今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年4月5日(火)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 原油が一段と下落し、株価も下げたことから円が続伸。ドル円は111円10銭まで下落した、連銀総裁の発言から若干戻したものの、111円台前半で引ける。
  • ユーロドルは1.14を中心にもみ合ったが、小幅に反落。
  • 株式市場は続落。原油価格が1ドル以上下げたことから、エネルギ−株が下げを主導。ダウは55ドル下げ、その他の主要株価指数も揃って下げる。
  • 債券相場は反発。株価や原油価格の下落から買い物を集める。長期金利は1.76%台に低下。
  • 金は続落。原油価格はサウジの生産調整への期待が後退したことから売られる。前日比1ドル9セント下げ、1カ月ぶりに35ドル台に。

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    3月労働市場情勢指数(LMCI)→ −2.1
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    ドル/円 111.10 〜 111.60
    ユーロ/ドル 1.1373 〜 1.1410
    ユーロ/円 126.45 〜 127.09
    NYダウ −55.75 → 17,737.00ドル
    GOLD −4.20 → 1,219.30ドル
    WTI −1.09 → 35.70ドル
    米10年国債 −0.009 → 1.762%

    本日の注目イベント

    • 豪  豪2月貿易収支
    • 豪  RBA、キャッシュターゲット
    • 欧  ユーロ圏2月小売売上高
    • 欧  ユーロ圏3月総合景気指数(改定値)
    • 英  英3月サービス業PMI
    • 米  2月貿易収支
    • 米  3月ISM非製造業景況指数
    • 米  エバンス・シカゴ連銀総裁講演(香港)
    • 加  カナダ2月貿易収支

    昨日この欄で、原油価格の一段の下げが楽観的な米株式市場を下落させ、株価の下落から「リスクオフ」が進み円が買われる可能性を指摘しましたが、昨日のNY市場ではほぼこの想定通りの展開でした。ドル円は111円10銭まで売られ、111円割れは回避されましたが、これは連銀総裁のタカ派的な発言に救われた格好でした。

    WTI原油価格が再び下落基調を強めてきました。一時は41ドル台半ばまで買い戻しが進んだ原油価格でしたが、供給過剰は変わらないとの見方が徐々に広がり、昨日はサウジのムハンマド皇太子の発言に大きく反応し、下げ足を強めています。氏は、「サウジが生産水準を維持するのは、イランを含む主要産油国が加わる場合に限定される」と、発言しています。(ブルームバーグ)イランが生産を増やし続ける限り、サウジは動くつもりはない、といった見方から原油が売られ、3月4日以来となる、35ドル台まで下落しています。

    「リスクオフ」が強まり、株式が売られ円が買われる展開でしたが、その根底には先週のイエレン議長の利上げに関する慎重な発言がドル円の上値を抑えていたという背景があります。加えて、NYからは日銀が緩和策を講じても円安には誘導できないといった見方も聞こえています。日銀は1月29日にマイナス金利を導入したものの、その後は円が買われる展開が続いており、日銀の金融政策では通貨安誘導に限界がある(ブルームバーグ)との観測が広がっているようです。

    ボストン連銀のローゼングレン総裁は講演で、「米景気が想定より強く、今後2年間の金融政策は先物市場が織り込んでいるよりも引き締め方向に向かう可能性がある」と発言し、市場の利上げに関する悲観的な見方をけん制しました。同総裁に限らず、FOMCメンバーである地区連銀総裁の発言は概ね、「タカ派的」で、イエレン議長の発言とは温度差があります。ただ、市場の見方はイエレン議長に近く、「利上げのペースは極めて緩やかになる」との想定からドルの上値が重くなっています。

    ドル円は徐々に上値を切り下げている様に見えます。足元では111円台は維持されていますが、軟調な日本株も米国株との相関を弱めており、円買いに作用しそうです。目先は3月17日に付けた、110円67銭あたりが弱いサポートになりそうですが、その水準を抜くようだと、110円割れを試しに行くのではないかと見ています。政府日銀が大胆な政策を取らない限り円高方向へのリスクが高いと思われます。本日のドル円は110円50銭〜111円50銭程度を予想しますが、下落方面のリスクがより高いと見られます。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    3/7 黒田・日銀総裁 「今すぐに何かをやるということは考えていない」講演で。 --------
    3/10 ドラギ・ECB総裁 「一段の利下げが必要だとは考えていない」政変変更後の記者会見で。 ユーロドル1.08台前半から1.12台まで急騰
    3/16 FOMC声明文 「金融政策スタンスの漸進的調整により経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は力強さを増し続けると見込んでいる。ただし、世界の経済・金融情勢が引き続きリスクをもたらしている」 ドル円113円80銭辺りから → 112円台前半に
    3/16 スティグリッツ・コロンビア大学教授 「日銀の金融政策だけでは限界がある。次に財政政策をとることが重要だ」国際金融経済分析会合で。 --------
    3/21 ロックハ−ト・アトランタ連銀総裁 「早ければ4月末に予定されている会合も含め、今後の会合での追加措置を正当化するだけの勢いが景気にある。その勢いは経済データが裏付けている」講演で。 ドル円111円台半ばから後半へ
    3/22 エバンス・シカゴ連銀総裁 「今年の米経済成長率を2−2.5%と予想し、ファンダメンタルズが非常に良好な状態にある」講演で。 ドル円111円台半ばから112円台半ばへ上昇
    3/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 「雇用統計では力強い内容があらためて示され、労働市場は改善しつつあると見受けられる。4月利上げを支持する論拠といえそうだ」ブルームバーグとのインタビューで。 ドル円112円台後半へ上昇
    3/29 イエレン・FRB議長 「FOMCは政策調整を慎重に進めるのが適切だと私は考えている」講演で。 ドル円急落。株安・債券高が急速に進む。
    4/4 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「米景気が想定より強く、今後2年間の金融政策は先物市場が織り込んでいるよりも引き締め方向に向かう可能性がある」講演で。 ドルがやや反発。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和