今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2015年6月4日(木)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は底堅く推移し、124円台での取引に終始する。ADP雇用者数が市場予想を若干上回ったことや、米金利の上昇でドル円は124円台半ばを超えたものの、上値も限定的だった。
  • ドラギECB総裁がユーロ圏の景気回復兆候に言及したことで、ユーロが買い戻され1.1285までユーロ高が進む。ドイツなど、欧州債の金利が急上昇したこともユーロ買いにつながり、ユーロ円も約5ヶ月ぶりに140円台まで買われる。
  • 株式市場は反発。ギリシャが債権者と合意に達するとの見方が広がり、銀行株などを中心に上昇。ダウは前日比64ドル上昇したが、株式市場は依然としてもみ合いが続く。
  • 債券市場は続落。欧州で金利が上昇した影響もあり、債券が売られ長期金利は昨年11月以来となる2.36%台まで上昇。
  • 金、原油は共に反落。

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    5月ADP雇用者数     → 20.1万人
    4月貿易収支        → −409億ドル
    5月ISM非製造業景況指数 → 55.7
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    ドル/円 124.00 〜 124.68
    ユーロ/ドル 1.1079 〜 1.1285
    ユーロ/円 138.12 〜 140.12
    NYダウ +64.33 → 18,076.27ドル
    GOLD −9.50 → 1,184.90ドル
    WTI −1.62 → 59.64ドル
    米10年国債 +0.1 → 2.364%

    本日の注目イベント

    • 豪   豪4月小売売上高
    • 豪   豪4月貿易収支
    • 英   BOE金融政策発表
    • 米   新規失業保険申請件数
    • 米   タルーロ・FRB理事講演

    ドル円は123円台まで下落したものの、底堅く推移しています。125円台まで上昇した後の123円台ということもあり、ドル買い意欲は強いようです。「122円台まで下がれば、ドルを買いたい」という声も聞かれましたが、この春先には「押し目」を待ってもドルが下がらず、結局買えなかった苦い経験もあることから、早めのドル買いに出たといった見方もあるようです。

    昨日はADP雇用者数が発表になり、ほぼ市場予想通りの結果でした。貿易収支の赤字幅が大きく改善していましたが、こちらは輸出が順調に伸びた影響です。ややサプライズは、長期金利の上昇です。昨日は前日比10bp(ベーシスポイント)上昇し、2.36%台まで金利が上昇(価格は下落)しました。この水準は、昨年11月以来の高水準です。

    この欄でも何度か、「ドル支援材料がない中でのドル高はやや行きすぎ」といった意味のコメントをしましたが、昨日は金利上昇という強い味方の出現です。これは、ECBのドラギ総裁が、「ボラティリティの高い局面に市場は順応する必要がある」と発言したことで、ドイツをはじめ欧州債が売られ、金利が上昇したことの影響と見られます。同総裁はまた、景気についても「景気回復は裾野を広げ、内需は金融政策措置によってさらに支えられるはずだ。回復はわれわれの予想通りに進展している」と述べ、ユーロ圏の景気回復に強い自信を見せました。

    この発言を受けて、ユーロは主要通貨に対して急伸し、対ドルでは1.1285まで上昇し、対円でも約5ヶ月ぶりとなる140円台までユーロ高が進行しました。確かにユーロ圏の経済指標を見ると、景気が底入れしつつあることは窺えますが、まだ回復という言葉を使うほどではないと思われます。長い期間にわたって、低金利とユーロ安が続いてきたことで、ようやく前方に明かりが見えてきた状況です。ただ、ここからユーロがさらに上昇するようだと、景気回復シナリオに水を差すことにもなりかねません。5月にユーロが急騰した時のように、ECB要人からの「口先介入」の可能性には注意が必要です。

    ドル円は、上昇トレンドを維持しながら足踏みをしているところです。明日の雇用統計がどう出るかが、今後の相場展開にとって重要なことは言うまでもありませんが、上述のように長期金利がじわじわと上昇して来ました。9月の利上げを徐々に織り込んだ動きと見られますが、まだ米経済指標には力強さを感じるほどの好調さは見られません。FRBは年後半の景気回復には自信を持っているようですが、明日の雇用時計の結果を皮切りに、今後の経済指標の内容が予想通り良好なものであれば、ドル円は再び125円台に乗せ、127円程度まではドル高が進むと予想しています。

    125円を上回る円安局面では、政府内からは円安を懸念する発言も出そうですが、重要なのは米国からそのような発言がでるかどうかです。国内からの円安懸念発言だけでは、トレンドを変えることはできないからです。本日のドル円は123円80銭〜124円80銭程度を予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    4/1 山本幸三・衆議院議員 「追加緩和は(展望リポート)が公表になる、30日会合が良いタイミングだ」ロイター通信とのインタビューで。 市場はドル買い円売りで反応
    4/10 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「最近の経済データに見られる弱さは一時的なものである可能性が高い。6月の利上げ開始への支持は変わっていない」講演で。 ------
    4/13 浜田・内閣府参与 「購買力平価からすると120円はかなり円安。105円ぐらいが妥当」TV番組で。 ドル円120円台前半から119円68銭近辺まで下落。
    4/15 ドラギ・ECB総裁 「われわれが導入した金融政策措置が奏功していることを示す明確な証拠がある」理事会後の記者会見で。 ユーロが買われる。
    4/16 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「雇用やインフレに関する最近の統計に弱さが見られるのは、米国経済が利上げをする準備が整っていないことを意味する」講演で。 ------
    4/23 黒田・日銀総裁 「(追加緩和に関して)サプライズによって効果を出そうとは考えていない」参院財政金融委員会で。 ------
    4/24 山本幸三・衆議院議員 「(30日の決定会合を控えて)日銀が何もしないという話はちょっとあり得ない」ブルームバーグとのインタビューで。 ------
    5/12 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「今の段階で今後の金融政策の方向性を決定する必要はない。データを注視し、様子を見ている」講演で。 ------
    5/18 エバンス・シカゴ連銀総裁 「私の経済見通しやリスクのバランスの評価からは、来年の早い時期まで利上げ開始に十分な自信が持てるようにはなれないというのが現在の認識だ」講演で。 ------
    5/22 イエレン・FRB議長 「想定通りに景気の回復が続いた場合は、年内いずれかの時点でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標引き上の最初の措置を講じることが適切になるだろう」講演で。 ドル円、ユーロドルともに ドル高が進行。
    5/28 麻生・財務大臣 「足元の円安方向に、この数日間を見れば荒い動きがある」G7に参加する途中で。 ドル円124円台半ばから123円台半ばまで急落。
    6/3 ドラギ・ECB総裁 「景気回復は裾野を広げ、内需は金融政策措置によってさらに支えられるはずだ。回復はわれわれの予想通りに進展している」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.12台後半、ユーロ円140円台に。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和