政府は近く策定する経済財政運営の指針「骨太の方針」で、高市政権が目指す「強い経済」の実現に向け、「適切な金融政策運営が行われることも非常に重要」との文言を明記する方針だと報じられています。ブルームバーグは独自に入手した「骨太の方針原案」について、「日銀による『適切な金融政策運営』を巡っては、昨年の方針にはなかった『非常に重要』との文言が加わった。今後の議論で原案が修正・変更される可能性もある」と伝えています。政府が足元で進行する円安を何としても止めたいと考えていることは論を待ちません。原油高の影響もあり、足元の物価上昇は国民にとって極めて大きな問題で、そのため2027年4月から2年間に限り、「食品消費税を1%」に下げる案が決まりそうな状況です。円安が一段と進めば、特例期間をさらに延長しなければならなくなる可能性もあります。そのような状況の中、今後予想される日銀の緩やかな利上げ政策をけん制するような文言が加わりそうで、これは「円安要因」と捉えることができます。高市首相が利上げに難色を示していることは広く知られているところですが、その影響がこのような「骨太の方針」にも表れてきたことに、やや驚きです。
今朝のコメントで、米国とイラン双方による攻撃は先週25日に始まったことに触れましたが、今朝そのあとに、双方がホルムズ海峡やその他の懸案を巡る和平協議が今週再開されるのを前に、「相互の攻撃を停止すること」で合意したようです。ブルームバーグは、「匿名を条件に取材に応じた米政府当局者は、今月合意した覚書に関するあらゆる事項について、実務レベルの協議を継続する予定だと述べた。その上で、双方は当面は軍事行動を控え、船舶は自由に航行できるようになると語った」と報じました。一時は、トランプ大統領が、今後の状況によってはイランに対する大規模な攻撃もあり得るといった発言も紹介しましたが、急転直下、この小競合いがさらに拡大することはなさそうです。停戦協議が長引けば長引くほど、トランプ大統領にとっては不利だとの見方もあります。最大の理由は11月の米中間選挙です。主要世論調査の平均では、与党共和党の支持率は、野党民主党よりも「8ポイントも低い」という結果が示されています。このままでは、共和党は下院で民主党に多数派を奪われるだけではなく、確実と見られている上院での多数派維持も不透明になってきました。この劣勢を挽回するには、イランとの「恒久的和平合意」は不可欠です。さらに、2月の同国へ攻撃で、米国が使った戦費は、最初の2ヵ月だけで720億ドル(約12兆円)との報道もあります。同時に、イラン攻撃が米国の国益にとって「マイナス」と答えた割合は、「プラス」と答えた割合を上回っており、国民の支持を受けていないことも報告されています。どうやら、残された時間がないのはイランではなくトランプ氏のようです。今週は「米6月の雇用統計」が発表されますが、3日(金)は「独立記念日の振り替日」で祝日となり、前日2日(木)に発表されますので、ご注意ください。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
