今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2014年12月8日(月)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は良好な雇用統計を受け、121円台に乗せ、午後には121円69銭までドル高が進む。雇用者数が32.1万人と、市場予想を大きく超えたことで、米利上げ前倒し観測が高まった。
  • ユーロドルでもドル高は進み、節目の1.23を大きく下回り1.2271までユーロ安が進行。ドルに対する円の弱さが進み、ユーロ円も149円台半ばまで上昇。
  • 株式市場は反発。雇用統計の結果に素直に反応し、ダウは58ドル高と、1万8000ドルの大台も視野に。
  • 債券相場は良好な雇用統計に反落。利上げ観測が高まるなか、債券に下落圧力が強まり長期金利は2.30%台まで上昇。
  • ドル高が進んだことから、金、原油は続落。

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    米   11月失業率       →  5.8%
    米   11月非農業部門雇用者数 →  32.1万人
    米   10月貿易収支      →  434億ドルの赤字
    米   10月消費者信用残高   →  132億ドル
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    ドル/円 120.09  〜 121.69
    ユーロ/ドル 1.2271 〜 1.2379
    ユーロ/円 148.48 〜 149.51
    NYダウ −12.52  →  17,900.10 ドル
    GOLD −17.30  → 1,190.40ドル
    WTI −0.97  → 65.84ドル
    米10年国債 +0.059 → 2.300%

    本日の注目イベント

    • 日   7−9月GDP(改定値)
    • 日   10月国際収支
    • 日   11月景気ウォッチャー調査
    • 中   中国 11月貿易収支
    • 独   独10月鉱工業生産
    • 米   11月労働市場情勢指数(LMCI)
    • 米   ロックハート・アトランタ連銀総裁講演
    • 加   カナダ11月住宅着工件数

    11月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想の23万人に対して32.1万人の増加でした。さらに、10月分についても21.4万人から24.3万人に。9月分も25.6万人から27.1万人にそれぞれ上方修正されました。米労働市場は、夏以降急速に伸びていることが窺えます。正に「米国の一人勝ち」といったところです。

    ドル円は、この結果を受けて、121円36銭辺りまで一気に上昇し、さすがに利益確定のドル売りに押され、一旦は120円85銭辺りまで下げる場面がありましたが、午後にはもみ合いから121円69銭までドル高が進んでいます。手のつけようがないほど、ドル高が急速に進み、市場には2007年6月に記録した124円14銭までドル高が進むといった見方も出始めているようです。

    良好な雇用統計を受けて、来年半ばと予想されている政策金利の引き上げ観測が前倒しになってきましたが、事はそう簡単ではないと、個人的には予想しています。注目されるのは今夜発表される労働市場情勢指数(LMCI)です。前回は「4.0」でしたが、この数値に比べ、改善しているか悪化してるかで雇用市場全体の状況を把握することが出来ます。ここ数ヶ月は改善傾向にありますが、今年4月には「7.1」で、この水準には届いていません。

    さらに注目されるのはインフレ率です。FRBが注目しているPCEコア・デフレーターは10月でも「1.6%」でした。「2%程度」というFRBの目標には届いておらず、さらにこのところの急激な原油安が物価に下落圧力がかかると考えられ、インフレ率上昇を抑制しそうです。原油安とドル高が物価上昇を抑えることを考えると、「2%のインフレ率」はそう簡単ではないと思われ、ハト派のイエレン議長は米景気の拡大を認識しながらも、慎重な姿勢を維持する可能性は高いのではないでしょうか。NY株式市場と債券市場の動きからは、まだ利上げの足音は聞こえてこないように思います。

    ECB理事会に続き、11月の雇用統計も終わりました。残す重要イベントは来週の衆議院選挙と今年最後のFOMCです。衆議院選挙では自民党が300議席を確保するのではといったマスコミの予想も出ており、円安要因と捉えられそうです。そして今年最後のFOMCでは、声明文から「相当な期間」という文言が削除されるのかどうかが焦点です。先週、フィッシャーFRB副議長は講演で、「文言削除の時期は近づいている」との認識を示しており、削除される可能性は高まっています。もしこの文言が削除されれば、利上げ開始へのメッセージと受け止めることができ、これもドル高要因になります。

    このように、今後のイベントは想定外の展開にならない限り「ドル高要因」であるからことから、ドルが買われる展開が予想されます。大幅な調整などないといった雰囲気になっていますが、ドル高が進めば進むほど「調整」が起こりうるのも過去の相場展開は教えています。上述のように124円台までドル高が進む可能性は否定できませんが、それでもドル急落に対する警戒感を意識する必要はあろかと思います。予想レンジは121円から122円20銭程度にしたいと思います。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。
    為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    11/5 黒田・日銀総裁 「物価の下振れリスクが大きくなったのであれば、追加的な措置を行うことは当然の論理的帰結だ」講演で。 ドル円113円台半ばから114円に
    11/7 イエレン・FRB議長 「金融政策の正常化が市場の変動を増す可能性がある」パリで開催の国際シンポジュームで。 -----
    11/12 コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁 「物価上昇の見通しを踏まえると、2015年に開催されるFOMC会合においても、利上げを決定するのは不適切」講演で。 ------
    11/21 麻生・財務大臣 「円の下がり方のスピードのテンポが速すぎる。歓迎すべきことではない。」閣議後の会見で。 ドル円118円台から117円36銭まで下落
    11/27 大塚耕平・民主党政調会長代理 「購買力平価で言うと100円を挟んで95円から105円が適正水準」ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで。 ドル円はやや円高方向に
    12/2 フィッシャー・FRB副議長 「それ(相当な期間という文言)に関する協議があったことが前回のFOMCの議事録で分かっており、当局がその削除に数ヶ月前より近づいているのは明白だ」WSJのカウンシル会議で。 ------
    12/4 ドラギ・ECB総裁 「来年の早い時期にわれわれの措置の規模とペース、組み合わせを変更することにつながるだろう」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.24台半ばから1.2370近辺に下落
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和