160円台半ばまで進んだドル円について、「今日のアナリストレポート」で、「介入警戒感がますます高まった」として、警戒する必要があると書きましたが、朝方、財務省の三村財務官は、為替市場で160円台まで円安が進んでいることに関し、円のさらなる下落を抑えるため断固たる措置が必要になると、市場をけん制しました。三村氏は、「原油先物市場に加え、為替市場においても投機的な動きが高まっているという声が聞かれる」と指摘。「この状況が続けばそろそろ断固たる措置が必要になる」とし、「われわれの照準は全方位だ」と述べました。財務官が「断固たる措置」と強い表現を使ったのは、今朝の発言が初めてで、さらに円安が進めば実弾介入が近いことを想起させる発言だと受け止めています。また、「この状況が続けば」と、「そろそろ」といった条件付きながら、「断固たる」という強い言葉を使ったことも、実弾介入を連想させます。ドル円は東京市場の朝方、WTI原油先物価格が一気に103ドルまで上昇し、日経平均株価も2800円ほど下げ、5万500円台まで下落したことを受け、一時は先週末のNY市場での円の最安値を超える、160円46銭近辺までドル高が進みました。しかし、上記発言が伝えられるとドル売りが優勢となり、159円73銭辺りまでドルが売られています。
中東情勢の緊張が続く中、財務省は売り圧力がかかる円相場を支えるため、原油先物市場に介入する可能性も探っていました。この市場への介入が実際に出来るのかどうか、あるいは出来たとしてもその効果を巡り専門家の間でも意見が分かれているようです。複数の市場関係者によると、同省は国内主要銀行に接触し、原油先物市場への介入に関する見解をヒアリングしたと言われています。ホルムズ海峡が実質的に封鎖されていることで原油価格が急騰し、これが震源地となり、円売り、株式売りにつながっています。言い換えれば、米国とイスラエルがイランを攻撃したことが円売りにつながっていることから、仮に市場で実弾介入を実施したとしても、2024年時に実施したほど「介入効果」は出ないのではないかと見る向きもあります。それでも今朝の財務官の強い口調の発言は一定の効果があったと思われます。ただ、根本的には原油価格が元の60−70ドル台に戻り、安定する必要があります。原油の専門家からは、仮にホルムズ海峡の封鎖が解かれても、中東産油国の減産や生産設備の損壊等により、「原油価格が元に戻るには数か月から半年はかかる」と言った声も聞かれます。今週は、円がどこまで売られるのかと同時に、実弾介入がどの水準で実際されるのかが焦点になります。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
