2013年6月10日(月)
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 雇用統計の発表を受けてドル円は乱高下。発表直後に円は一時
94円98銭まで買われたが、その後雇用統計の内容が「出口」が早まるほどの
内容ではないとの見方が広がり、株価の急騰、長期金利の上昇に引っ張られ
97円台後半まで円売りが進み、97円台半ばで引ける。 - ユーロドルでも、ドル買い戻しが進みユーロドルは、1.32台後半から
1.31台まで下落。 - 株価は急反発。非農業部門雇用者数は市場予想を上回ったものの、失業率は悪化。
金融緩和はしばらく継続されるとの見方からダウは207ドル高。 - 債券相場は反落。株価の急騰にリスクオンが進行し、債券売りが優勢に。
10年債利回りは2.17%台まで上昇。 - ドルが買い戻されたことで金は大幅に売られ、1380ドル台に。
原油価格は大幅に上昇し96ドル台を回復。 - 5月失業率 → 7.6%
- 5月非農業部門雇用者数 → 17.5万人
ドル/円 94.98 〜 97.80 ユーロ/ドル 1.3191 〜 1.3285 ユーロ/円 126.16 〜 129.17 NYダウ +207.50 → 15,248.12ドル GOLD −32.80 → 1,383.00ドル WTI +1.27 → 96.03ドル 米10年国債 +0.091 → 2.170%
本日の注目イベント
- 日 日銀金融政策決定会合(6/11日まで)
- 日 1−3月GDP(改定値)
- 日 5月景気ウォッチャー調査
- 日 4月経常収支
- 中 中国5月マネーサプライ
- 欧 イタリア1−3月GDP(改定値)
- 米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
- 加 カナダ5月住宅着工件数
下落基調の続いているドル円は、先週末の雇用統計発表直後には95円を割り込み、94円98銭まで円高ドル安が
進み、一時的とはいえ、今年のドル高値からは約9円も、円が買い戻されたことになります。
非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったことに反応したものでしたが、失業率は0.1ポイント悪化し7.6%
だったことで、その後ドルは急速に買い戻されて越週しました。
非農業部門雇用者数は17.5万人増加し、予想は上回ったものの、FRBが直ちに量的緩和を縮小するほど
力強いわけではなくまた反対に、弱い数字でもなかったことから、市場の反応は大きく揺れ動いたといったところです。
ドル円は95円割れから、NY株式市場が大幅に上昇に向かったことや、長期金利が上昇したことからドルの買い戻しが
膨らみ、97円台後半までドル高に転換し、一日の値幅も約3円と、大相場でした。
足元では「市場の最大の関心」が出口戦略であることで、その出口に最も影響を与える雇用統計だけに、その結果を巡って
相場が乱高下したと見られます。
先週、ほぼ一貫して下落したドル円も95円を割り込んだことで、ストップロスのドル売りも巻き込んである程度の
ポジション調整を終えた可能性が高いと思われます。
約2週間で9円近い円高は、さすがに市場参加者の「相場観」やポジションに大きな影響を与えました。
米景気の回復が量的緩和の縮小につながるとの観測が、これまで順調に上昇してきた株価の下落要因になったわけですが、
おかしなことに、本家本元である「米国」の株価ではなく「日本」の株価を下落させ、一気に円買いを促してきました。
事実NYダウは、高値の1万5400ドル台からの下落率はわずか2.9%程度でしたが、日経平均株価は約21%も
下落しました。
昨年11月から日経平均株価は急速に上昇したことによる「反動」と見れないこともありませんが、そもそもそれまで
長い間日経平均株価は低迷していたわけです。
また、上述のように「出口」に向かっているのは「米国」であって、「日本」はまだ「出口」も見えずに、道半ばにいます。
このように考えると、日本の株価の「もろさ」が際立って見えます。
ドル円はこのまま100円台をすぐに回復するとは思えません。
先週木曜日のドル円急落で、「日足」の「転換線」と「基準線」が逆転を起こしたことは既にこの欄で書きましたが、
今朝方、ドル円が98円台を回復した時点でも変わっていません。
98円80銭辺りを抜けて来れば、ローソク足が「基準線」を上回り、再び「好転」を見せる兆しにもなりますが、
ドル円の反発もそのあたりで止められてしまう可能性があります。
「米雇用統計」という最大イベントはひとまず終えましたが、ドル円のボラティリティーは依然高く、この先も
相場が落ちつかないことを示唆しています。
やはり重要なのは株価の動向ですが、それに加えて円債の行方にも注意が必要です。
日銀の異次元の金融緩和以来、日本の長期金利は乱高下を繰り返しながらも上昇しています。
米長期金利が上昇傾向であることから、日本の長期金利が低下傾向を見せれば日米金利差拡大からドル高に振れ易く、
株価も安定することになるからです。
ここ2週間で急速に「円高株安」が進行したことから、本日から始まる日銀決定会合ではさらなる緩和策も打ち出すのでは
ないかといった見方も一部にはあるようです。
現段階で日銀が新たな緩和策を出す可能性は低いと思われますが、一部に期待があるだけに決定会合終了後に「失望」の
ドル売りが出ることも考えられます。
今週は先週ほどの乱高下はないとしても、ある程度の値幅を伴った荒っぽい展開は覚悟しなければなりません。
本日のレンジは97円〜98円80銭程度を予想します。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
| 5/3 | ラッカー・リッチモンド連銀総裁 | 「米金融当局は過去数年間にわたり非常に努力しているが、実質的な経済成長を改善することはできそうもない。これ以上バランスシートを拡大すれば景気刺激策を解除する際の『出口戦略』に伴うリスクを助長することになる」講演で。 | 5/6 | ドラギ・ECB総裁 | 今後数週間以内に発表されるユーロ圏の全ての経済統計を注視し、必要であれば再び行動する用意がある」「定例政策員会は初めて下限政策金利である中銀預金金利をゼロ未満に引き下げる可能性についてオープンに議論することを決定した」ローマでの講演で。 | 5/9 | プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「早ければ次回FOMCで縮小着手することが望ましい」量的緩和に関して記者団に。 | 5/16 | ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 | 「われわれは早ければ夏にも、債券購入ベースを幾分減速し、すべてが期待通りに進めば今年の遅い時期にプログラムを終了する」オレゴン州ポートランドの講演で。 | 5/20 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「現在のところ金融政策は適切だ」「インフレが当局の目標に近づくことを望んでいる」講演で。 | 5/22 | バーナンキ・FRB議長 | 「時期尚早の金融引き締めは、金利の一時的な上昇につながる可能性があるものの、他に景気回復の減速や腰折れ、またインフレの一段の低下を招く大きなリスクも伴う」「(労働市場が)本質的かつ持続的な形で改善すれば、今後数回の会合で債券購入のペース減速を決定することもあり得る」議会証言で。 | 6/3 | ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 | 「早ければこの夏にも、当局の購入プログラムに対する何らかの調整、恐らく下方向への幾分の調整があり得ると思う」「購入プログラムは景気の勢いを強めるという大きな成果を上げており、年後半に入っても継続されることが望ましい。しかし、事態が良くなっている場合は、年末までに終了することも想定外ではない」講演で。 |
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。
本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。
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外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



