2015年7月16日(木)
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- イエレン議長の議会証言では、特にサプライズはなかったものの引き続き年内の利上げ開始が適切との発言に、ドル円は123円97銭まで買われた。長期金利は低下したものの、発表された経済指標が概ね良好でドルを下支えした。
- ドル高が進んだことから、ユーロドルも大きく下落。1.0930までユーロ安が進み、安値圏で取り引きを終える。
- 株式市場は5日ぶりに反落。ギリシャ議会で審議が始まったことや、緊縮策に反対するデモが拡大したことを嫌気して、3主要株価指数は揃って小幅に下落。
- 債券市場は反発。イエレン議長が利上げペースは緩やかになるとの認識を示したことから債券は買われた。長期金利は2.35%台まで低下。
- ドル高が進んだことで金は続落し、年初来安値を更新。原油も大きく売られ51ドル台に。
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6月生産者物価指数 → +0.4%
7月NY連銀製造業景気指数 → 3.86
6月鉱工業生産 → +0.3%
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ドル/円 123.41 〜 123.97 ユーロ/ドル 1.0930 〜 1.1016 ユーロ/円 135.36 〜 135.97 NYダウ −3.41 → 18,050.17ドル GOLD −6.10 → 1,147.40ドル WTI −1.63 → 51.41ドル 米10年国債 −0.046 → 2.355% 本日の注目イベント
- 欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(改定値)
- 欧 ユーロ圏5月貿易収支
- 欧 ECB金融政策発表
- 欧 ドラギ・ECB総裁記者会見
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 7月NAHB住宅市場指数
- 米 7月フィラデルフィア連銀景況指数
- 米 イエレン議長、上院で議会証言
- 米 企業決算 →ゴールドマン・サックス、シティーグループ、グーグル、ブラック・ストーン
注目されたイエレンFRB議長の議会証言では、これまでの内容を繰り返しただけで、特にサプライズはありませんでした。それでも市場では年内の利上げを意識されてドルが買われ、円やユーロが売られています。この日発表されたNY連銀製造業景況指数などの経済指標が良好だったこともドル高を支えた形でした。
イエレン議長は公聴会で「経済が予想通り前進していけば、年内いずれかの時点でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標引き上げが適切になる可能性が高い」と指摘しました。議長は、ギリシャ問題や中国のリスクはあるとしながらも、米景気は年後半には成長が加速するとの認識も示し、失業率は緩やかに低下すると述べました。
事実、米GDPは第一四半期が最も低調で、年の後半にかけて伸びていくことが多く、議長はこの点を意識して発言したものと思われます。ただ同時に年内の利上げ見通しはあくまでも予想であり、「ある特定の時期に利上げするとの意図を示したステートメントではない」とも語っています。(ブルームバーグ)
さらに、利上げを遅らせた場合の弊害にも触れ、仮に利上げを遅らせた場合、その後の利上げのペースが急激になる可能性があることも指摘しています。市場の見方は9月利上げを意識したコメントはなかったことから、現時点では12月利上げがコンセンサスに なりつつあります。今月28−29日にもFOMCが開催されますが、今回はイエレン議長の会見はなく、声明文が公表されるだけです。従って、今後9月のFOMCまでにイエレン議長の利上げに関するメッセージを聞くことは、基本的にはありません。焦点は、8月と9月の初めに発表される雇用統計次第ということになりそうです。
ギリシャ議会ではユーロ圏側から要求された緊縮策につての審議が始まりましたが、アテネでは反対派のデモ隊が警察と衝突し、一部が暴動化しています。議会では、ツァカロトス財務相が、議員らに対して「私の仲間であるあなた方に言っておきたい。13日の午前9時半が私の人生で最も難しい瞬間だった。生涯重荷になるような決断だった。われわれが正しいことをしたかどうかは分からないが、これをする以外に選択肢はなかったことは確かだ」と、債権国側の条件をのんだのは、苦渋の決断だったことを説明しました。(ブルームバーグ)議会では15日までに緊縮策を承認し法制化する必要がありますが、大差で可決されると見られています。
ドル円は昨日のNY市場で123円97銭と、6月26日以来のドル高水準を記録していますが、この時も結局124円台は覗かずに折り返しています。従って、今日も124円台に乗せて安定できるかどうかがポイントになります。ギリシャ・リスクが後退し、中国株も政府の懸命のサポートが今のところ功を奏していることで、リスクオンが強まっていますが、まだ125円を抜けてドルが上昇していくイメージは描きにくい状況です。レンジブレイクにはさらに材料が必要かと思います。本日のレンジは123円40銭〜124円40銭程度と予想します。
What's going on?
「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。日時 発言者 内容 市場への影響 6/3 ドラギ・ECB総裁 「景気回復は裾野を広げ、内需は金融政策措置によってさらに支えられるはずだ。回復はわれわれの予想通りに進展している」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.12台後半、ユーロ円140円台に。 6/10 黒田・日銀総裁 実行為替レートについて、「ここからさらに円安はありそうにない」衆院財務金融委員会で。 ドル円、124円70銭から122円50銭近辺まで急落 6/16 チプラス・ギリシャ首相 「苦境に陥れた犯罪の責任者はIMFにある」「ECBは金融で窒息させる戦術とてっている」自国の議員に。 ------ 6/16 メルケル・ドイツ首相 「債権者側の3機関がギリシャと解決策を見つけられるよう支援することに全力を注いでいる。それが私の仕事だ。ギリシャをユーロ圏にとどめるためできることは全てしたい」講演で。 ------ 6/18 シェリング・オーストリア財務相 「ゲームは終わった」ユーロ圏財務相会合前に記者団に。 ------ 6/23 パウエル・FRB理事 「米国の景気が十分回復して月に初回利上げを決定できる確率はだいたい半々だ」講演で。 ドル円123円台後半から124円台に 6/28 ダドリー・NY連銀総裁 「今後も経済指標が最近にように改善を続けるならば、9月の利上げは十分可能性がある」講演で。 ------ 7/7 メルケル・ドイツ首相 「解決策を見出すのにわれわれに残された時間はわずか数日だ」ユーロ圏首脳会議後に。 ------ 7/10 イエレン・FRB議長 「金融政策の正常化を始めるのが年内のいつかの時点で適切になるだろうと考える。しかしながら強調しておきたいのは、想定外の展開によっては最初の一歩を先送り、あるいは早めることもあり得るということだ」講演で。 ------



