2016年2月10日(水)
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 日本株の急落で114円台前半まで下落したドル円は115円台を回復したものの、米金利や原油価格の下落から114円33銭まで押し戻される。その後、株価が下げ幅を縮小したことで再び115円台に戻して引ける。
- ユーロドルは続伸。ドル安が進んだことで、約3ヶ月ぶりとなる1.13台前半までユーロが買われる。
- 株式市場は小幅に続落。原油価格の下落からエネルギーやテクノロジー株が売られた。ダウは12ドル安と下げ幅を縮小して取引を終える。
- 債券相場は続伸。日欧で金利低下が進んだことから米国債も買われた。長期金利は1.72%台まで低下。
- 金は小幅に続伸。原油価格は供給過剰が意識され大幅安。約3週間ぶりに28ドルを割り込む。
ドル/円 114.33 〜 115.39 ユーロ/ドル 1.1225 〜 1.1338 ユーロ/円 128.91 〜 130.26 NYダウ −12.67 → 16,014.38ドル GOLD +0.70 → 1,198.60ドル WTI −1.75 → 27.94ドル 米10年国債 −0.022 → 1.726% 本日の注目イベント
- 中 中国1月マネーサプライ
- 英 英12月鉱工業生産
- 米 1月財政収支
- 米 イエレン議長、下院で議会証言
- 米 ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁講演
市場の混乱はさらに増幅され、昨日の東京時間では「リスクオフ」が一段と進み、長期金利がついにマイナスにまで低下して、一時はマイナス0.035%まで債券が買われました。日銀による量的緩和がそもそも行われている状況下に、安全資産の国債を購入しようという動きが加わったためです。そのドライバーとなったのが、円高と株安でした。
昨日もこの欄で述べたように、115円を割り込むとスピード感を伴って下落が加速し、昼前には114円20銭まで円が買われました。株式市場では、歩調を合わせるように株安が進み、一時は前日比950円ほど下げ、引け値でも918円安と、今年最大の下げ幅を記録しています。「マイナス金利、円高、株安」これらが何を示唆しているのか、専門家のわれわれが汲み取らなければならないはずです。
多くの個人投資家が考えているのが、長い目で見たら「絶好の買い場だとは思うけど、怖くて買えない」そんな状況ではないでしょうか。そもそも、既に含み損を抱えていることも買いをためらわせる理由になっています。ただ、冷静にチャートを眺めると、こちらは既に下落を示唆する形状に変わっています。ドル円は114円台前半まで売り込まれたことから、110円を目指している可能性もあります。「下げたら買う」のではなく、「戻したら売る」相場展開に換わっている可能性があるかもしれません。
個人的には今年1年を見た場合、ドル円は125円程度まで反発することがあると予想していましたが、年初来から続く、原油安、株安、あるいは中国景気の鈍化に加え、米国の景気そのものが怪しくなったことが「誤算」でした。米景気については、昨年第四半期からその兆候はありましたが、12月のFOMCでは約10年ぶりの利上げを決めたことで、FRBが米景気の先行きに自信を持っている証左だと判断しました。さらにその時点でのドットチャートでは2016年には4回の利上げも想定されていました。事実イエレン議長は、「米景気の強さに確信を持った」というコメントを残しています。米国が緩やかな利上げを継続する限り、ドルは底堅いと考えたわけです。
しかし上述のように、状況は一変しています。世界的に低金利が拡大し、それに追い討ちをかけるように先月末の日銀の「マイナス金利導入」でした。短期から長期にわたるイールド・カーブを低下させ、景気を刺激することと、市中銀行を通じて資金を市場に供給することを目指したものでした。結果的には日本の金利は昨日のように、10年債までもがマイナスになり、日米金利差の拡大からドル高円安に振れるとのシナリオがあったものの、米国の金利もそれ以上に低下したことから、単純に「リスクオフ」が強まっただけでした。
日本は過去に例のない「マイナス金利導入」を実施しましたが、これが正しかったか、間違いだったかは今後歴史が証明してくれることにはなりますが、この影響が個人預金にも本格的に出るようだと、想定外の動きがあるかもしれません。1700兆円ある個人資産がどの方向へ向うのか、じっくり見極める必要があります。
本日は夜中の12時にイエレン議長の議会証言があります。足元の金融市場の混乱は米国の利上げと無関係ではありません。ここは議長としても混乱を鎮静化させるためのメッセージが必要です。「利上げは一旦棚上げ」という意味合いにつながるようなメッセージを期待したいと思います。予想レンジは114円〜116円程度と見ますが、引き続きボラの高い展開が想定されます。
What's going on?
「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。日時 発言者 内容 市場への影響 1/6 フィッシャー・FRB副議長 「(年4回の利上げは)だいたい妥当な線」CNBCとのインタビューで。 -------- 1/7 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「この先、想定外のショックがなければ、インフレ率が近い将来に2%に戻っていくと引き続き確信している」講演で。 -------- 1/12 ラガルド・IMF専務理事 「FOMCとECB・日本銀行との間の政策かい離が続けば、ドルはさらに上昇する可能性がある」パリでの会議で。 -------- 1/21 ドラギ・ECB総裁 「状況の変化に応じて政策手段を調整する」3月の理事会での追加緩和を示唆。 ユーロドル1.09台から1.07台に。 2/1 フィッシャー・FRB副議長 「最近の金融市場の混乱や中国を巡る不透明感が米経済にどの程度影響を及ぼすかの判断はあまりにも難しく、米金融政策当局は次の行動を決められない」講演で。 -------- 2/2 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「最近の金融混乱は予期されていたものであり、追加利上げを先延ばしする理由にはならない」講演で。 -------- 2/4 カプラン・ダラス連銀総裁 「不透明な世界見通しが米国の雇用やインフレにおよぼす影響を見極めている」講演で。 --------



