2013年6月11日(火)
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円はアジア市場の流れを受け堅調に推移。格付け会社が米国債の
格付け見直しを引き上げたことからドル買いが活発となり一時99円29銭
までドル高が進む。午後株価が軟調になったことでやや下落し、
98円70−80銭で引ける。 - ユーロドルは引き続きレンジ内の取り引きが継続。1.31台後半から1.32台
半ばで推移し、材料難から手掛けにくい状況が続く。 - 株価はまちまち。アップルなどの株価が軟調だったことからダウは9ドル安。
一方ナスダックは4ポイント高で引ける。 - 債券相場は格付け会社が米国債の見直しを引き上げたこともあり、金融緩和の
規模が縮小されるとの見方が強まった。10年債利回りは2.21%台まで上昇。 - 金価格は小幅に反発し、原油は4日振りに下落。
ドル/円 98.45 〜 99.29 ユーロ/ドル 1.3183 〜 1.3269 ユーロ/円 130.16 〜 131.30 NYダウ −9.53 → 15,238.59ドル GOLD +3.00 → 1,386.00ドル WTI −0.26 → 95.77ドル 米10年国債 +0.026 → 2.213%
本日の注目イベント
- 日 5月マネーサプライ
- 日 黒田・日銀総裁記者会見
- 欧 プラート・ECB理事講演
- 英 英4月鉱工業生産
先週末95円割れの水準まで急落したドル円は、やや落ち着きを取り戻し堅調に推移しているようです。
最大の好材料は株価の上昇でした。
昨日の日経平均株価は午後一段高となり、大引けは636円高と1万3500円台を回復しました。
為替が円安方向に動いたことを好感したとのコメントもありますが、これまで大幅に売りこまれてきた
銘柄が急反発し、日経平均上昇に大きく寄与した格好でした。
ドル円もNY市場では99円台に乗せ、一時99円29銭まで上昇し、安定感が出てきました。
株価と、為替市場が密接に関係してることが確認された一日だったようです。
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債の格付け見通しを「ネガティブ」から
「ステーブル」に引き上げたこともドル高に作用したようですが、その理由は「財政の崖問題の解決に向けた
政治合意など、暫定的な改善が見られた」ということでした。
ただ、財政の崖問題は依然棚上げされており、軍や、医療など一部に財政問題の弊害が出始めており、皮肉なことに
景気回復に伴い税収が拡大していることから、政府与党、共和党ともに問題解決には楽観的であるとも
報告されています。
この問題は夏以降にずれ込む公算が高く、まだ安心はできません。
さてドル円は99円台まで回復はしましたが、このまま100円台を目指すかどうかはまだ不透明です。
5月23日の高値である103円74銭から、先週末の安値である94円98銭の下落幅の半値戻しが
「99円36銭」になります。
昨日のNYで99円29銭まで上昇して頭を抑えられたのも、多分にこの値位置を意識したものと思われます。
従って、目先はこの値位置を上抜けできるかどうかが一つのポイントと見られます。
因みに、半値戻しが達成されたら次のレジスタンスは61.8%戻しの「100円39銭」辺りです。
今週は米国側に重要な経済イベントがないことから、最大の注目イベントは昨日から始まった日銀金融決定会合です。
債券市場の安定を図るため、新たな対策が打ち出されるのではないかと予想されています。長期金利の低下を
促したい日銀ですが、2%の物価上昇率を目指すことと、金利を低下させることは、そもそも相容れないことのため
日銀が毎月7兆円を超える国債を市場から購入するだけでは金利が低下しないことは確認されています。
毎月の買い入れの回数を増やすなどの対応を試みていることから、長期金利は0.7−0.9%内で落ち着きを見せ始めて
いますが、金利を低下させるところまでには至っていません。
長期金利の低下が続けば、米国の長期金利が上昇傾向にあるため、金利差拡大を背景に「ドル買い円売り」が出易い
と見られます。
本日は午後3時半に黒田総裁の記者会見が行われます。
黒田総裁は市場との対話には長けていることから、市場を失望させるような発言は出にくいとは思いますが、どのような
発言をするのか非常に重要です。
為替市場がその発言を好感すれば「ドル買い円売り」で反応することになりますが、落胆するようだとドルが再び
97円台を目指すことにもなりかねません。
95円割れはさすがにドルが売られ過ぎとは思いますが、まだ100円台に乗せるには金融市場全体が不安定です。
まだしばらくは、上下を繰り返す展開が続くと見ておくべきでしょう。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
| 5/3 | ラッカー・リッチモンド連銀総裁 | 「米金融当局は過去数年間にわたり非常に努力しているが、実質的な経済成長を改善することはできそうもない。これ以上バランスシートを拡大すれば景気刺激策を解除する際の『出口戦略』に伴うリスクを助長することになる」講演で。 | 5/6 | ドラギ・ECB総裁 | 今後数週間以内に発表されるユーロ圏の全ての経済統計を注視し、必要であれば再び行動する用意がある」「定例政策員会は初めて下限政策金利である中銀預金金利をゼロ未満に引き下げる可能性についてオープンに議論することを決定した」ローマでの講演で。 | 5/9 | プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「早ければ次回FOMCで縮小着手することが望ましい」量的緩和に関して記者団に。 | 5/16 | ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 | 「われわれは早ければ夏にも、債券購入ベースを幾分減速し、すべてが期待通りに進めば今年の遅い時期にプログラムを終了する」オレゴン州ポートランドの講演で。 | 5/20 | エバンス・シカゴ連銀総裁 | 「現在のところ金融政策は適切だ」「インフレが当局の目標に近づくことを望んでいる」講演で。 | 5/22 | バーナンキ・FRB議長 | 「時期尚早の金融引き締めは、金利の一時的な上昇につながる可能性があるものの、他に景気回復の減速や腰折れ、またインフレの一段の低下を招く大きなリスクも伴う」「(労働市場が)本質的かつ持続的な形で改善すれば、今後数回の会合で債券購入のペース減速を決定することもあり得る」議会証言で。 | 6/3 | ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 | 「早ければこの夏にも、当局の購入プログラムに対する何らかの調整、恐らく下方向への幾分の調整があり得ると思う」「購入プログラムは景気の勢いを強めるという大きな成果を上げており、年後半に入っても継続されることが望ましい。しかし、事態が良くなっている場合は、年末までに終了することも想定外ではない」講演で。 |
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。
本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。
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外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



