ドル円は155円から157円台で、神経質に動くと見ています。先週のGW期間中には、政府・日銀の介入と思われるドル急落場面が複数回観測され一部には、「160円台であった介入水準が、157円台まで引き下げられたのでは」といった見方も浮上していました。今朝は、トランプ大統領がイランからの回答を「受け入れられない」とSNSに投稿したことで、ドル円は上述の介入水準かもしれない157円台を回復しています。WTI原油価格も再び100ドル台に乗せています。さらに600円を超える上昇を見せていた日経平均株価も午後には300円程下落に転じており、「有事のドル買い」といった雰囲気になっています。ボールはイラン側にありました。トランプ氏は、イランがホルムズ海峡の通航を認め、米政府が今後1カ月以内にイラン港湾への封鎖を解除し、その後に核協議を行うことを提案していました。遅れていたイラン側の回答は、「イランは高濃縮ウランの備蓄の一部を第三国に移送することを提案し、核施設の解体は拒否した」模様です。
筆者は、先週北京でイランのアラグチ外相が中国の王毅外相と会談を行い、中国側も正式にホルムズ海峡の開放を求めたことで、同海峡の開放は近いと予想していましたが、事態は変わらないことになります。ただそれでも、今週14−15日には、トランプ大統領が習近平主席と対面での首脳会談を行います。まだ事態の改善が期待できるのではないかと思っています。イランにとって、中国の意向は無視できるものではありません。米軍との戦いにおいて、イランがここまで持ちこたえているのも、中国の衛星システムを全面的に利用しているからだといった見方もあります。米中首脳会議で、米国側からどのような要請がなされるのか注目されます。トランプ氏も「習氏はいいやつだ」とか、「彼とはうまくやっていける」などど、緊密な関係であることをさかんにアピールしています。イラン攻撃からすでに2ヵ月が経過し、3ヵ月目になろうとしています。今回の首脳会談が戦争終結に向けた最大のヤマ場になる可能性もあると予想していますが、どうでしょう。
4月30日、ドル円が160円台半ばを超えた水準で市場介入に踏み切った政府・日銀は、この日だけで5兆円規模の円買いを実施したと見られていましたが、実際の介入額は意外に少なかったようです。政府・日銀が実施した為替介入額は約3兆8600億円と推計されると、日銀が8日公表した当座預金増減要因の「確報値」を基に算出した数字は示していました。同予想値からの推計では、先週の時点では約5兆4000億円とみられていましたが、実際には1兆5000億円のほど少ない額でした。日銀は当座預金増減要因について、「予想」「速報」「確報」の3段階で公表しており、「予想値」と「確報値」の差で判明したものです。下値は底堅いものの、157円台から上では再び介入の可能性が高まり、このまま一気に円売りを加速させるわけにもいきません。日米通貨当局者同士の会談が注目されます。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
