今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2015年5月20日(水)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は住宅関連の指標が大きく上振れしたことで米景気への安心感が広がりドルが買われた。一時120円74銭と、約5週間ぶりの水準を記録。ユーロでもユーロ安が進んだことにも反応した格好だった。
  • ユーロドルはECBのクーレ理事の発言で急落。1.13台から1.1119まで売られた。
  • 株式市場はまちまち。住宅着工件数が増加したことで利上げ観測が広がり、ダウは3日続伸。一方ナスダックは8ポイント下落。
  • 債券市場は下落。住宅着工件数が大幅に伸びたことを嫌気し長期金利は2.29%台まで上昇。
  • ドルが買われたことで金は大幅に反落。原油も2ドルを超える大幅安に。

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    4月住宅着工件数 → 113.5万件
    4月建設許可件数 → 114.3万件
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    ドル/円 120.14 〜 120.74
    ユーロ/ドル 1.1119 〜 1.1192
    ユーロ/円 133.97 〜 134.71
    NYダウ +13.51 → 18,312.39ドル
    GOLD −20.90 → 1,206.70ドル
    WTI −2.17 → 57.26ドル
    米10年国債 +0.053 → 2.290%

    本日の注目イベント

    • 日   1−3月GDP(速報値)
    • 独   独4月生産者物価指数
    • 英   BOE議事録
    • 米   FOMC議事録(4月28、29日分)
    • 米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演

    昨日この欄で「日経平均株価が2万円の大台で引ければ、海外市場で120円台半ばを試す可能性もある」といったコメントを残しましたが、まさに昨日の海外市場では120円台半ばを抜け、120円74銭までドル高円安が進行しました。もっとも、円はユーロが再び1.11台まで急落した流れに引っ張られた印象もありますが、約5週間ぶりに、120円台半ばの「壁」を抜けたことは意味があるように思います。

    米景気に関しては、このところ軟調な経済指標が続き、昨日の経済紙などが「年内の利上げはないのでは」といった記事を掲載したばかりでしたが、昨日の住宅着工件数は、市場予想の101.5万件に対して113.5万件と、12万件も上回り、さらに3月分も上方修正されています。また今後の着工件数につながる建設許可件数も、市場予想の106.4万件に対して114.3万件と、こちらも大きく予想を上回っています。

    久し振りに事前予想を大きく上回る結果に、後退していた利上げ観測が再び前倒しになるとの見方も台頭しており、長期金利は上昇しました。また、昨日発表されたサンフランシスコ連銀のエコノミック・レターも材料視されたようです。これは、1−3月期のGDP+0.2%は、実際には商務省発表の内容よりも「大幅に強い」という報告で、+1.8%だったとの推計を示しています。サンフランシスコ連銀の調査官はその原因を「おそらく統計上のゆがみがその一因である」と分析しています。

    ユーロドルが1.13台から急落し、1.12割れの水準まで売られ、ここ1週間の上げ幅を吐き出した格好になりました。ECBのクーレ理事が、債券購入ペースを加速させる方針だと発言したことが伝わり、ユーロ売りが強まったものです。このところのユーロの上昇と、ドイツをはじめ欧州債の利回りが急上昇したことをけん制する目的だったと思われ、この発言をきっかけに欧州債は買い戻され、金利は低下しています。

    ドル円は120円台半ばを抜けたことで、「日足」チャートでは明確に「雲」を上抜けしているのが確認できます。これまでは「雲」に絡んでいただけで、上抜けしたのは約2ヵ月ぶりの現象です。また、MACDでも「マックディー」がプラス圏に上昇して来ました。「シグナル」がまだ依然としてゼロ近辺で推移しているのが気にはなりますが、テクニカルではドル上昇機運が高まってきたと判断できそうです。

    ただそれでもここからはドル売りのオーダーも相当あると予想されます。仮に121円を付けることになれば、約2ヵ月ぶりの水準ということになります。自動車を中心に輸出も好調なため、輸出予約が多く持ち込まれることも想定できます。多くの輸出企業の今期の「社内レート」は115円が中心ですから、「6円の為替差益」は願ってもないチャンスではないでしょうか。今後ドルが一段と上昇するためには、少なくとも今週一杯は120円台を維持することです。

    本日のレンジは120円20銭〜121円20銭程度を予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    4/1 山本幸三・衆議院議員 「追加緩和は(展望リポート)が公表になる、30日会合が良いタイミングだ」ロイター通信とのインタビューで。 市場はドル買い円売りで反応
    4/10 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「最近の経済データに見られる弱さは一時的なものである可能性が高い。6月の利上げ開始への支持は変わっていない」講演で。 ------
    4/13 浜田・内閣府参与 「購買力平価からすると120円はかなり円安。105円ぐらいが妥当」TV番組で。 ドル円120円台前半から119円68銭近辺まで下落。
    4/15 ドラギ・ECB総裁 「われわれが導入した金融政策措置が奏功していることを示す明確な証拠がある」理事会後の記者会見で。 ユーロが買われる。
    4/16 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「雇用やインフレに関する最近の統計に弱さが見られるのは、米国経済が利上げをする準備が整っていないことを意味する」講演で。 ------
    4/23 黒田・日銀総裁 「(追加緩和に関して)サプライズによって効果を出そうとは考えていない」参院財政金融委員会で。 ------
    4/24 山本幸三・衆議院議員 「(30日の決定会合を控えて)日銀が何もしないという話はちょっとあり得ない」ブルームバーグとのインタビューで。 ------
    5/12 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「今の段階で今後の金融政策の方向性を決定する必要はない。データを注視し、様子を見ている」講演で。 ------
    5/18 エバンス・シカゴ連銀総裁 「私の経済見通しやリスクのバランスの評価からは、来年の早い時期まで利上げ開始に十分な自信が持てるようにはなれないというのが現在の認識だ」講演で。 ------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和