今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年3月30日(水)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は113円台後半から急落。イエレン議長が利上げに対する慎重な姿勢を示したことで、112円61銭まで売られる。
  • ドルが売られたことからユーロドルも反発。約10日ぶりに1.13台までユーロ高が進む。
  • 利上げ観測が後退したことから株価は続伸。ダウは3日続伸し、1万7600ドル台まで買われ、年初来高値を更新。
  • 債券相場も続伸。イエレン議長の「ハト派」発言を材料に買われ、長期金利は1.80%台まで急落。
  • 金、原油はともに続落。

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    1月ケースシラー住宅価格指数 → +5.75%
    3月消費者信頼感指数   → 96.2
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    ドル/円 112.161 〜 113.59
    ユーロ/ドル 1.1180 〜 1.1303
    ユーロ/円 126.78 〜 127.43
    NYダウ +97.72 → 17,633.11ドル
    GOLD −1.50 → 1,220.10ドル
    WTI −1.11 → 38.28ドル
    米10年国債 −0.082 → 1.804%

    本日の注目イベント

    • 日  2月鉱工業生産
    • 独  独3月消費者物価指数(速報値)
    • 欧  ユーロ圏3月景況感指数
    • 米  3月ADP雇用者数
    • 米  エバンス・シカゴ連銀総裁講演

    4人のFOMCメンバーが揃って、利上げに前向きな発言を繰り返し、ドル円は113円台後半まで緩やかに上昇しましたが、昨日のイエレン議長の講演で、利上げ観測が後退し一気に円高に振れています。一時112円61銭までドルが売られ、再び111−114円のレンジに押し戻された形です。

    イエレン議長はNYのエコノミッククラブで講演し、「FOMCは政策調整を慎重に進めるのが適切だと私は考えている」と発言し、政策金利が再びゼロになった場合にFOMCには政策を緩和する「かなりの余地がなおある」と指摘しました。(ブルームバーグ)米金融当局が利上げを慎重に進めることが適切との認識が示されたことで、予想以上に「ハト派」と受け止めた市場は、ドルを売り、株式と債券を買い、その結果長期金利が低下しました。

    市場には、場合によっては4月にも利上げがあり得るのではないかといった雰囲気が支配的だっただけに、冷や水を浴びせられた格好になりましたが、この景色は以前にも見たことがある景色で、2月の議会証言後の動きと酷似しています。FOMC内でも、イエレン議長が特に「ハト派色」が強いような印象が残っています。

    これでドル円も再び振り出しに戻った感があります。114円にも届かず戻ってきたドル円は、今度は下値をトライすることになるかもしれません。ただ、米経済指標を見る限りそれほどドルが売り込まれる状況ではありません。昨日も3月の消費者マインド指数が発表されましたが、景気の先行きに関するマインドは決して悪くはありません。またイエレン議長に近いサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は昨日、米経済は世界経済の成長減速を乗り切りつつあると見受けられると述べるとともに、米金融当局が緩やかなペースで利上げするとの見通しを改めて示しています。

    今週末には3月の雇用統計が発表され、この結果が4月のFOMCに大きな影響を与えることには変わりはありません。昨日のイエレン発言を受けた今でも、利上げの可能性は五分五分と見られます。結局、雇用統計次第ということです。

    テクニカルを見ても特段明確なヒントは得られません。下値のサポートは「1時間足」の200日線がある112円45銭あたりと、「4時間足」の雲の下限である、112円35−40銭近辺がひとまず重要と見られます。予想レンジは112円20銭〜113円20銭程度と見ます。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    2/1 フィッシャー・FRB副議長 「最近の金融市場の混乱や中国を巡る不透明感が米経済にどの程度影響を及ぼすかの判断はあまりにも難しく、米金融政策当局は次の行動を決められない」講演で。 --------
    2/2 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「最近の金融混乱は予期されていたものであり、追加利上げを先延ばしする理由にはならない」講演で。 --------
    2/4 カプラン・ダラス連銀総裁 「不透明な世界見通しが米国の雇用やインフレにおよぼす影響を見極めている」講演で。 --------
    2/10 イエレン・FRB議長 「米経済は拡大が続く」「経済データ次第では利上げのぺースを減速させるのが適当」議会で。 ドル円急落。株安・債券高が急速に進む。
    2/12 中曾・日銀副総裁 「必要があれば金融緩和の質・量をさらに拡大することも可能だ」NYでの講演で。 --------
    2/16 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「金融政策がどう展開していくか確実な筋道を示すことはできないが、インフレ関連のデータが力強さを増すまで2回目の利上げを待つことが賢明だと分かるかもしれない」講演で。 --------
    2/16 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「インフレ率目標への回復が遅れれば、金融政策の正常化は急ぐべきでない」講演で。 --------
    2/18 サマーズ・元財務長官 「米金融当局が早期の追加利上げを考え直すことが建設的だ」ブルーム・バーグとのインタビューで。 --------
    2/23 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「現時点では、見通しに基本的な変化があったことをデータが示唆しているとは言えない。3月利上げの可能性は議題に残すべきだ」ブルームバーグラジオとのインタビューで。 --------
    3/7 黒田・日銀総裁 「今すぐに何かをやるということは考えていない」講演で。 --------
    3/10 ドラギ・ECB総裁 「一段の利下げが必要だとは考えていない」政変変更後の記者会見で。 ユーロドル1.08台前半から1.12台まで急騰
    3/16 FOMC声明文 「金融政策スタンスの漸進的調整により経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は力強さを増し続けると見込んでいる。ただし、世界の経済・金融情勢が引き続きリスクをもたらしている」 ドル円113円80銭辺りから → 112円台前半に
    3/16 スティグリッツ・コロンビア大学教授 「日銀の金融政策だけでは限界がある。次に財政政策をとることが重要だ」国際金融経済分析会合で。 --------
    3/21 ロックハ−ト・アトランタ連銀総裁 「早ければ4月末に予定されている会合も含め、今後の会合での追加措置を正当化するだけの勢いが景気にある。その勢いは経済データが裏付けている」講演で。 ドル円111円台半ばから後半へ
    3/22 エバンス・シカゴ連銀総裁 「今年の米経済成長率を2−2.5%と予想し、ファンダメンタルズが非常に良好な状態にある」講演で。 ドル円111円台半ばから112円台半ばへ上昇
    3/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 「雇用統計では力強い内容があらためて示され、労働市場は改善しつつあると見受けられる。4月利上げを支持する論拠といえそうだ」ブルームバーグとのインタビューで。 ドル円112円台後半へ上昇
    3/29 イエレン・FRB議長 「FOMCは政策調整を慎重に進めるのが適切だと私は考えている」講演で。 ドル円急落。株安・債券高が急速に進む。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和