いているとの考えを示し、米経済にとって最大のリスクは「雇用ではなくインフレにある」と、異議を唱えています。サマーズ氏はブルームバーグ・テレビジョンで「すべての金融情勢を踏まえると、現時点の政策は一般に見なされているよりもやや緩めだとみている」と述べ、「リスクのバランスは、失業よりもインフレの方にやや傾いている」と語っていました。FOMC声明文やパウエル議長が「リスクはインフレよりも雇用にある」と判断したこととは全く逆の見方です。サマーズ氏は「この状況で最大のリスクは、2%のインフレ目標とのつながりを失い、インフレ心理が根付いた国になることだ」と述べ、さらに「金融政策とその発信という点で、やや緩めの姿勢にあると思う」とした上で、「ただし、あくまで程度の問題だ」と付け加えていました。また、サマーズ氏は「もし自分がパウエル議長の立場にいるなら、最も大きな懸念はインフレの側にある」と話していました。

今日9月22日は「プラザ合意40周年」にあたります。筆者も当時は現役の為替トレーダーでしたので、その時の状況は今でも鮮明に記憶に残っています。日本では当時の大蔵大臣は後に首相となる竹下氏でしたが、竹下氏はマスコミに気づかれないようにと、ゴルフに出かけるラフな格好で羽田から飛び立ったことは有名な話です。NYのプラザホテルに、日米に加え、独英仏の財務相・中央銀行総裁が極秘に集まり、「ドル高修正で合意」したのが「プラザ合意」で、これがのちの「G7」、「G20」に発展しました。当時のドル円は242円台でしたし、まだユーロも誕生していません。日経平均株価は1万2000円台でした。「プラザ合意」以降、世界で最初に開いた主要市場である東京市場ではドル売りが殺到し、世界中の市場参加者がドル売りに走りました。ドル円は棒下げし、短期間で200円を割り込み、さらに190円も割り込み、「円高不況」といった文字が新聞紙面の一面を飾ることになります。こうして見ると、やはり40年というのは長い年月であり、この間様々な事件が起きていることに気が付きます。今度FOMCメンバーに入った米経済諮問委員会(CEA)のミラン氏は、トランプ大統領に「マールアラーゴ合意」の必要性を説明した人物だとされており、再び「第二のプラザ合意」があるのか気になるところです。

今週の注目材料

  • 9/22(月)
    日 自民党総裁選告示
    欧 ユーロ圏9月消費者信頼感指数(速報値)
    米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、パネル討論会に参加
    米 ムサレム・セントルイス連銀総裁講演
    米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
    米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 9/23(火)
    日 自民党総裁選立候補者の共同記者会見
    独 独9月製造業PMI(速報値)
    独 独9月サービス業PMI(速報値)
    欧 ユーロ圏9月製造業PMI(速報値)
    欧 ユーロ圏9月サービス業PMI(速報値)
    英 英9月製造業PMI(速報値)
    英 英9月サービス業PMI(速報値)
    米 9月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)
    米 9月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)
    米 9月S&Pグローバル総合PMI(速報値)
    米 経常収支(4−6月)
    米 9月リッチモンド連銀製造業景況指数
    米 8月中古住宅販売件数
  • 9/24(水)
    日 自民党総裁選立候補者の討論会
    豪 豪8月消費者物価指数
    独 独9月ifo景況感指数
    米 8月新築住宅販売件数
    米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
  • 9/25(木)
    日 日銀金融政策決定会合議事録(7月30・31日分)
    独 独10月GFK消費者信頼調査
    米 4−6月GDP(確定値)
    米 8月耐久財受注
    米 8月中古住宅販売件数
    米 グールズビー・シカゴ連銀総裁講演
    米 バー・FRB理事講演
    米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
    米 新規失業保険申請件数
  • 9/26(金)
    日 9月東京都区部消費者物価指数
    米 8月個人所得
    米 8月個人支出
    米 8月PCEデフレータ(前月比)
    米 8月PCEデフレータ(前年比)
    米 8月PCEコアデフレータ(前月比)
    米 8月PCEコアデフレータ(前年比)
    米 9月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
    米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
    米 ボウマン・FRB副議長、討論会に参加
  • 9/27(土)
  • 9/28(日)
 
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。

・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。

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外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。