今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年3月7日(月)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は、雇用者数が大幅に伸びたことで114円25銭まで上昇する場面があったものの、賃金の伸びが鈍化していたことで113円12銭まで下げるなど、荒っぽい動きを見せる。その後株価が続伸し、113円80銭近辺まで反発して取引を終える。
  • ドルが売られたことでユーロドルは1.10台半ばまで上昇。
  • 株式市場は続伸。雇用統計の結果を好感し、ダウは62ドル高く、1万7000ドルの大台を回復。S&P500は、昨年10月以来となる4日続伸。
  • 債券相場は続落。雇用の伸びが予想を上回ったことから、利上げ観測がやや高まった。長期金利は1.87%台まで上昇。
  • 金は続伸し、直近高値を更新。原油も35ドル台後半まで反発し、2カ月ぶりの高値に。

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    2月失業率     → 4.9%
    2月非農業部門雇用者数  → 24.2万人
    1月貿易収支    → −456.8億ドル
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    ドル/円 113.12 〜 114.25
    ユーロ/ドル 1.0903 〜 1.1043
    ユーロ/円 124.44 〜 125.59
    NYダウ +62.87 → 17,006.77ドル
    GOLD +12.50 → 1,270.70ドル
    WTI +1.35 → 35.92ドル
    米10年国債 +0.039 → 1.874%

    本日の注目イベント

    • 中  中国外貨準備高
    • 日  黒田日銀総裁k講演
    • 米  2月労働市場情勢指数(LMCI)
    • 米  1月消費者信用残高
    • 米  ブレイナード・FRB理事講演
    • 米  フィッシャー・FRB副議長講演

    米労働市場は依然として拡大傾向を示しています。2月の非農業部門雇用者数は市場予想を大きく上回る24.2万人の増加でした。ドル円は発表直後に114円台に乗せ、114円25銭まで買われましたが、その後発表された平均賃金が、1月に比べ伸びが鈍化していたことから113円台前半までドルが下落する場面もあり、荒っぽい動きを見せています

    今回の雇用統計では、雇用者数の伸びよりも、賃金がどの程度伸びているかが注目されていました。平均時給は前年比2.2%の伸びで、1月の2.5%からは鈍化していました。1月の雇用者数も上方修正され、雇用が伸びている中、賃金がそれほど上昇していない状況です。これが来週のFOMCでの利上げの判断にどのような影響を与えるのか、依然として不透明であり、利上げを決断するほど良い経済指標ではないが、利上げする余地が全くないほど悪いわけではないというのが、今の状況です。

    筆者は個人的には利上げが見送られると予想していますが、市場全体を見渡せば、1月から2月にかけて混乱した市場は、落ち着きを見せています。特に、多くの市場に影響を与える原油価格の動きが安定して来ました。WTI原油価格は先週、前日比1ドル35セント上昇し、35ドル92セントで取引を終えています。この水準は1月5日以来の水準で、26ドル台の「ダブルボトム」を形成したことが、テクニカル上では短期的な底値を付けたことを如実に物がたっています。

    原油価格が安定的に推移していることで、NYダウは先週末には1万7000ドルの大台を回復し、こちらも1月5日以来の高水準を回復し、原油価格と株価との強い相関を表しています。ただ、ドル円は年初の水準からは程遠いのが現状です。これは中国景気の不透明さや中東の地政学的リスクが重石となって、安全資産の債券が買われていることと無関係ではありません。

    先週から始まった中国の全人代では、2016年の経済成長率の目標値を6.5〜7.0%に下方修正されました。中国政府も、かつてのような二桁成長は望めないことを十分に理解し、構造改革を行うことを目標に掲げています。過剰設備や過剰人員の整理を積極的に行っていくとの方針を明確にしています。交通網の整備に、年34兆円ほどの資金を拠出して行くことも確認されています。

    いよいよ今週から日米欧3中銀の金融政策会合が開催され、市場の注目もこの一点に注がれます。まずは、10日にECB理事会が先陣を切って開催されます。ここでは、追加緩和策が決定される可能性が高く、問題はその中身です。マイナス金利の拡大や、量的緩和の拡大などが候補に挙がっていますが、昨年12月のように、その内容が「小粒」であると、失望からユーロが大きく買い戻されることになりますが、今回はその可能性は低いと予想しています。

    本日もNYダウが1万7000ドルの大台を回復したことを好感し、株価は底堅い動きを見せそうです。それでもドル円は上値が重い展開が続きそうです。レンジは113円20銭〜114円20銭程度を予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    1/6 フィッシャー・FRB副議長 「(年4回の利上げは)だいたい妥当な線」CNBCとのインタビューで。 --------
    1/7 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「この先、想定外のショックがなければ、インフレ率が近い将来に2%に戻っていくと引き続き確信している」講演で。 --------
    1/12 ラガルド・IMF専務理事 「FOMCとECB・日本銀行との間の政策かい離が続けば、ドルはさらに上昇する可能性がある」パリでの会議で。 --------
    1/21 ドラギ・ECB総裁 「状況の変化に応じて政策手段を調整する」3月の理事会での追加緩和を示唆。 ユーロドル1.09台から1.07台に。
    2/1 フィッシャー・FRB副議長 「最近の金融市場の混乱や中国を巡る不透明感が米経済にどの程度影響を及ぼすかの判断はあまりにも難しく、米金融政策当局は次の行動を決められない」講演で。 --------
    2/2 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「最近の金融混乱は予期されていたものであり、追加利上げを先延ばしする理由にはならない」講演で。 --------
    2/4 カプラン・ダラス連銀総裁 「不透明な世界見通しが米国の雇用やインフレにおよぼす影響を見極めている」講演で。 --------
    2/10 イエレン・FRB議長 「米経済は拡大が続く」「経済データ次第では利上げのぺースを減速させるのが適当」議会で。 ドル円急落。株安・債券高が急速に進む。
    2/12 中曾・日銀副総裁 「必要があれば金融緩和の質・量をさらに拡大することも可能だ」NYでの講演で。 --------
    2/16 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「金融政策がどう展開していくか確実な筋道を示すことはできないが、インフレ関連のデータが力強さを増すまで2回目の利上げを待つことが賢明だと分かるかもしれない」講演で。 --------
    2/16 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「インフレ率目標への回復が遅れれば、金融政策の正常化は急ぐべきでない」講演で。 --------
    2/18 サマーズ・元財務長官 「米金融当局が早期の追加利上げを考え直すことが建設的だ」ブルーム・バーグとのインタビューで。 --------
    2/23 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「現時点では、見通しに基本的な変化があったことをデータが示唆しているとは言えない。3月利上げの可能性は議題に残すべきだ」ブルームバーグラジオとのインタビューで。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和