今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2012年11月16日(金)




おはようございます。



ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は安倍晋三自民党総裁の講演での発言を受け一段高。
    海外市場では約6ヵ月半ぶりに81円46銭までドル高円安が進み、
    円が全面安。さらに追加緩和が実施されるとの観測が強まる。
    ドル円はもみ合い後やや値を下げたが81円台は維持。
  • ユードルも反発。ユーロ円の買い戻しが旺盛で、欧州景気の鈍化を
    示す経済指標にも関わらずユーロドルは1.28台まで上昇。ユーロ円も
    一時は104円ちょうどまでユーロ高に振れる。
  • 株式市場はもみ合いの末結局マイナスで引け、これで4日続落。ウォルマート
    の利益見通しが市場予想を下回ったことを嫌気しダウは28ドル安。
  • 失業保険申請件数の悪化などの経済指標に反応し、債券相場は堅調。
    10年債利回りはさらに低下し1.59%台を割り込む。
  • 金、原油はともに反落。
  • 新規失業保険申請件数 → 43.9万件
  • 10月消費者物価指数 → +0.1%
  • 11月NY連銀製造業景況指数 → −5.22
  • 11月フィラデルフィア連銀景況指数 → −10.7



ドル/円81.06 〜 81.46
ユーロ/ドル1.2752 〜 1.2802
ユーロ/円103.58 〜 104.00
NYダウ−28.57 →12,542.38ドル
GOLD−16.30 →1,713.80ドル
WTI−0.87 →85.45ドル
米10年国債−0.002 →1.589%



本日の注目イベント

  • 独   独・メルケル首相、ロシアのプーチン大統領と会談
  • 欧   ユーロ圏9月貿易収支
  • 欧   コスタ・ポルトガル中銀総裁講演
  • 米   10月鉱工業生産
  • 米   10月設備稼働率
  • 米   ロックハート・アトランタ連銀総裁講演





ドル円は一段と上昇し、NY市場では一時81円46銭と、今年4月以来約4ヵ月半ぶりの円安水準まで


円が下落しています。


円は対ドルではここ2日間で約1円30銭程度円安が進み、対ユーロに至っては3円50銭程度円安が進行


しています


ユーロ圏の不透明感が払拭できない中、対ユーロでの下落率が高いのはやはり投機的な「ユーロ円ショート」


が積み上がっていたことが背景かと思われます。





円は、14日の野田総理の「16日に解散します」という発言をきっかけに売られ始めました。


この時の相手は、安倍自民党総裁でした。


そして昨日の昼過ぎ、急速に円売りが強まったのも、安倍総裁の講演がきっかけでした。


安倍総裁は都内で講演を行い、自分が総理になった際には日銀と協力し金融緩和を積極的に進めていく、と


発言し、さらに市中銀行が日銀に預けている預金に0.1%の金利を付利するのではなく、ゼロかマイナスでも


いいと発言したことで、ドル買い円売りが加速しました。





ドル円は80円30銭近辺から半ばまで上昇し、オバマ大統領再選前に記録した直近の高値である80円68銭を


抜けると上昇の勢いも増し、80円95銭まで円が売られました。


その後欧州市場に入っても円売りの勢いは止まらず、節目の81円にあっさり乗せ、NYでは81円46銭まで


ドル高が進み、それ以降、もみ合いながらも一度も81円台を割り込んではいません。


それにしても、安倍総裁の発言がこれほどまでに市場に影響を与えるのは想定外でした。


かつて大蔵大臣(現財務大臣)や日銀総裁の発言で市場が動いたことは何度もありましたが、現時点では野党第一党


の総裁です。


市場は完全に安倍総理を織り込んでいることになります。





これまでに何度も指摘してきました80円台半ばと、80円台後半の、重要な水準が抜けたことで、テクニカル上では


「週足」の「120日線」も、一目均衡表の「雲」も上抜けをし、次のターゲットは85円台前半にある「200日線」


ということになります。


ただこれも「週足」であるため、ローソク足が完全に抜け切るには来週週明けのオセアニア市場で81円台から


取引が開始される必要があります。


現在の水準では81円台を上回ってはいますが、まだ「雲」に絡(から)まっている段階です。


この上抜けが完了すると、ドル円はさすがに上昇傾向がさらに高まることが考えられます。


その結果、昨年10月31日に記録した75円台は「大底」だった可能性が出てきます。


少なくともテクニカル的には上昇傾向を確認したことになります。


その意味でも今日の東京市場と海外市場での動きが注目されます。





テクニカル上ではドルの底値を確認する可能性が高まってはいますが、この状況は今年の2月中旬から


3月中旬にかけて、ドル円が急速に反発して84円18銭までドル高が進んだ状況にも似ています。


日銀が予想外の追加緩和に踏み切り「バレンタイン・ギフト」とも言われたあの状況です。


チャートでは重要な「52日線」を抜け84円台まで一気に8円ほど上昇しましたが、結局「120日線」に


捕まってしまい、時間をかけながらゆっくりと77円台まで落ちて行きました。





今回のドル円の上昇も、同様なことが起こるのかやや疑心暗鬼のところもあります。


特に、昨日は新規失業保険申請件数など、米経済指標は軒並み悪化してしており、米株式市場ではオバマ大統領


再選以来株価が下落しており、この間の下げ幅は775ドルにも達し、率にして5.85%も下落しています。


その結果米債券は買われ10年債利回りは低下し、昨日の水準は1.59%程度まで低下しています。


ご承知にように、米金利とドル円には強い相関関係があり、米金利が低下しながらドル高円安が続くとも


思えません。


また、日本の株式市場も昨日は大幅高で、NYダウの大幅安には逆行しています。


昨日もNYダウは28ドル安であったことから、本日の日経平均の動きも注目されます。


昨日と同様、円安を好感して上昇するのか、あるいはさすがにNY株の下落に引っ張られるのか見て行きたい


ところです。





安倍総裁の発言を手掛かりに円安機運が優勢な状況です。


上述のように、このまま一気に円安傾向に進むかどうかはまだ判断できません。


米国では12月末で「ツイスト・オペ」の期限が切れるため、再び「追加緩和」を行うのではないかとの見方も


あります。


バーナンキ議長は昨日の講演で、回復基調が鮮明だと思われる住宅市場についても「住宅の回復は程遠い」といった


発言をし、慎重姿勢を崩していません。


米「財政の崖」問題と、日本の「政権交代・追加緩和」との綱引きになっており、今の所、後者が優勢な状況と


いったところです。


綱引きの動きをもうしばらく注視したいと思います。






14日の国会での党首討論をビデオで観ましたが、近頃の「お笑い番組」より遥かに


見応えがありました。


解散時期を探ろうとした安倍総裁に対して、野田総理は条件を飲むなら「16日に解散します」と発言。


安倍総裁は想定外の言葉にやや戸惑った表情を浮かべていました。


こちらの「綱引き」は、どうやら野田総理の勝ちだったように感じました。















What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で 「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。
為替はさまざま事が原因で動きます。
その動いた要因を確認する意味で 「What's going on ?」というタイトルを付けました。


日時 発言者 内容 市場への影響
11/1 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「FRBは失業率が7.25%に低下するまでMBS購入を継続し、失業率が6.5%に下がるまでFF金利の誘導目標をゼロ近くに維持すべきだ」講演で。 -----
11/5 レーン・欧州委員 「12日にブリュッセルで開催されるユーロ圏財務相会合でギリシャに関する決定を行う必要がある」G20後の記者会見で。 -----
11/6 ラホイ・スペイン首相 「支援要請でスペイン国債の利回りがどれだけ下がるか知る必要がある」スペインのラジオ局で。 -----
11/7 ドラギ・ECB総裁 「最新のデータは他国での展開がドイツ経済に影響し始めていることを示唆している」フランクフルトの会議で。 ユーロドル1.28台前半から→1.27台半ばに
11/8 ドラギ・ECB総裁 「決定は完全にスペインとスペイン政府次第だ。ECBは事前にいかなる保証もできない」スペインの支援要請に関して。  ----- 
11/12 サマラス・ギリシャ首相 「われわれは一層の団結力を発揮し、決定的な2歩目を記した。これからわれわれが目にするのは回復と成長だ」2013年予想案を可決して。  ----- 
11/12 ユンケル・ユーロ圏議長 「ギリシャは行うべき事柄の多くを実行し、実現した野心的な改革プログラムと、2013年予算は印象的だ」ブリュッセルで記者団に。  ----- 
11/13 オランド・仏・大統領 「(ユーロ圏やIMFは)支援を加速すべきだ」ギリシャ支援について記者会見で。  ----- 
11/13 イエレン・FRB副議長 「ゼロ金利政策を2016年初めまで継続する可能性もある」カリフォルニア州バークリーでの講演で。  ----- 

※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。 本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。


What's going on ? バックナンバー 2009年(PDF)

What's going on ? バックナンバー 2010年(PDF)

What's going on ? バックナンバー 2011年(PDF)


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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和