今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2015年4月16日(木)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 経済指標の下振れを受け、ドル円は約10日ぶりに119円を割り込み、118円79銭まで下落。利上げ観測が後退し、長期金利の低下もドル売りを後押し。
  • ユーロドルは1.05台から再び1.07台へ押し戻される。ECB理事会では量的緩和の継続が確認され、ドラギ総裁は導入した金融政策が奏功していることを強調した。
  • 株式市場は上昇。原油価格の上昇を好感してエネルギー株が前日同様、相場を押し上げた。ダウは75ドル上昇し1万8100ドル台を回復。
  • 債券相場は続伸。鉱工業生産が予想を下回り、製造業指数もマイナスだったことから、債券が買われた。長期金利は1.89%前後まで低下。
  • 金は反発。原油価格は在庫が予想以上に減少していたことから買戻しが活発になり、昨年12月以来となる56ドル台まで上昇。

    **************************
    4月NY連銀製造業景気指数 → −1.19
    3月鉱工業生産       → −0.6%
    4月NAHB住宅市場指数  → 56
    **************************
    ドル/円 118.79 〜 119.63
    ユーロ/ドル 1.0578〜 1.0703
    ユーロ/円 126.27 〜 127.37
    NYダウ +75.91 → 18,112.61ドル
    GOLD +8.70 → 1,201.30ドル
    WTI +3.10 → 56.39ドル
    米10年国債 −0.011 → 1.889%

    本日の注目イベント

    • 豪   豪3月雇用統計
    • 米   3月住宅着工件数
    • 米   3月建設許可件数
    • 米   新規失業保険申請件数
    • 米   G20(ワシントン)
    • 米   ロックハート・アトランタ連銀総裁講演
    • 米   ロレッタ・クリーブランド連銀総裁講演
    • 米   グアテマラ・ボストン連銀総裁講演
    • 米   フィッシャー・FRB副議長講演
    • 米   企業決算 → ブラックロック、ゴールドマン・サックス、シティーグループ、アメックス、ブラック・ストーン
    • 加   カナダ3月小売売上高

    東京時間では底堅い動きを見せたドル円も、NYでは鉱工業生産が−0.6%と予想を下回りさらに、NY連銀製造業景況指数も−1.19と、こちらも悪化していたことからドルが売られる展開でした。ドル円は119円台を割り込み、118円79銭までドル安が進み、レンジ相場の下限を試す動きにつながっています。NYでの引け値は119円台前半まで戻していますが、米経済指標や長期金利に加え、日本株の足踏みもドル反転へのきっかけをつかめない状況です。

    前日の小売売上高といい、昨日の二つの経済指標といい、昨日も述べた通りマクロ経済指標の下振れが鮮明になってきました。米国の経済成長の鈍化が鮮明になったとはまだ言い切れませんが、経済指標の悪化で利上げ観測が後退したことで、NY株式市場ではS&P500が最高値付近まで買われており、長期金利も1週間ぶりに1.9%を割り込んでいます。この二つの市場の反応を見る限り、FRBは利上げを急がないのではないかとの見方に傾いていることが窺えます。

    本来ならば、経済指標の悪化は株式市場にとってもマイナス要因のはずですが、市場の最大の関心である「利上げ」が遠のくことで株価が上昇するといった、おかしな現象となっています。「利上げ」という大きな金融政策の変更を前に、「産みの苦しみ」といった状況といえましょう。

    ドラギ総裁は昨日の記者会見で、「われわれが導入した金融政策措置が奏功しているこを示す明確な証拠がある」と語り、1兆1000億ユーロ(約139兆円)規模の債券購入プログラムがインフレ率と経済を回復させることに自信を示しました。「資産購入は2016年9月末まで継続することになっており、いずれにせよ、インフレ動向に持続的調整がみられるまで継続する」と言明しています。(ブルームバーグ)

    記録的な低金利と、同じく記録的なユーロ安を背景に、ユーロ圏の景況感は徐々に持ち直す傾向を見せています。大量の資金供給で、域内の国債利回りが大きく低下し、運用先を求めてユーロからは資金流出が続き、これが「ユーロ安ドル高」のドライバーになっていると見られます。インターバンク市場では世界的な「ビッグプレイヤー」の一角であるドイツ銀行傘下の証券は昨日、ユーロドルは2017年には「0.85」まで下落すると発表しています。

    明確な方向性が見えないドル円は、上記のように「レンジの下限」を試している段階かと思われます。下値のメドは118円30銭前後の「118円台前半」になります。118円台半ばから下方には、一目均衡表の「雲」があり、その下には「120日線」なども控えており、テクニカル的にも重要な値位置です。また新年度に入っていることで、公的資金や生保など機関投資家の外債投資用のドル買い観測などもあるようです。

    ドル円の予想レンジは118円70銭から119円70銭程度を予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    3/3 本田・内閣府参与 「景気過熱を回避するために、日銀は追加緩和を控えるべきだ」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円120円台前半から119円60銭近辺まで下落。
    3/4 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「労働市場の改善やインフレ期待感、さらに中長期的に見たリスクバランスを考慮した上で、年央にかけての利上げを支持する」講演で。 ------
    3/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレ率が2%の目標に向けて上昇すると自分自身が確信できるのは6月のFOMCでは「やや早いだろう」講演で。 ------
    3/9 フィッシャー・ダラス連銀総裁 「リセッションを引き起こすことを回避するため、米経済が完全雇用に達する前にFRBが利上げすべきだ」ライス大学での講演で。 ------
    3/10 ファーマン・CEA委員長 「国外経済の成長率にドル高が加わり、現在の米国の輸出に向かい風を吹き付けていることに疑いの余地はない。この向かい風はGDP全般にも吹いている」全米エコノミスト協会の会合で。 ------
    3/11 ブラード・セントルイス連銀総裁 「利上げ、すでに遅すぎる。経済の動きに合った適切な状態にあるためには、今、あるいは近いうちに行動すべきだと考える」英FT紙とのインタビューで。 ------
    3/18 イエレン・FRB議長 「声明文から辛抱強くという文言を削除しただけで、われわれが性急な姿勢になることはない」FOMC後の記者会見で。 ドル円121円台前半からから119円29銭まで下落。ユーロドルは約500ポイント急騰
    3/23 フィッシャー・FRB副議長 「米金融政策は、初回利上げ後も非常に緩和的となろう」NYでの講演で。 ドル円119円台後半から119円台半ばへ
    3/25 エバンス・シカゴ連銀総裁 「われわれが金融引き締めを急がなければならない差し迫った理由は存在しない」講演で。 ------
    3/31 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「今後発表される経済指標が予想から著しくかい離しない限り、6月会合で利上げを決定する根拠は引き続き強いだろう」講演で。 ------
    4/1 山本幸三・衆議院議員 「追加緩和は(展望リポート)が公表になる、30日会合が良いタイミングだ」ロイター通信とのインタビューで。 市場はドル買い円売りで反応
    4/10 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「最近の経済データに見られる弱さは一時的なものである可能性が高い。6月の利上げ開始への支持は変わっていない」講演で。 ------
    4/13 浜田・内閣府参与 「購買力平価からすると120円はかなり円安。105円ぐらいが妥当」TV番組で。 ドル円120円台前半から119円68銭近辺まで下落。
    4/15 ドラギ・ECB総裁 「われわれが導入した金融政策措置が奏功していることを示す明確な証拠がある」理事会後の記者会見で。 ユーロが買われる。
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和