今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2011年12月1日(木)




おはようございます。



ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 東京時間夜9時過ぎ、日米欧の6中銀がドル資金の供給を拡充するため
    協調対応策で合意との報道に、各市場はリスク資産が急騰。
    欧州債務問題で欧州の銀行がドル資金調達に難航していることに対応したことと、
    中銀からの調達コストも0.5%下がることを好感。
  • 為替市場ではリスク通貨の代表である豪ドルが急騰。この日の安値から
    約400ポイントも上昇し、対ドルでは1.03台前半まで上昇。対円でも
    一時80円を付ける。
  • ユーロも急反発。合意内容が伝わると、買い戻しが活発となり一気に
    1.35台前半まで上昇。安全通貨の「ドルと円」が売られる展開に。
  • 歩調を合わせるかのように、中国人民銀行は預金準備率の0.5%
    引き下げを発表。金融引き締めから緩和政策への第一歩を踏み出した模様。
    また、タイ中銀も金融緩和に踏み切る。
  • 日米欧中銀によるドル資金供給の拡充で、リスク資産の株式は急反発。
    NY株式市場は全面高の展開となり、ダウは490ドル上昇し、一気に
    1万2000ドル台を回復。民間雇用統計が大幅に好転したことも株価上昇に拍車。
  • 一方、安全資産の債券は続落。10年債利回りは2%台後半まで上昇。
  • 金はリスク資産の一環として買われ、前日比31ドル高と大幅に続伸。
    原油価格も続伸し、引け値で100ドル台に乗せる。
  • 11月ADP雇用者数 → +20.6万人
  • 11月シカゴ購買部協会景気指数 → 62.6
  • 10月仮契約住宅販売指数 → +10.4%



ドル/円77.29 〜 78.00
ユーロ/ドル1.3299 1.3533
ユーロ/円103.73 〜 104.72
NYダウ+490.05 → 12,045.68ドル
GOLD+31.40 → 1,750.30
WTI+0.57 → 100.36ドル
米10年国債+0.091 → 2.079%


本日の注目イベント

  • 豪   豪10月小売売上高
  • 欧   ドラギ・ECB総裁講演
  • 欧   ファンロンパイ・EU大統領講演
  • 欧   ユーロ圏11月製造業PMI(改定値)
  • 英   英11月製造業PMI
  • 米   週間失業保険申請件数
  • 米   11月ISM製造業景況指数
  • 米   ロックハート・アトランタ連銀総裁講演
  • 米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演








ドル資金の調達が容易になり、金融不安が解消に向かう可能性があるとの見方から豪ドルを中心に各通貨が大きく値を飛ばしました。


今回の発表は事前に周到に準備されていたと見え、NY時間の朝方に発表がありました。


日銀も夜中に緊急の金融政策決定会合を開き、夜中の11時から白川総裁の会見が行われました。


考えてみれば、今週初めにEUのファンロンパイ大統領が訪米してオバマ大統領と会談しています。


この時、オバマ大統領は「米国としても一定の支援をする準備がある」と具体的な内容は示さなかったものの、


「含み」のある言い方で支援を口にしています。


既に、この段階で日米欧プラス、イギリス、カナダ、スイスの中央銀行間で対応策が決まっていたものと思われます。





今回の措置は欧州債務問題が一向に収まる気配が見えないなか、イタリア以外でも財政的に健全な国の国債までも売られる展開


に発展し、域内の国債を大量に保有する欧州銀行の信用リスクが急速に高まってきたことに対応したものです。


国債の下落により欧州の銀行の財務内容が悪化したことで、市場でドル資金を一時的に貸す銀行や機関投資家にとって、


いわゆる「カウンターパーティー・リスク」が高まり、その結果ドル資金を調達する側のコストが急激に高まってきました。


とりわけ、格付けの低い銀行にとっては、より多くのプレミアムを支払らわなければ調達に困難をきたす状況だった様です。


今回の決定でこれまでより提供する担保の基準が緩和され、さらにその際の金利も0.5%引き下げられたことで、


金融システムの健全な運営にプラスになると考えられます。





欧州債務問題の拡大はこれだけではなく、世界的に景気減速感をもたらしています。


オーストラリアは先月既に予防的な利下げに踏み切りました。


また、昨日は過去3年間金融引き締めを続けてきた中国も、ついに緩和へと舵を切り始めています。


ブラジルなど新興国でもその動きは始まっており、「欧州危機は世界的な景気後退を招く」との認識が急速に広がっています。





しかし冷静に考えて、今回の中銀によるドル資金供給策は欧州債務危機の解決に繋がるのか疑問が残ります。


金融システムの安定には繋がりますが、イタリア、スペインなど高債務国の財政改善には直接的には繋がりません。


今後必要なことはこれまでにも述べてきたように、


ドイツがユーロ体制を維持していくためにどこまで痛みを分かち合えるかにかかっています。


欧州金融安定化基金(EFSF)の大幅増額やユーロ共同債の発行に向けた枠組み、


さらにはECBによる域内国債の大量購入などの行動を起こし、


なによりも、イタリア国債など債券価格の安定化が最重要課題です。


イタリア、スペインなどの国債にデフォルトの可能性がなくなれば、むしろ高利回りから「投資妙味」が増し、投資対象として見直される


状況も考えられ、欧州の債務問題に光が見えてくると思います。


欧州債務問題をきっかけに世界的規模で不安が起きていることにECB以外で5ヵ国の中央銀行が対応に乗り出しました。


今度はドイツを中心に欧州域内で解決に向けた強いメッセージを発し、行動を起こす時です。





上述のように、ユーロドルは今後欧州が積極的な解決に向けていた行動をとれば買い戻しがさらに進み、1.37台程度まで反発する


可能性はありますが、市場はまだユーロの先行きに対して不安感を払拭できる状況とは見ていないようです。


ユーロドルは1.35台前半まで反発し、これまで抜けきれなかった1.34台半ばは抜いています。


昨日の上昇でショートカバーはかなり進んだと思われますが、来週の欧州首脳会談までは荒っぽい相場展開が予想されます。


ユ−ロドル、ユーロ円などのポジションは値幅のぶれが大きいことからポジションを膨らませないよう注意が必要です。





ドル円については予想通り78円台は重かったということです。


77円台前半までの下落は今回のドル資金供給策の影響もあったと思われますが、ここから大きく値を下げる可能性は少ないと


観ています。


昨日発表されたADP雇用者数や、前日の消費者信頼感指数など米経済指標の改善傾向は安定的と観られます。


また、10月末の政府・日銀の介入はその後も「覆面介入」を実施していた可能性が発表され、その規模も1兆円を超えていたようです。


「75円は死守する」というメッセージを発信しているともとれそうです。


77円台前半には各時間足でサポートポイントが集中しています。


77円前後ではロングのタイミングを模索する動きがあると予想しています。












What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で 「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。
為替はさまざま事が原因で動きます。
その動いた要因を確認する意味で 「What's going on ?」というタイトルを付けました。


日時 発言者 内容 市場への影響
11/2 バーナンキ・FRB議長 「失業率は高すぎる。経済は望まれるような進展を見せていないとの見解に心から賛同する」FOMCで追加緩和を見送った後での記者会見で。     ----   
11/2 メルケル・独首相 「国民投票はまさにギリシャがユーロ圏に留まりたいかどうかをイエスかノーで問うものだ」記者団に。     ----   
11/11 イエレン・FRB副議長 欧州の債務危機を鎮静化させるためには「欧州指導者の力強い行動が必要」講演で。     ----   
11/11 シュタルク・ECB理事 「政策金利がゼロ%に近い米国や英国、スイスの中央銀行と比べてECBには政策金利を動かす余地がなお残されている」スイス紙とのインタビューで。     ----   
11/14 フィッシャー・ダラス連銀総裁 「われわれが向かっている方向は明るい」「一段の緩和を予想しないことにさらに違和感が無くなっている」講演で。     ----   
11/16 メルケル・独首相 「ドイツはユーロが維持、防衛されることを市場と世界に示す必要性を認識しており、国家主権の一部を移譲する用意がある」ベルリンの共同記者会見で。     ----   
11/16 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「金利は既に低水準にあるため、さらなる政策行動は経済に全く影響を及ぼさない、というのはよくある思い違いだ。実際に、統計分析ではその逆が示されている」講演で。     ----   
11/17 ダドリー・NY連銀総裁 「仮に追加的な資産購入が適切な措置ということになれば、その多くをMBSを通じて実行することは理にかなっている」」講演で。     ----   
11/24 メルケル・独首相 「金利のかい離を無視することは、全く誤ったシグナルとなる。金利差はどこで一段の取り組みが必要かを示す指標だからだ」独仏伊トップ会談後の記者会見で。     ----   

※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものでは、ございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。 本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。


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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和