今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年1月28日(木)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は買い戻しが活発になり、FOMC声明文発表に向け119円台まで上昇。声明文発表後は株価が大幅に下落したこともあり118円台半ばまで反落。
  • ユーロドルもFOMCを睨んで神経質な動きとなり、1.08台半ばから1.09台前半で乱高下。
  • 株式市場は大幅に反落。FOMC声明文では世界経済の変調に特段の配慮もなかったことから売りものが膨らみ、ダウは222ドル安。アップルや銀行株が値を崩す。
  • 債券相場はもみ合いから小幅に上昇したものの、前日の水準とほぼ変わらず。
  • 金は反落。原油価格はサウジがロシアと話し合う用意があるとの報道に反発。前日比85セント上昇し、32ドル30セントで取引を終える。

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    12月新築住宅販売件数 → 54.4万件
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    ドル/円 118.34 〜 119.08
    ユーロ/ドル 1.0860 〜 1.0918
    ユーロ/円 128.76 〜 129.48
    NYダウ −222.77 → 15,944.46ドル
    GOLD −4.40 → 1,115.80ドル
    WTI +0,85 → 32.30ドル
    米10年国債 −0.003 → 2.001%

    本日の注目イベント

    • 独  独1月消費者物価指数(速報値)
    • 欧  ユーロ圏10月景況感指数
    • 欧  ユーロ圏1月消費者信頼感(確報値)
    • 英  英10−12月期GDP(速報値)
    • 米  新規失業保険申請件数
    • 米  12月耐久財受注
    • 米  12月中古住宅販売成約指数
    • 米  企業決算 → アマゾン、マイクロソフト、ブラックストーン、ビザ

    注目されたFOMCでは、政策金利は据え置かれ、声明文では世界経済や景気動向がどのように米国の見通しに影響するかを注視していくとの内容は示されたものの、「緩やかな」ペースで政策金利を引き上げていくとの方針は維持されました。中国発の混乱から世界的に景気の下振れが予想される中、景気に対する配慮からもう少し突っ込んだ言い回しを期待していましたがそれもなく、やや中途半端な声明文だったように思います。

    声明文では、「昨年12月の会合以降経済成長は減速したものの、労働市場の状況は一層改善したことが示された」と記され、「経済見通しを考慮し、委員会はフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標のレンジを0.25−0.5%で据え置くことを決定した」と述べられています。また、「金融政策のスタンスは引き続き緩和的であり、それにより労働市場の状況の一層の改善とインフレ率の2%への回復を支えていく」とも記載されており、今後利上げのペースを一段と緩やかにするといった文言などは見られません。

    これらの内容からすると、3月の利上げの可能性も排除できず、今後の経済指標次第では実施することも考えられます。経済の先行きには慎重な姿勢を示してはいるものの、今後の利上げにブレイキをかけるものでもありません。この結果、株式市場ではこれまでのFOMCの政策スタンスに変化がないことをネガティブに捉え、売り物が膨らんだと思います。

    一方為替市場ではドル円が約3週間ぶりに一時119円台に乗せ、ユーロ円などのクロス円でも概ね円売りが加速しています。もっともこれは、これまで積み上げてきた円買いの「巻き戻し」の域を出ず、まだドルが元の位置に戻るかどうかは不透明です。

    ECBとFRBの金融会合が終わり、これでいよいよ明日の日銀の決定会合を待つことになります。個人的には昨日のFOMCで、足元の混乱を沈静化させるような文言を期待していましたが、特段の配慮もなかったことで、日銀には政策の自由度がやや増したように思えます。そのため、客観的には追加緩和はあり得るものの、個人的には見送られる可能性が高いと考えています。

    昨日の日経平均株価は400円を超える上昇でした。今日の株式市場もNYが大幅に下げてはいるものの、下落幅はそれほど大きくはないと予想します。ドル円も今月6日以来となる119円台を回復する場面もありました。冷静に見れば、為替と株価の動きは先週ほど悲観的ではありません。これらから、ここであえて追加緩和というカードを切る必要性は低下していると思われます。注目すべきは、明日の黒田総裁の記者会見での発言です。これまで通り、従来の文言の繰り返しに終始すると「失望感」から再びドル売りが進み、株価を押し下げることにもなりかねません。

    市場は依然として不透明で、先行きが見通せません。為替も株もボラティリティーが高止まりしていることから、安定するには時間が必要です。値幅はともかくとして、上げ下げのスピードは速いためポジションは少なめにし、慎重な対応が求められます。本日はユーロ圏の景況感とイギリスのGDPに注目が集まりそうです。ドル円の予想レンジは118円〜119円程度といったところでしょうか。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    12/1 エバンス・シカゴ連銀総裁 「利上げ開始の具体的な時期にかかわらず、フェデラルファンド(FF)金利が2016年末時点でなお1%未満であることが適切となる可能性が高いと考えられる」講演で。 --------
    12/2 イエレン・FRB議長 「10月のFOMC会合以降の経済と金融のデータは全般的に見て、労働市場の改善が続くというわれわれの見通しと整合的だ」講演で。 ドル円123円前半から、123円68銭まで上昇
    12/4 ドラギ・ECB総裁 「物価安定の責務を全うする上で措置を強化する必要があれば、間違いなくそうする」NYでの講演で。 --------
    12/16 FOMC声明文 「引き上げ後も金融政策のスタンスは引き続き緩和的であり、それにより労働市場の状況の一層の改善とインフレ率2%への回復を支えていく」利上げ後の声明文で。 ドル高、株高が進む
    1/6 フィッシャー・FRB副議長 「(年4回の利上げは)だいたい妥当な線」CNBCとのインタビューで。 --------
    1/7 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「この先、想定外のショックがなければ、インフレ率が近い将来に2%に戻っていくと引き続き確信している」講演で。 --------
    1/12 ラガルド・IMF専務理事 「FOMCとECB・日本銀行との間の政策かい離が続けば、ドルはさらに上昇する可能性がある」パリでの会議で。 --------
    1/21 ドラギ・ECB総裁 「状況の変化に応じて政策手段を調整する」3月の理事会での追加緩和を示唆。 ユーロドル1.09台から1.07台に。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和