今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2015年10月29日(木)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • FOMCで利上げは見送られたものの、声明文では依然として年内の利上げの可能性を残したことでドルが大幅に上昇。ドル円は120円近辺から121円26銭まで急騰。
  • ユーロドルは声明文を受けて急落。1.11手前から1.09を割り込み、約3ヶ月ぶりのユーロ安を記録。ユーロは主要通貨に対しても全面安となり、対円でも131円台後半まで下落。
  • 株式市場はFOMC声明文発表後は売られたが、その後は切りかえし、銀行やエネルギー株が上昇。ダウは198ドル上昇し、1万8000ドルを窺う水準に。
  • 債券市場は年内利上げの可能性が残ったことで反落。2年債の利回りが急上昇し、長期金利も2.1%台まで上昇。
  • 金は反発。原油は在庫が増えていなかったことで大幅に反発。
    ドル/円 120.02 〜 121.26
    ユーロ/ドル 1.0896〜 1.1097
    ユーロ/円 131.97 〜 133.54
    NYダウ +198.09 → 17,779.52ドル
    GOLD +10.30  → 1,176.10ドル
    WTI +2.74  →   45.94ドル
    米10年国債 +0.063  → 2.100%

    本日の注目イベント

    • 日  9月鉱工業生産
    • 独  独10月雇用統計
    • 独  独10月消費者物価指数(速報値)
    • 米  7−9月期GDP(速報値)
    • 米  新規失業保険申請件数
    • 米  9月中古住宅販売成約指数

    今朝方発表されたFOMCでは、予想通り利上げは見送られたものの、次回12月の会合で利上げをするかどうかを判断するといった文言が盛り込まれ、年内利上げの可能性が残されたことで、市場の反応は「予想以上にタカ派」と捉えられ、ドル高、金利高、株高が急速に進みました。特にユーロドルは1.11近辺から200ポイント程下落し、12月のECBの追加緩和観測を先取りする格好でユーロ安が進行しました。

    今回のFOMCでは利上げは先ずないと見られており、問題は声明文の中に「年内の利上げの可能性を示唆する文言があるかどうか」という点が焦点でした。声明文では「次回会合で(政策金利の)目標レンジ引き上げが適切になるかどうかを判断する」とあり、次回12月15−16日の会合での利上げの可能性を残しています。

    予想外に「タカ派」と受け止められたのは、労働市場について「雇用の増加ペースは減速し、失業率は横ばいだった。それでもなお、ならしてみると、労働市場の指標は労働力の活用不足の度合いが今年の早い段階以降に小さくなってきたことを示している」と文言があった点です。 また、インフレ率についても「短期的には最近の低い水準にとどまるとみられるが、労働市場が一層改善され、早い時期のエネルギー価格と輸入価格の下落による一時的な影響がなくなるのに伴い、中期的に2%に向けて徐々に上昇すると委員会は見込んでいる」としています。

    これらはいずれも、このところの軟調な経済指標の割には、金融当局は楽観的な見方をしており、 逆に言えば、先行きに自信をもっている表れといえないこともありません。 こうなると、来週発表される10月の雇用統計が一段と重要性を増して来ることになります。 今回のFOMCでは、政策変更にサプライズはなかったものの、声明文にはややサプライズがあったと言えます。 これで、今度はいよいよ日銀の出番です。 明日の金融政策決定会合で「追加緩和」があるのか、ないのか、非常に注目されます。

    先日もここで述べましたが、現時点での予想は拮抗していますが、「緩和なし」とする見方が優勢です。為替と株価の水準からみれば、ここであえてカードを切る必要はないと、これまでにも書き述べてきましたが、一方では2%の物価目標を達成するためには「なんでもする」と言い切った日銀が、達成が非常に困難な状況下で緩和に踏み切らない場合、日銀は信頼性を失う、という見方も海外勢を中心にあるようです。現時点では、為替や株価の水準に加えて、政治的な圧力もないと思われ、総合的に見ればカードは「温存」される可能性が高いと思われます。 ただ、それでも今回のFOMC声明文同様、黒田総裁が記者会見の席で、追加緩和に前向きな発言を 繰り返すようだと、市場もそれなりに反応することが十分考えられます。

    NY株式市場で株価が大幅に上昇していることから、日経平均株価も1万9000円乗せは必至でしょう。場合によっては1万9200円程度までの上昇があるかもしれません。ドル円も上値を試す流れかと思いますが、今週月曜日の121円59銭を抜くとも思えません。株価の上昇の割には、ドル円の動きが鈍い展開が続いているからです。もし上記水準を抜けるとすれば、やはり海外市場に頼らざるを得ません。ただ、徐々にドル高の地合が形成されつつあるとの印象は否めません。 予想レンジは120円60銭〜121円60銭程度とします。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    8/4 ロックハート・アトランタ連銀総裁 「私の個人的見解は、現在のところ行動しないことへのハードルは高い」WSJ紙とのインタビューで。 ドル円124円→124円40銭まで上昇
    8/5 パウエル・FRB理事 「時は近づいている。6月のFOMC会合では大半のメンバーが、年内いずれかの時点で利上げする状況になったとの認識を持っていたと思う」CNBCとのインタビューで。 ドル買いが強まる
    8/27 ダドリー・NY連銀総裁 「現時点での私の考えでは、9月のFOMCで正常化のプロセス開始を決定する論拠は、数週間前に比べやや弱くなっているようだ」記者会見で。 NYダウ619ドル上昇の一因に
    9/3 ドラギ・ECB総裁 「景気がさらに弱まりインフレは想定通りに回復しない場合はもちろん、QEを延長するだろう」記者会見で。 ユーロドル1.12台後半から1.10台後半に
    9/10 山本幸三・衆議院議員 「10月30日の金融政策決定会合に合わせて追加の金融緩和に踏み切るべきだ」ブルームバーグとのインタビューで。 ドル円120円台半ば〜121円33銭まで急騰
    9/17 イエレン・FRB議長 「海外での不確実性の高まりと、予想されるインフレの道筋がやや弱まったことを考慮し、(利上げのための)一層の証拠を持つことが適切だとFOMCは判断した」記者会見で。 ドル円121円近辺から120円割れまで下落
    9/24 イエレン・FRB議長 「自分自身を含めFOMC参加者の大半は年内の利上げを見込んでいる」講演で。 ドル円119円後半から、120円30銭近辺まで上昇
    10/12 ロックハート・アトランタ連銀総裁 「定義の仕方にかかわらず完全雇用という観点からゴールにとても近づいている」講演で。 --------
    10/22 ドラギ・ECB総裁 「金融緩和の度合いを、最新のマクロ経済予測が手に入る12月に再検証をする必要がある」記者会見で。 ユーロドル1.13台から1.110に急落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和