先週は米金利引き上げ時期の後退見通しからドル安が進み、円は88円14銭の年初来高値を更新しました。今回の円高局面はそのスピードも緩やかで、加熱感も観られずじわじわと円が買われる展開でした。その後週末の雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想ほど悪化してはいなかったことからドル円では急激なドル高円安に振れ、主要通貨はドル安に転じ、円全面安の展開となりました。豪ドル、カナダなどはは対円で2週間ぶりの水準にまで強含んでいます。
円は長期スパンで観た場合は依然としてドル安円高です。直近の数値では92円30−50に長期「週足」の抵抗線が位置しています。逆に言えばこの水準を上抜けしない限りドル下落トレンドは変わらないと言えます。今回の雇用統計で89円台から90円台半ばまで押し上げられたドル円ですが、これまではことごとく反落させられています。その背景は円自体の材料ではなく、ドルそのものに材料があったわけです。つまり、米経済の回復見通しの後退から利上げ実施は遅れるというものです。利上げがない以上「ドルキャリー」の継続は変わらず、市場はドル売り高金利通貨買いのいわゆる「リスク選好」を加速させます。加えて先週まではギリシャ問題もありユーロも買えず「消去法」で円がゆっくりと買われたとというわけです。
上記92円台半ばを上抜けするには雇用が最も重要な要素であることは言うまでもありません。バーナンキ議長も先の議会証言で労働市場に最も注目していると述べています。今回の雇用者数については市場が「寒波の影響」を過大評価した面もありますが、クルーガー米財務次官補は、「雪の影響がなければプラスに転じていた」との見方も示しています。その意味では雇用がプラスに転じるのかどうかが、今後の最大の注目点になります。
一方、円サイドの材料としては日銀が追加緩和を実施する可能性も指摘されています。昨年12月には新型オペを発表し、円安にうまく「誘導」できた実績があります。4月にはその新型オペの資金供給を拡大させるとの見方が有力で、こちらも円の短期金利を低下させる効果が見込まれることから意識しないわけにはいきません。米雇用者の「プラス転換」と円金利の低下がセットになれば重要な値位置である92円半ばを抜ける可能性も出てきます。
豪ドル円は再び82円台の半ばまで上昇してきました先週RBAの利上げ後は一旦売られたものの、やはり金利差はボディーブローのようにじわじわと効いてきました。日足では右した下がりのトレンドラインを上抜けし、上昇を示唆ししていますが、前回2月22日に抜けなかった83円台の乗せることができるかどうかポイントになります。今後のオーストラリア国内での資源開発の拡大を考えれば、85円を抜けてくると思いますが、そのためには再び80円台を割り込まないことが前提です。
外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算20年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書。
