今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年1月20日(水)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 中国のGDPが予想通りだったことでやや安心感が出て、ドル円は118円台前半まで上昇。日本株や欧州株が反発したことも材料になったが、NYでは原油価格が下げ止まらないことで117円台半ばまで押し戻される。
  • ユーロドルはもみ合いが続く。1.0939まで買われたが、午後には1.08台半ばまで戻され、1.08−1.10のレンジが続く。
  • 株式市場は朝方には急反発し、ダウは170ドルほど上昇。午後には原油価格が下げたことからマイナスに転じ、引けにかけて再度上昇するなど、売り買いが交錯。結局ダウは27ドルプラスで、ナスダックはマイナス11ポイントで引ける。
  • 債券相場は反落。もみ合いながらも利益確定の売りに押され、小幅に下落。長期金利は2.05%台に上昇。
  • 金は反落。原油はIEA(国際エネルギー機関)が2016年も需要が減少するとの見方を発表したこともあり続落。

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    1月NAHB住宅市場指数 → 60
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    ドル/円 117.31 〜 117.94
    ユーロ/ドル 1.0861 〜 1.0939
    ユーロ/円 128.01 〜 128.56
    NYダウ 27.94 → 16,016.02ドル
    GOLD −1.60 → 1,089.10ドル
    WTI −0.96 → 28.46ドル
    米10年国債 +0.017 → 2.052%

    本日の注目イベント

    • 独  独12月生産者物価指数
    • 欧  ダボス会議(スイス)
    • 英  英12月失業率
    • 米  12月住宅着工件数
    • 米  12月建設許可件数
    • 米  12月消費者物価指数
    • 米  企業決算 →ゴールドマン・サックス

    昨日発表された中国の2015年の実質GDPは6.9%で、市場予想通りだったことで、やや安心感が広がり、ドル円は欧州市場では118円台前半まで値を戻しました。まだ安心してドルを買える状況ではないものの、115円割れのリスクはやや後退した格好です。

    中国の経済指標は株価にも好影響を与え、日経平均株価は「今年2度目」の上昇で取引を終え、その流れは欧州市場にも引き継がれ、FTSEなど主要国の株価は久しぶりに揃って上昇しました。それでも、もう一つの不安要因である原油価格は下げ止まりません。

    IEAは19日の月報で、世界石油市場が「供給過剰であふれ返る」可能性があるとし、需要伸び悩みと経済制裁解除に伴うイラン産原油の輸出増加が、石油価格をさらに押し下げるとの見方を示しました。また、世界全体の供給過剰は上期で日量150万バレルになるとの見方も示しています。イランは昨年12月に3年半ぶりの高水準となる日量291万バレルを生産したと報告されています。(ブルームバーグ)

    WTI原油価格は、この公表を受けて引け値で28ドル台半ばで取引を終えました。加えて、昨日はIMFが世界経済見通しを発表し、前回の予想から0.2%下方修正し、3.4%としたことも、原油価格を押し下げた要因と見られます。中国をはじめ、世界の景気が鈍化すれば石油需要が減少するという見立てです。OPECが減産に向けての合意形成がなされない限り、原油価格の大幅反発は見込みにくいということになり、日銀の2%物価上昇目標にも影響を与えます。

    今年は年初から中国の景気不安に伴う原油価格の大幅下落が、投資家心理に悪影響を与え、リスク回避姿勢を継続させています。原油価格の下落は、中東など産油国の財政を直撃し、歳入のほとんどを原油輸出に依存している国は赤字を埋め合わせるため、保有している資産を売却している状況です。これが、先進国の株価が急落している要因の一つになっています。今後さらに原油価格が下がるようなら、不動産や各国国債なども売却の対象になる可能性があります。サウジなど、石油大国のシェア拡大政策が自らの首をしめている状況です。

    ドル円は株価の動きに翻弄され、方向感が見えません。上値は相当重くなっており、115円を目指す動きと捉えることもできそうですが、一方でここから大幅に円高に振れるようだと、日銀の存在が円買いにブレイキをかけることも想定されます。昨日の国会でも、安倍首相は足元の株価の下落に対して、政府と日銀が一体となって対応するとの答弁をしています。来週末には今年最初の金融政策決定会合が開かれますが、この会合で追加緩和を決定する可能性もないわけではありません。それでも慎重な対応をみせる日銀が動く可能性は低いと思われます。

    明日にはECBの理事会も開催されます。ユーロ圏でも思ったほどユーロ安が進まず、デフレ圧力は続いています。日銀よりもむしろECBが先に動く可能性もあるのではないでしょうか。そうなれば、日銀にとっても動きやすい状況になります。

    本日のドル円は117円20銭〜118円20銭程度と予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    11/4 イエレン・FRB議長 「現時点では、米経済は順調だと判断している」12月利上げの舞台は整っているとの認識を示す。(議会証言で) ドル円121円前半から121円72銭まで上昇。
    11/7 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「失業率が5%となっており、この尺度に基づけば私が完全雇用だと推定する状況に達している」講演で。 --------
    11/9 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「経済が予想通りに改善し続ける限り、12月を含む将来のFOMC会合すべてが利上げに適切なタイミングとなり得る」講演で。 --------
    11/12 エバンス・シカゴ連銀総裁 「FF金利誘導目標を2016年末まで1%を下回る水準に抑えることが適切だとみている」講演で。 --------
    12/1 エバンス・シカゴ連銀総裁 「利上げ開始の具体的な時期にかかわらず、フェデラルファンド(FF)金利が2016年末時点でなお1%未満であることが適切となる可能性が高いと考えられる」講演で。 --------
    12/2 イエレン・FRB議長 「10月のFOMC会合以降の経済と金融のデータは全般的に見て、労働市場の改善が続くというわれわれの見通しと整合的だ」講演で。 ドル円123円前半から、123円68銭まで上昇
    12/4 ドラギ・ECB総裁 「物価安定の責務を全うする上で措置を強化する必要があれば、間違いなくそうする」NYでの講演で。 --------
    12/16 FOMC声明文 「引き上げ後も金融政策のスタンスは引き続き緩和的であり、それにより労働市場の状況の一層の改善とインフレ率2%への回復を支えていく」利上げ後の声明文で。 ドル高、株高が進む
    1/6 フィッシャー・FRB副議長 「(年4回の利上げは)だいたい妥当な線」CNBCとのインタビューで。 --------
    1/7 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「この先、想定外のショックがなければ、インフレ率が近い将来に2%に戻っていくと引き続き確信している」講演で。 --------
    1/12 ラガルド・IMF専務理事 「FOMCとECB・日本銀行との間の政策かい離が続けば、ドルはさらに上昇する可能性がある」パリでの会議で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和