今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2015年5月8日(金)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は朝方119円台前半まで売られたものの、4週間平均の失業保険申請件数が約15年ぶりの低水準だったことで、今夜の雇用統計に対する楽観的な見方が広がり、119円台後半まで反発。
  • ドルが買われたことで、ユーロドルは3日ぶりに反落。欧州時間には1.13台後半までユーロ高が進んだが、その後1.12台半ばまで売られる。
  • 英国総選挙で、与党保守党が最大議席を確保できるとの報道に、ポンド円は184円台後半まで急反発。
  • 株価は反発。アリババの決算を好感し、主要3指数は揃って上昇。ダウは82ドル高。
  • 債券相場も反発。世界的な債券売りの流れも一服し長期金利は2.17%台まで低下。
  • 金、原油は共に下落。

    ************************************
    3月消費者信用残高  → 205.2億ドル
    新規失業保険申請件数 → 26.5万件
    ************************************
    ドル/円 119.12 〜 119.86
    ユーロ/ドル 1.1237〜 1.1313
    ユーロ/円 134.19 〜 135.13
    NYダウ +82.08 → 17,924.06ドル
    GOLD −8.10  → 1,182.20ドル
    WTI −1.99  → 58.92ドル
    米10年国債 −0.074  → 2.178%

    本日の注目イベント

    • 中   中国 3月貿易収支
    • 独   独3月鉱工業生産
    • 独   独3月貿易収支
    • 米   4月雇用統計
    • 加   カナダ4月住宅着工件数
    • 加   カナダ4月失業率

    前日の「イエレン発言」で急落した株式と債券の下落も一服。発表された新規失業保険申請件数も減少し、4週間平均では15年ぶりの低水準だったことから、今夜の雇用統計でも20万人を超える増加が期待できるなど、楽観的な見方が広がりました。ドル円は欧州からNYの朝方にかけては「ややドル安傾向」が強まっていたが、良好な指標と株高に119円台後半までドルが買い戻されています。

    前日イエレンFRB議長が講演で、株価が高すぎることと、FRBが利上げを開始したら、長期期金利が急騰するリスクがあると発言したことで、「株安、債券安」が世界的に進んでいたが、この日は両市場とも落ち着きを取り戻し反発しました。特に、急落したドイツ国債が反発したことで、買い戻しが急速に進んだユーロも売られ、「ドル高ユーロ安」の流れに戻っています。ドル円もこうした流れに、円が売られドルが買い戻されたと言えます。

    今夜の雇用統計はいつもにも増して注目度が高いようです。上で述べたように、新規失業保険申請件数が月平均では15年ぶりの低水準であることも、今夜の結果に安心感を与えてくれています。ブルームバーグは欧州系銀行のストラテジストのコメントとして「雇用統計は非常に重要だ」とし、「間違いなく米国経済で最も強い分野である労働市場について、雇用統計はその現状を明確に示すだろう」という言葉を紹介しています。

    現時点での非農業部門雇用者数の予想は、22万8000人から23万人程度です。3月分が予想を大きく下回ったことで、米利上げ開始が先送りになるといった見方が広がり、ドルが売られたことは記憶に新らしいですが、今回もし先月と同様に予想を大きく下回るようだと、現在予想されている9月の利上が、さらに先送りになるという観測が拡大し、ドルが再度売られることになりそうです。2ヵ月連続の20万人割れは、「雇用の拡大は昨年後半でピークアウトしたのでは」といった見方が急速に高まるからです。

    一方仮に予想を上回るようだと、3月分は一時的な現象と考えられ、米労働市場は依然として拡大していることになります。いずれにしろ結果次第では、それまでの市場のセンチメントを急激に変える可能性があるという点には注意が必要です。願わくば雇用統計の結果が、足元のドル円の閉塞感を払拭してくれればいいと考えている市場関係者は多いのではないでしょうか。今夜9時半に注目です。

    本日のドル円のレンジは、雇用統計を考慮して118円50銭〜121円程度と、広めに予想します。

    ==================================

    6日に行われたイエレンFRB議長の講演内容が予想外の反応を見せ、株式市場や債券市場を震撼させています。株安と債券安が同時に起きたわけですが、これをイエレン議長の「フォワード・ガイダンス」と受け止められないこともありません。利上げに踏み切ればいずれにせよ、両市場にとってはネガティブな材料となり、大なり小なり影響を受けないわけにはいきません。議長は、そのあたりを考慮して「今から準備をしなさい」というメッセーを投げかけたとも考えらます。だとすればその先にあるのは・・・「利上げ」ということになりますが、やや穿(うが)ちすぎでしょうか?

    良い週末を・・・・・。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    3/3 本田・内閣官房参与 「景気過熱を回避するために、日銀は追加緩和を控えるべきだ」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円120円台前半から119円60銭近辺まで下落。
    3/4 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「労働市場の改善やインフレ期待感、さらに中長期的に見たリスクバランスを考慮した上で、年央にかけての利上げを支持する」講演で。 ------
    3/4 エバンス・シカゴ連銀総裁 インフレ率が2%の目標に向けて上昇すると自分自身が確信できるのは6月のFOMCでは「やや早いだろう」講演で。 ------
    3/9 フィッシャー・ダラス連銀総裁 「リセッションを引き起こすことを回避するため、米経済が完全雇用に達する前にFRBが利上げすべきだ」ライス大学での講演で。 ------
    3/10 ファーマン・CEA委員長 「国外経済の成長率にドル高が加わり、現在の米国の輸出に向かい風を吹き付けていることに疑いの余地はない。この向かい風はGDP全般にも吹いている」全米エコノミスト協会の会合で。 ------
    3/11 ブラード・セントルイス連銀総裁 「利上げ、すでに遅すぎる。経済の動きに合った適切な状態にあるためには、今、あるいは近いうちに行動すべきだと考える」英FT紙とのインタビューで。 ------
    3/18 イエレン・FRB議長 「声明文から辛抱強くという文言を削除しただけで、われわれが性急な姿勢になることはない」FOMC後の記者会見で。 ドル円121円台前半からから119円29銭まで下落。ユーロドルは約500ポイント急騰
    3/23 フィッシャー・FRB副議長 「米金融政策は、初回利上げ後も非常に緩和的となろう」NYでの講演で。 ドル円119円台後半から119円台半ばへ
    3/25 エバンス・シカゴ連銀総裁 「われわれが金融引き締めを急がなければならない差し迫った理由は存在しない」講演で。 ------
    3/31 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「今後発表される経済指標が予想から著しくかい離しない限り、6月会合で利上げを決定する根拠は引き続き強いだろう」講演で。 ------
    4/1 山本幸三・衆議院議員 「追加緩和は(展望リポート)が公表になる、30日会合が良いタイミングだ」ロイター通信とのインタビューで。 市場はドル買い円売りで反応
    4/10 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「最近の経済データに見られる弱さは一時的なものである可能性が高い。6月の利上げ開始への支持は変わっていない」講演で。 ------
    4/13 浜田・内閣府参与 「購買力平価からすると120円はかなり円安。105円ぐらいが妥当」TV番組で。 ドル円120円台前半から119円68銭近辺まで下落。
    4/15 ドラギ・ECB総裁 「われわれが導入した金融政策措置が奏功していることを示す明確な証拠がある」理事会後の記者会見で。 ユーロが買われる。
    4/16 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「雇用やインフレに関する最近の統計に弱さが見られるのは、米国経済が利上げをする準備が整っていないことを意味する」講演で。 ------
    4/23 黒田・日銀総裁 「(追加緩和に関して)サプライズによって効果を出そうとは考えていない」参院財政金融委員会で。 ------
    4/24 山本幸三・衆議院議員 「(30日の決定会合を控えて)日銀が何もしないという話はちょっとあり得ない」ブルームバーグとのインタビューで。 ------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和