2013年6月4日(火)
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は100円の節目を割り込み一時98円86銭まで円買いが進む。
5月ISM製造業景況指数が分岐点の「50」を割り込み、約4年振りの
低水準だったことを手がかりに100円を割りこむと、ストップロスのドル売り
も巻き込み一気に98円台に。その後は株価の上昇がサポートとなり99円台
半ばまで値を戻して引ける。 - ドル安の流れを受け、ユーロドルも上昇。1.31台までユーロ高が
進んだが、勢いはなく1.30台後半で取引を終える。 - 株式市場は急反発。経済指標の悪化に金融緩和縮小観測が後退したことで
株価は上昇。ダウは138ドル高で1万5200ドル台を回復。 - 債券相場は反発した後下落。経済指標の悪化から堅調に始まったものの、
アトランタ、サンフランシスコ両連銀総裁が量的緩和縮小に前向きな発言を
したことで下落。10年債利回りは一時2.2%台まで上昇。 - ドル安が大きく進んだことから、金は1400ドル台を回復。原油価格も
大幅に上昇。 - 5月ISM製造業景況指数 → 49.0
ドル/円 98.86 〜 100.38 ユーロ/ドル 1.2956 〜 1.3108 ユーロ/円 129.50 〜 130.51 NYダウ +138.46 → 15,254.03ドル GOLD +18.90 → 1,411.90ドル WTI +1.48 → 93.45ドル 米10年国債 −0.002 → 2.128%
本日の注目イベント
- 豪 RBAキャッシュタ−ゲット
- 豪 豪第1四半期経常収支
- 日 5月マネタリーベース
- 欧 ユーロ圏4月生産者物価指数
- 米 4月貿易収支
- 米 フィッシャー・ダラス連銀総裁講演
- 米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
100円の節目が重要だとの認識は市場参加者の多くが意識していましたが、一旦割り込むと、ドル売りが加速して
一気に98円台後半まで「円高ドル安」が進んでしまいました。
正直この展開には驚いています。
5月のISM製造業景況指数が「50」を割り込んで、約4年振りの低水準だったとしても、市場の反応は想定以上で、
ドルの大幅下落は溜まっていたドルロングの解消や、ストップロスのドル売りを巻き込んで下落したものと
思われます。
ドルの下落が加速したのは、NY市場独特のシステム売買によるところもあります。
ドルが下落すればするほど、「ドル売り」が出て来る状況です。
それにしてもISM製造業景況指数が悪化していたことで、米国の「出口戦略」が遅れるとの観測から
株式市場が上昇したのは理解できますが、その結果ドルが売られる事態はどうもちぐはぐです。
先週まで見られた金融市場の反応は、良好な経済指標が出ると株価が下落し、「リスクオフ」の流れが起き、
安全資産の円が買われ、ドル円が下落するというものでした。
しかし昨日の反応は経済指標の悪化で「出口」が遅れるとの観測から株価が上昇しました。
ところが、ここから先は「経済指標の悪化=ドル売り」と、まさにこれまでの正常反応に戻ってしまい、
結局、経済指標が良くても、悪くても「ドル安円高」に振れることになります。
市場は気まぐれとしか言いようがありません。
さて100円の大台を大きく下回ってきたドル円ですが、テクニカルでは止まるべき所で止まったと言えます。
「日足」の「52日線」が98円91銭のところにあり、昨日のNYの底値はほぼこの線で止められたことが
見て取れます。
また「日足」の一目均衡表でも、ローソク足は「基準線」を割り込んでいますが、「転換線」と「基準線」では
まだギャップを維持しており、さらに「基準線」は横ばいです。br>
ドルの上値がかなり重くなってはいますが、一目均衡表を見る限りはまだ「トレンドは変わっていません」。
さらに足元ではドル円はやや反発していることから、「日足」のローソク足では長い下ヒゲを描いています。
このように見ると、この水準からさらに大きく下落する可能性はそれほど高くはないと考えられます。
それでも大台を割りこんだことで、上値が重い展開が続くことは容易に想像できます。
下値のメドを探してみると、先ずは昨日のNY市場の底値近辺である98円85−95線辺りが重要です。
さらに98円台半ばと98円は心理的な節目、そしてフィボナッチで大枠を導き出して見ると、2012年9月の
ドル底値である77円13銭から、先月の103円74銭の「23.6%」に当たる97円46銭が一つの節目と
見ることができます。
もっとも、今のドル円の最大のテーマは「出口」です。
米金融緩和がどの時点で縮小に動くのかが焦点です。
昨日サンフランシスコ連銀のウイリアムズ総裁は講演で「早ければこの夏にも、当局の購入プログラムに対する
何らかの調整、恐らく下方向への幾分の調整があり得ると思う」と述べ、「購入プログラムは景気の勢いを強める
という大きな成果を上げており、年後半に入っても継続されることが望ましい。しかし、事態が良くなっている場合は、
年末までに終了することも想定外ではない」と語っています。
同総裁は「ハト派」と見られていますが、先月にも量的緩和縮小に前向きな発言をし、市場は大きくドル買いで反応した経緯が
あります。
昨日の発言でもその姿勢を崩していないことが確認されました。
また、ロックハート・アトランタ連銀総は債券購入ペース鈍化の検討時期について「私ならもう少し慎重に考えて
8月か9月、もしくは年末までにと言うかもしれない。そうした時期の会合のいずれかで議題に上る可能性がある」と述べ、
これまでよりも政策変更に前向きな発言をしています。
100円台を割りこんで来たドル円は、いよいよ正念場を迎えています。
アベノミクスへの期待感が先行して103円台まで円安が進みましたが、この先どこまで円が買い戻されるかという
視点で見れば、かなりの水準まで来たといういう印象です。
本日の日経平均株価の動きが当然重要なベンチマークになります。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
| 5/3 | ラッカー・リッチモンド連銀総裁 | 「米金融当局は過去数年間にわたり非常に努力しているが、実質的な経済成長を改善することはできそうもない。これ以上バランスシートを拡大すれば景気刺激策を解除する際の『出口戦略』に伴うリスクを助長することになる」講演で。 | 5/6 | ドラギ・ECB総裁 | 今後数週間以内に発表されるユーロ圏の全ての経済統計を注視し、必要であれば再び行動する用意がある」「定例政策員会は初めて下限政策金利である中銀預金金利をゼロ未満に引き下げる可能性についてオープンに議論することを決定した」ローマでの講演で。 | 5/9 | プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「早ければ次回FOMCで縮小着手することが望ましい」量的緩和に関して記者団に。 | 5/16 | ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 | 「われわれは早ければ夏にも、債券購入ベースを幾分減速し、すべてが期待通りに進めば今年の遅い時期にプログラムを終了する」オレゴン州ポートランドの講演で。 | 5/20 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「現在のところ金融政策は適切だ」「インフレが当局の目標に近づくことを望んでいる」講演で。 | 5/22 | バーナンキ・FRB議長 | 「時期尚早の金融引き締めは、金利の一時的な上昇につながる可能性があるものの、他に景気回復の減速や腰折れ、またインフレの一段の低下を招く大きなリスクも伴う」「(労働市場が)本質的かつ持続的な形で改善すれば、今後数回の会合で債券購入のペース減速を決定することもあり得る」議会証言で。 | 6/3 | ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 | 「早ければこの夏にも、当局の購入プログラムに対する何らかの調整、恐らく下方向への幾分の調整があり得ると思う」「購入プログラムは景気の勢いを強めるという大きな成果を上げており、年後半に入っても継続されることが望ましい。しかし、事態が良くなっている場合は、年末までに終了することも想定外ではない」講演で。 |
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。
本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。
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外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



