2015年4月17日(金)
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は119円を割り込むと買われる一方、119円台半ばが重い展開に。失業保険申請件数や住宅着工など相変わらず出てくる指標は悪く、ドルは主要通貨に対して売られる。ドル円は119円前後で取引を終える。
- ユーロドルは1.06台前半まで売られたものの、米経済指標が低調だったことで買戻しが勝った。一時は1週間ぶりに1.08台までユーロ高が進む。
- 株式市場は小幅安だったものの、前日とほぼ変わらず。ダウは6ドル下落し、他の指数も小幅に反落。
- 債券相場も小動き。連銀総裁などのコメントに上下したものの、前日と同水準近辺で引ける。
- 金は続落。原油は6日続伸し、一時は57ドル台に乗せる場面も。
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3月住宅着工件数 → 92.6万件
3月建設許可件数 → 103.9万件
新規失業保険申請件数 → 29.4万件
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ドル/円 118.82 〜 119.43 ユーロ/ドル 1.0685〜 1.0818 ユーロ/円 127.53 〜 128.56 NYダウ −6.84 → 18,105.77ドル GOLD −3.30 → 1,198.00ドル WTI +0.32 → 56.71ドル 米10年国債 +0.004 → 1.893% 本日の注目イベント
- 欧 ユーロ圏3月消費者物価指数(改定値)
- 英 英3月失業率
- 米 3月消費者物価指数
- 米 4月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
- 米 3月景気先行指標総合指数
昨日の東京市場でも、あるいは海外市場でも、ドル円は118円台ではドル買い意欲も見られますが、それでも、足許では119円台半ばでは上昇が抑えられる展開です。米利上げ時期を巡って、昨日も要人発言で上下する場面はありましたが、FOMCメンバーの中でも利上げ時期を巡っては意見が分かれていることが鮮明になってきました。
フィッシャーFRB副議長は「永久に記録的な低金利を続けることはできない」との見方を示す一方、アトランタ連銀のロックハート総裁は、初回利上げ前に「失業率の低下とインフレ率の上昇が必要だ」と語っています。また、ボストン連銀のローゼングレン総裁は、「雇用やインフレに関する最近の統計に弱さが見られるのは、米国経済が利上げをする準備が整っていないことを意味する」と述べています。
このように、FOMCメンバーにも意見の相違は見られますが、これは今年に入って発表される経済指標に、昨年後半のような力強さが見られないことに原因があります。とりわけ、3月の雇用者数の結果には驚かされました。利上げの時期については、「今後の経済指標次第だ」と、イエレン議長が何度も繰り返しているように、これだけ弱い指標が相次ぐと、9月の利上げを予想している筆者も、やや弱気に傾いてくる自分に気づきます。
既に6月利上げはないと予想していますが、今後も軟調な経済指標が出てくるようだと、利上げは来年以降だと主張する専門家が優位に立つ可能性もあります。おそらく、FOMCメンバーも利上げのタイミングではかなり悩んでいることでしょう。ドル円がレンジを抜け切れないのも、そこに一因がありそうです。
昨日の海外の各市場を眺めて見ると、ドルが全面安であることが分かります。ユーロは対ドルで1.08台まで買われ、原油価格も一時57ドル台まで買われました。また豪ドルも、昨日の雇用統計の結果がよかったこともありますが、約3週間ぶりに0.78台前半まで買われ、ドルが全面安の様相です。今月29日には1−3月期の米GDP速報値が発表されますが、このあたりがドル円がレンジをどちらかに抜けるきっかけになりそうです。
直近の経済指標を見る限り、米国の利上げのタイミングが後ずれするリスクが徐々に高まってきたと思われますが、しかしまだ9月までの利上げのシナリオが崩れたわけではありません。また粛々と、量的緩和を進めている日欧と、昨年10月でQEをやめた米国との差は歴然としています。このあたりをどのように読み解き、相場観に落とし込んでいくのか、なかなか簡単ではありません。本日のドル円のレンジは118円50銭〜119円50銭程度と予想します。
2日前のECB本部。理事会を終え記者会見に望んだドラギ総裁を待っていたのは、記者だけではありませんでした。ジョセフィーヌ・ウイットという女性が会見に乱入し、総裁に紙吹雪を浴びせたことはご存知の通りです。女性はすぐに取り押さえられたようですが、「記者会見場に入るのは簡単だった」と語っています。ドラギ総裁にとっては「忘れられない会見」になったようです。よい週末を・・・・・。
What's going on?
「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。日時 発言者 内容 市場への影響 3/3 本田・内閣官房参与 「景気過熱を回避するために、日銀は追加緩和を控えるべきだ」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円120円台前半から119円60銭近辺まで下落。 3/4 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「労働市場の改善やインフレ期待感、さらに中長期的に見たリスクバランスを考慮した上で、年央にかけての利上げを支持する」講演で。 ------ 3/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレ率が2%の目標に向けて上昇すると自分自身が確信できるのは6月のFOMCでは「やや早いだろう」講演で。 ------ 3/9 フィッシャー・ダラス連銀総裁 「リセッションを引き起こすことを回避するため、米経済が完全雇用に達する前にFRBが利上げすべきだ」ライス大学での講演で。 ------ 3/10 ファーマン・CEA委員長 「国外経済の成長率にドル高が加わり、現在の米国の輸出に向かい風を吹き付けていることに疑いの余地はない。この向かい風はGDP全般にも吹いている」全米エコノミスト協会の会合で。 ------ 3/11 ブラード・セントルイス連銀総裁 「利上げ、すでに遅すぎる。経済の動きに合った適切な状態にあるためには、今、あるいは近いうちに行動すべきだと考える」英FT紙とのインタビューで。 ------ 3/18 イエレン・FRB議長 「声明文から辛抱強くという文言を削除しただけで、われわれが性急な姿勢になることはない」FOMC後の記者会見で。 ドル円121円台前半からから119円29銭まで下落。ユーロドルは約500ポイント急騰 3/23 フィッシャー・FRB副議長 「米金融政策は、初回利上げ後も非常に緩和的となろう」NYでの講演で。 ドル円119円台後半から119円台半ばへ 3/25 エバンス・シカゴ連銀総裁 「われわれが金融引き締めを急がなければならない差し迫った理由は存在しない」講演で。 ------ 3/31 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「今後発表される経済指標が予想から著しくかい離しない限り、6月会合で利上げを決定する根拠は引き続き強いだろう」講演で。 ------ 4/1 山本幸三・衆議院議員 「追加緩和は(展望リポート)が公表になる、30日会合が良いタイミングだ」ロイター通信とのインタビューで。 市場はドル買い円売りで反応 4/10 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「最近の経済データに見られる弱さは一時的なものである可能性が高い。6月の利上げ開始への支持は変わっていない」講演で。 ------ 4/13 浜田・内閣府参与 「購買力平価からすると120円はかなり円安。105円ぐらいが妥当」TV番組で。 ドル円120円台前半から119円68銭近辺まで下落。 4/15 ドラギ・ECB総裁 「われわれが導入した金融政策措置が奏功していることを示す明確な証拠がある」理事会後の記者会見で。 ユーロが買われる。 4/16 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「雇用やインフレに関する最近の統計に弱さが見られるのは、米国経済が利上げをする準備が整っていないことを意味する」講演で。 ------