今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2015年12月17日(木)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 市場の予想通り、FOMCでは政策金利を0.25%引き上げた。ドル円は株価の上昇を好感し、122円43銭まで上昇。長期金利の上昇もドルを支え、約10年ぶりの利上げ局面を無事通過。
  • ユーロドルも下落したが下げ幅は限定的だった。1.08台後半まで下げたが方向感は見られずもみ合い。
  • 株式市場は3日続伸。初回利上げ後も利上げペースは緩やかになるとの文言が効いた。ダウは224ドル上昇し、1万7700ドル台を回復。
  • 債券相場は続落。利上げ後に2年債利回りが押し上げられたことにつられ金は大幅に反発。原油は再び35ドル台まで反落。

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    11月住宅着工件数  → 117.3万件
    11建設許可件数  → 128.9万件
    11月鉱工業生産  → −0.6%
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    ドル/円 121.38 〜 122.43
    ユーロ/ドル 1.0888 〜 1.1013
    ユーロ/円 132.92 〜 133.79
    NYダウ +224.18 → 17,749.09ドル
    GOLD +15.20 → 1,076.80ドル
    WTI −1.83 → 35.52ドル
    米10年国債 +0.024 → 2.295%

    本日の注目イベント

    • 日  11月貿易収支
    • 独  独12月IFO景況指数
    • 欧  ECB経済報告
    • 英  英11月小売売上高
    • 米  新規失業保険申請件数
    • 米  12月フィラデルフィア連銀景況指数

    FOMCでは予想通り、0.25%の利上げを全会一致で決め、これも予想通り、利上げのペースは緩やかになるとの文言が声明文にも盛り込まれ、さらに会合後の記者会見の席で、イエレン議長自身の言葉からも、同様な内容が繰り返されました。

    フェデラルファンド(FF)金利は、0〜0.25%を、0.25%引き上げ、0.25〜0.5%に変更しました。声明文では、「引き上げ後も金融政策のスタンスは引き続き緩和的であり、それにより労働市場の状況の一層の改善とインフレ率2%への回復を支えていく」と述べられ、明らかに足元の金融市場の混乱を意識した内容だったと思えます。

    また会合後の記者会見でもイエレン議長は、「FOMCは経済のパフォーマンスに影響を及ぼす急激な引き締めを回避したいと考えた」と語っており、ここでも利上げによって動揺している各市場を落ち着かせようと配慮したことが窺えます。ただ、2016年の金利予測の、いわゆるドット・チャートでは、2016年には4回利上げを行い、2016円末の金利予測(当局者17人の中央値)は1.375%だったことは、やや「タカ派的」だという印象が残ります。

    景気回復を背景に、約10年ぶりの金融引き締めへと舵を切ったわけですが、事前に利上げがある旨のメッセージを何度も発していたことで、混乱はあったものの限定的で、現時点では無事に乗り切ったと言えるでしょう。議長自身も、「景気回復は完全ではないものの、大きな成長を遂げたことは明らかだ」と述べています。

    利上げを受けてドル円は122円43銭までドル高が進みました。一部で言われていた「材料出尽くし」から、ポジションの解消によるドル売りもほとんど見られなかったことになります。テクニカル的には、この水準から上にはレジスタンスは見られません。従って意識されるのは今月8日に記録した123円05銭ということになり、123円台が次のターゲットになります。ただ、明日の日銀金融政策決定会合でサプライズでもない限り、123円台半ばから124円の「壁」は簡単には抜けないと予想しています。

    気になる原油価格の方は、利上げを受けて再び35ドル台に沈んでいます。依然として供給過剰との見方は変わっておらず、30ドルを目指す可能性も残っています。原油価格がさらに下落するようだと、先週末から見られたように、株安・ドル安が進行しやすいことになります。利上げの余波はここで収束したと考えるのは、やや早すぎると思われます。

    本日のドル円レンジは122円〜123円程度を予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    10/12 ロックハート・アトランタ連銀総裁 「定義の仕方にかかわらず完全雇用という観点からゴールにとても近づいている」講演で。 --------
    10/22 ドラギ・ECB総裁 「金融緩和の度合いを、最新のマクロ経済予測が手に入る12月に再検証をする必要がある」記者会見で。 ユーロドル1.13台から1.110に急落。
    10/28 FOMC声明文 「次回会合で(政策金利の)目標レンジ引き上げが適切になるかどうかを判断する」 ユーロドル1.1095から1.0896まで急落。
    11/4 イエレン・FRB議長 「現時点では、米経済は順調だと判断している」12月利上げの舞台は整っているとの認識を示す。(議会証言で) ドル円121円前半から121円72銭まで上昇。
    11/7 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「失業率が5%となっており、この尺度に基づけば私が完全雇用だと推定する状況に達している」講演で。 --------
    11/9 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「経済が予想通りに改善し続ける限り、12月を含む将来のFOMC会合すべてが利上げに適切なタイミングとなり得る」講演で。 --------
    11/12 エバンス・シカゴ連銀総裁 「FF金利誘導目標を2016年末まで1%を下回る水準に抑えることが適切だとみている」講演で。 --------
    12/1 エバンス・シカゴ連銀総裁 「利上げ開始の具体的な時期にかかわらず、フェデラルファンド(FF)金利が2016年末時点でなお1%未満であることが適切となる可能性が高いと考えられる」講演で。 --------
    12/2 イエレン・FRB議長 「10月のFOMC会合以降の経済と金融のデータは全般的に見て、労働市場の改善が続くというわれわれの見通しと整合的だ」講演で。 ドル円123円前半から、123円68銭まで上昇
    12/4 ドラギ・ECB総裁 「物価安定の責務を全うする上で措置を強化する必要があれば、間違いなくそうする」NYでの講演で。 --------
    12/16 FOMC声明文 「引き上げ後も金融政策のスタンスは引き続き緩和的であり、それにより労働市場の状況の一層の改善とインフレ率2%への回復を支えていく」利上げ後の声明文で。 ドル高、株高が進む
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和