今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年5月6日(金)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は107円台を回復し、107円50銭まで上昇。雇用統計発表を控え、利益確定のドル買いが水準を押し上げる。連銀総裁のややタカ派の発言が相次いだが相場への影響は限定的だった。
  • ユーロドルは反落。前日1.15台まで買われたが雇用統計を前にポジション調整のユーロ売りに、1.13台後半まで下落。
  • 株式市場はまちまち。ダウは小幅に続伸したが、ナスダックは8ポイント下落。
  • 債券相場は続伸。10年債利回りは小幅に低下し、1.74%台と、3週間ぶりの低水準に。
  • 金は続伸。原油価格はカナダの山火事の影響から買われ44ドル台に。

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    新規失業保険申請件数数 → 27.4万件
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    ドル/円 106.81 〜 107.50
    ユーロ/ドル 1.1386 〜 1.1442
    ユーロ/円 122.09 〜 122.55
    NYダウ +9.45 → 17,660.7ドル
    GOLD +2.10 → 1,272.30ドル
    WTI +0.54 → 44.32ドル
    米10年国債 −0.025 → 1.745%

    本日の注目イベント

    • 日   4月マネタリーベース
    • 中   中国1−3経常易収支
    • 米   4月雇用統計
    • 米   3月消費者信用残高
    • 加   カナダ4月失業率

    「日銀ショック」の影響から、ドル円は前日に105円55銭近辺まで売られました。節目の105円手前では反発し、昨日のNYでは107円台半ばまでドルが買い戻されてはいますが、これは今晩の雇用統計を前に、ポジションを減らす動きで、依然としてドルの戻りを売りたいという相場観に変わりはありません。

    先週木曜日の決定会合からこれで6円以上も円高が進んだことになり、現在日本企業の2016年3月期決算が順次発表されていますが、既にその影響が出ています。問題は2017年3月期決算の見通しです。輸出企業の社内レートはいまだに110−115円程度を見込んでいるところが多く、市場の円高スピードには追いついていません。仮に105円台が定着するようだと、輸出企業全体で1兆円もの減益になるとの予想もあります。円高が株価を押し下げ、円高が進めば進むほど株価も下げることが頷けます。

    円の先高感が強いものの、それでも105円を割り込めば「介入警戒感」が急速に高まります。黒田総裁は独フランクフルトで「必要ならちゅうちょなく対応する」と述べていましたが、最早この言葉を額面どおりに受け止める向きは少なく、サミットを前にして政府日銀は介入できないのではないかという見方が広がっています。安倍首相も、訪問先のロンドンで「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」(ブルームバーグ)と述べていますが、為替の水準については あえて明言を避けています。

    この連休中、オーストラリアでは予想外の利下げを行い。中国の新財PMIも先月よりも悪化しており、市場全体がリスクオフに傾きつつあります。さらに米国の経済指標も低調でした。これらはいずれも米利上げ観測の後退につながる材料になります。そんな中、米地区連銀総裁の利上げに関する発言が相次いでありました。

    サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は、「全ての指標が正しい方向を示している」として、「年内2、3度の利上げが妥当だろうと」語り、セントルイス連銀のブラード総裁は、労働市場は力強いようだと指摘した上で、6月14、15日開催の次回FOMCで利上げが正当化されるかどうかについて、「先入観を持たずに臨む姿勢に変わりはない」と述べています。(ブルームバーグ)このように、連銀総裁は概ね利上げには前向きで、年2回程度の利上げをイメージしています。この点は、イエレン議長との温度差があるように思われ、利上げペースが緩やかになるところは一致していますが、利上げ回数についてはまだ開きがあるように思われます。

    ドル円は上でも述べたように、まだ上値が重く、戻りを売る姿勢が続いています。今夜の雇用統計がこれまでどおり好調であっても、上値は限定的ではないかと予想しています。それは、労働市場は依然として好調だという認識は共通のものであり、サプライズにはなりにくいからです。むしろ、予想外に低調だった場合の動きには注意が必要かもしれません。市場のセンチメントも悪材料には反応し、好材料には反応が鈍いという点にも注意が必要です。予想レンジは105円50銭〜108円程度と見ています。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    4/4 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「米景気が想定より強く、今後2年間の金融政策は先物市場が織り込んでいるよりも引き締め方向に向かう可能性がある」講演で。 ドルがやや反発。
    4/5 安倍首相 「通貨安競争は絶対さけなければならない。恣意的な為替市場への介入は慎まなければならない」WSJ紙とのインタビューで。 ドル売りに拍車。一時110円を割り込む
    4/7 カプラン・ダラス連銀総裁 「FRBは次の利上げ時期に近づいている」講演で。 --------
    4/7 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「米経済が現在見られるペースで雇用を生み続け、インフレが上向き続ければ、予測された形で金利を徐々に引き上げるべきであることは明白だ」フォックス・ビジネス・ネットワークとのインタビューで。 --------
    4/15 ルー・米財務長官 「最近の円高にもかかわらず、為替市場は秩序を保っている」G20後の会見で。 --------
    5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和