今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年2月24日(水)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 上値の重いドル円は原油安、株安の影響からドル売りが進み、111円77銭まで続落。原油価格が急落したことで、リスクの低い円が対ドル以外でも買われた。
  • ドイツのifo景況感指数が下振れしたことで来月の追加緩和への追い風となり、ユーロドルは1.10を割り込む場面も。
  • 株式市場は反落。原油安を受け、前日の上昇から下げを拡大。ダウは188ドル下げ、6週間ぶりの高値を付けていたS&P500も1.2%下げる。
  • 原油安、株安が進んだことから債券相場は上昇。2年債の入札も堅調だったこともあり、長期金利は1.72%台に低下。
  • 金は反発。原油価格は、サウジやイランの石油相の発言を受け急落。期近の4月ものは、1ドル52セント安い31ドル台後半に。

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    12月ケースシラー住宅価格指数 →  +5.74%
    2月消費者信頼感指数   →  92.2
    1月中古住宅販売件数   →  547万件
    2月リッチモンド連銀製造業指数 →  −4
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    ドル/円 111.77 〜 112.42
    ユーロ/ドル 1.0995 〜 1.1037
    ユーロ/円 123.09 〜 123.72
    NYダウ −188.88 → 16,431.78ドル
    GOLD +12.50 → 1,222.60ドル
    WTI +0.39 → 31.87ドル
    米10年国債 −0.029 → 1.723%

    本日の注目イベント

    • 米  1月新築住宅販売件数
    • 米  ブラード・セントルイス連銀総裁講演

    ドル円はさらに下値を切り下げ111円台後半まで円高が進んで来ました。今回の円高の特徴は、今月11日に111円割れまで円高が進んだ時と比べ、円が独歩高になっている点です。ユーロ円は123円近辺まで売られ、ほぼ3年ぶりの安値まで沈み、ポンド円も156円台と、こちらも2013年11月以来の水準です。

    円が主要通貨に対して買われているのには、幾つかの材料が重なっている面があると考えられます。ユーロは3月10日の理事会で、ECBが追加緩和に踏み切るとの見方が強まって来ました。今週発表されたユーロ圏のPMIがその見方に拍車をかけており、昨日のドイツのifo景況感指数も同じような状況です。さらにイギリスのEUからの離脱問題も影響していると思われます。

    イギリスのEUからの離脱は、イギリスにとってはマイナスの影響は避けられませんが、ユーロ圏にとっても同様です。EUではドイツに次ぐ経済大国のイギリスが離脱することは、域内の人や物の動きに大きな影響が出ると見られます。ユーロ圏とイギリスとの貿易量も少なくはありません。関税などの問題も含めて、ユーロ圏にとっては厳しい状況になります。この不透明感がユーロやポンドに対して円が買われ易い状況になっています。

    加えて、米国の追加利上げ観測が大きく後退していることも円買いにつながっています。昨日の経済指標でも、住宅関連指標はまずまずでしたが、消費者マインド指数は予想を下回っていました。3月のFOMCでの利上げの可能性は、足元では五分五分ですが、個人的には「利上げ見送り」の判断をするのではないかと予想しています。

    さらに円を上昇させているのが原油価格の下落とそれに伴う株価の下落です。昨日、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は講演で、原油生産を削減しないと言明しており、イランの石油相は、サウジとロシアが先週合意した原油生産を1月水準に維持する案について、「話にならない」と一蹴しています。(ブルームバーグ)これらの発言が伝えられるとWTI原油価格は下げ足を加速させ、前日比1ドルを超える下げで反応しています。

    不安定な金融市場と商品市場が続いていますが、今週末には上海で「G20」が開催されます。「G20では何もまとまらない」との見方もありますが、通貨安定を含めて、議長国である中国がどのような采配を見せるのか注目されます。一部の見方にあるように、何も決まらなかったら、混乱がさらに深まるとして円が再び買われる展開も予想されます。

    下げ足を速めているドル円ですが、今月11日に記録した110円99銭が意識される展開になって来ました。ドルの上値が重い展開ですが、「G20」を控えて直ぐに110円を目指すのもリスクがあります。本日のレンジは111円20銭〜112円50銭程度を予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    1/6 フィッシャー・FRB副議長 「(年4回の利上げは)だいたい妥当な線」CNBCとのインタビューで。 --------
    1/7 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「この先、想定外のショックがなければ、インフレ率が近い将来に2%に戻っていくと引き続き確信している」講演で。 --------
    1/12 ラガルド・IMF専務理事 「FOMCとECB・日本銀行との間の政策かい離が続けば、ドルはさらに上昇する可能性がある」パリでの会議で。 --------
    1/21 ドラギ・ECB総裁 「状況の変化に応じて政策手段を調整する」3月の理事会での追加緩和を示唆。 ユーロドル1.09台から1.07台に。
    2/1 フィッシャー・FRB副議長 「最近の金融市場の混乱や中国を巡る不透明感が米経済にどの程度影響を及ぼすかの判断はあまりにも難しく、米金融政策当局は次の行動を決められない」講演で。 --------
    2/2 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「最近の金融混乱は予期されていたものであり、追加利上げを先延ばしする理由にはならない」講演で。 --------
    2/4 カプラン・ダラス連銀総裁 「不透明な世界見通しが米国の雇用やインフレにおよぼす影響を見極めている」講演で。 --------
    2/10 イエレン・FRB議長 「米経済は拡大が続く」「経済データ次第では利上げのぺースを減速させるのが適当」議会で。 ドル円急落。株安・債券高が急速に進む。
    2/12 中曾・日銀副総裁 「必要があれば金融緩和の質・量をさらに拡大することも可能だ」NYでの講演で。 --------
    2/16 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「金融政策がどう展開していくか確実な筋道を示すことはできないが、インフレ関連のデータが力強さを増すまで2回目の利上げを待つことが賢明だと分かるかもしれない」講演で。 --------
    2/16 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「インフレ率目標への回復が遅れれば、金融政策の正常化は急ぐべきでない」講演で。 --------
    2/18 サマーズ・元財務長官 「米金融当局が早期の追加利上げを考え直すことが建設的だ」ブルーム・バーグとのインタヴューで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和