今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2015年8月25日(火)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は早朝、株価の急落に歩調を合わせ一気に116円台前半まで急落。NYダウが1000ドルを超える下げを見せたことでパニック的なドル売り円買いが起きた。その後は値をもどしたものの、不安定な展開が続き、118円台半ばで取引を終える。
  • ユーロドルでも急激なドル売りユーロ買いがおき、ユーロドルは1.1713まで買われる。
  • 株式市場は大幅続落。早朝にはダウが1000ドルを超えて下落。その後は大きく値を戻すなど乱高下が続き、結局ダウは前日比588ドル安で取引を終える。
  • 債券相場は続伸。リスク回避の流れが加速し、長期金利は一時2%割れの水準まで低下。
  • 金は反落。原油価格は37ドル台まで下落し、38ドル台前半で引ける。
    ドル/円 116.15 〜 120.09
    ユーロ/ドル 1.1493 〜 1.1713
    ユーロ/円 136.02 〜 138.04
    NYダウ −588.40 → 15,871.35ドル
    GOLD −6.00 → 1,153.66ドル
    WTI −2.21 → 38.24ドル
    米10年国債 −0.024 → 2.006%

    本日の注目イベント

    • 中  中国 7月景気先行指数
    • 独  独4−6月期GDP(改定値)
    • 独  独8月IFO景況指数
    • 米  6月FHFA住宅価格指数
    • 米  6月ケースシラー住宅価格指数
    • 米  7月新築住宅販売件数
    • 米  8月消費者信頼感指数

    ドル円は1日で約6円の下落でした。NY市場の早朝に、ダウが一気に1000ドルを超える下げを見せたことで、ドル円も数分で116円台前半まで落ち、パニック的なドル売りが相場を押し下げました。想定外の動きで、2010年5月のゴールデンウィークの最後の日に同じようなことがあったことを思い起こしました。この時も丁度同じようにダウは1000ドル下げ、ドル円が5円、ユーロ円が10円落ちました。原因は定かではなく、株式注文の誤りであったのではないかとも報道もありました。「フラッシュ・クラッシュ」と呼ばれています。

    今回の下げは行きすぎだと思います。中国発の景気減速懸念が、世界景気の減速を想起させ、世界同時株安を招いたということですが、米景気の好調さは変わらず、ましてや日本企業の好調さも主要国の中では郡を抜いてます。それにも関わらず、ダウは昨日1000ドルを超える下げを見せ、日経平均株価もシカゴ先物市場では1万7000円台前半まで売られました。

    今回の金融市場の混乱は、上海株式市場の暴落から始まり、中国の人民元切り下げ、さらには中国政府の株価対策など、中国発の動揺が世界中に伝播した形です。上海株の急落があった際には、多くの市場参加者が「中国限定」の混乱だろうと見ていましたが、そこにFRBの利上げ観測が強まり、NY株の下落が鮮明になり、その後日本を含む、アジア株にも影響したことで、世界同時株安につながったものです。想定以上に株が売られ、ドルが売られましたが、「それが市場」だと言ってしまえばその通です。

    問題はこの混乱がいつまで続き、何をきっかに下げどまるかということです。しばらくは混乱が続きそうですが、個人投資家の皆さんはここは冷静に様子を見るしかありません。先ずは、ポジションを減らし、強制ロスカットにならないようポジションの管理を徹底することです。2008年のリーマンショックとは状況が違います。正常な状態に戻るには1ヶ月ほどかかるかもしれませんが、リーマンの時のように年単位ではありません。

    今回のパニックが中国不安と米利上げ観測が主因だとすれば、正常化へのきっかけはその二つを取り除くしか方法はありません。9月の利上げは、これでほぼなくなったと考えています。さすがに世界同時株安が進行している中、9月のFOMCでの利上げは考えられません。米国では、多くの個人投資家が株式投資に参加しています。そのため、株価の良し悪しが、個人消費に直接結びつきやすく、ダウが高値から引け値ベースで2500ドル以上も下げていることで、今後個人消費を冷え込ませる要因の一つになります。27日には、ジャクソンホールでフィッシャーFRB副議長の発言も聞かれることと思いますが、ここで明確に利上げがないことを示唆すれば、混乱が収まるきっかけになろうかと思います。

    中国の景気減速不安についてはなんとも言えません。中国政府が通貨による刺激策ではなく、内需を中心とした景気対策を出すことを期待するしかありません。ドル円相場は昨日116円台を記録したことで、テクニカル的には「日足」までの上昇トレンドは崩れています。まだ「週足」では上昇トレンドを維持していますが、ここが崩れるようだと「トレンドの大転換」が起こる可能性もあり、注意深く見ておく必要があります。本日の予想レンジは117円〜119円80銭とワイドに見ます。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    6/3 ドラギ・ECB総裁 「景気回復は裾野を広げ、内需は金融政策措置によってさらに支えられるはずだ。回復はわれわれの予想通りに進展している」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.12台後半、ユーロ円140円台に。
    6/10 黒田・日銀総裁 実行為替レートについて、「ここからさらに円安はありそうにない」衆院財務金融委員会で。 ドル円、124円70銭から122円50銭近辺まで急落
    6/16 チプラス・ギリシャ首相 「苦境に陥れた犯罪の責任者はIMFにある」「ECBは金融で窒息させる戦術とてっている」自国の議員に。 ------
    6/16 メルケル・ドイツ首相 「債権者側の3機関がギリシャと解決策を見つけられるよう支援することに全力を注いでいる。それが私の仕事だ。ギリシャをユーロ圏にとどめるためできることは全てしたい」講演で。 ------
    6/18 シェリング・オーストリア財務相 「ゲームは終わった」ユーロ圏財務相会合前に記者団に。 ------
    6/23 パウエル・FRB理事 「米国の景気が十分回復して月に初回利上げを決定できる確率はだいたい半々だ」講演で。 ドル円123円台後半から124円台に
    6/28 ダドリー・NY連銀総裁 「今後も経済指標が最近にように改善を続けるならば、9月の利上げは十分可能性がある」講演で。 ------
    7/7 メルケル・ドイツ首相 「解決策を見出すのにわれわれに残された時間はわずか数日だ」ユーロ圏首脳会議後に。 ------
    7/10 イエレン・FRB議長 「金融政策の正常化を始めるのが年内のいつかの時点で適切になるだろうと考える。しかしながら強調しておきたいのは、想定外の展開によっては最初の一歩を先送り、あるいは早めることもあり得るということだ」講演で。 ------
    7/31 ブラード・セントルイス連銀総裁 「景気の見通しは引き続きかなり良好だ」、「25bpの利上げは経済にとっては大したことではない」」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円123円台半ば →124円手前まで上昇
    8/4 ロックハート・アトランタ連銀総裁 「私の個人的見解は、現在のところ行動しないことへのハードルは高い」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円124円→124円40銭まで上昇
    8/5 パウエル・FRB理事 「時は近づいている。6月のFOMC会合では大半のメンバーが、年内いずれかの時点で利上げする状況になったとの認識を持っていたと思う」CNBCとのインタビューで。 ドル買いが強まる
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和