内閣発足時としては歴代第五位と高い人気を誇った高市首相ですが、台湾有事に関する答弁を契機に、日中関係が急速に悪化して来ました。「存立危機事態」という認識を巡り、中国は日本に対する態度を硬化させています。中国外務省は、日本への渡航者に対して注意を喚起する声明を出し、同教育省も日本に留学を予定している学生に対して、「日本社会の治安は不穏で、中国国民を対象とした違法犯罪が多発している」と、事実とは異なる内容を挙げ、慎重に検討するよう通知を出しています。
さらに中国共産党機関紙の人民日報は17日付の論説で、高市首相の台湾に関する誤った発言によって、「日本の右派勢力に根付く、極めて誤りかつ極めて危険な歴史観と戦略観が露呈した」と指摘しました。国際社会に対し、「日本の戦略的な軌道への高度の警戒を保つよう」呼びかけました。この論説は「鐘声」の署名で掲載されており、中国語で「中国の声」を意味する言葉と同じ発音とのこと。中国政府の外交方針を発信する際によく用いられ、「日本の指導部が軍国主義的思考の復活を図っている」と非難し、「台湾の安全保障を日本の存立と結びつける発言は、危険な戦略的転換の現れだと警告した」と論じています。これに対して日本側は、木原官房長官が17日の記者会見で、観光・留学への注意喚起について「人的交流を萎縮させるかのような発表は首脳間で確認した戦略的互恵関係の推進、建設的かつ安定的関係の構築、そういった大きな方向性とも相いれない」と指摘。中国側に適切な対応を求めたことを明らかにしました。その上で、「引き続き状況を注視し、適切な対応を行う」と述べながらも、打開策は見えていないようです。今後、さらに両国の関係が悪化するようだと、高市政権にとっても想定外の障害になりかねません。
週明けの東京債券市場では10年債が続落し、長期金利は一時「1.735%台」まで上昇し、およそ18年ぶりの高水準を記録しています。米国の長期金利が上昇した流れを引き継いだことと、政府が近く策定する経済対策の規模が17兆円台になるとの報道を受け、国債増発への懸念から売りが出ています。政府の経済対策規模が投資家に警戒されており、不透明感から年限の長いところに売り圧力がかかっているとの指摘もあり、30年物超長期債は「3.26%台」まで上昇し、イールドカーブがスティープ化しています。
一方、ドル円は154円台半ばで堅調に推移しています。円金利の上昇は、本来は円買い要因となりますが、今週は「日本の10月の消費者物価指数(CPI)」と、「米9月の雇用統計」の発表を控えており、「動けない」というのが本音といった状況です。個人的には雇用統計が余程下振れしない限り、ドル円は再び155円台をテストすると予想しています。20日には、小枝日銀審議委員が新潟県金融経済懇談会で講演を行います。同審議委員の講演は、就任後初めてのこととなり、現状の政策金利に対するスタンスは不明です。タカ派寄りの民間委員が増えている中、どのような講演内容を行うのか、こちらも注目です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
