今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年5月9日(月)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は4月の雇用統計で、非農業部門雇用者数が予想を下回ったことで下落。106円台半ばまで売られたが、株価と金利の上昇で107円台まで反発して引ける。
  • ユーロドルも発表直後、1.14台後半まで買われたが、ドルが反発したことで、1.1387までユーロ安が進む。
  • 株式市場は雇用統計を受け、利上げ観測が後退したことで上昇。ダウは79ドル上昇し、他の株価指数も揃って上昇。
  • 債券相場は反落。株価が上昇したことからやや売り物優勢の展開となり、長期金利は1.78%台まで上昇。
  • 金は大幅に反発。原油価格も小幅に買われ44ドル台半ばに。

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    米  4月失業率     → 5.0%
    米  4月非農業部門雇用者数  → 16.0万人
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    ドル/円 106.44 〜 107.23
    ユーロ/ドル 1.1387 〜 1.1482
    ユーロ/円 121.48 〜 122.31
    NYダウ +79.92 → 17,740.53ドル
    GOLD +21.70 → 1,294.00ドル
    WTI +0.34 → 44.66ドル
    米10年国債 +0.034 → 1.779%

    本日の注目イベント

    • 日  日銀金融政策決定会合、議事要旨(3月14日、15日分)
    • 欧  ユーロ圏財務相会合(ギリシャ金融支援協議)
    • 米  4月労働市場情勢指数(LMCI)
    • 加  カナダ4月住宅着工件数

    4月の米雇用統計は市場予想よりも悪化していました。失業率は5.0%と予想通りでしたが、非農業部門雇用者数が20万人の増加予想に対して、16万人と1月以来3カ月ぶりに20万人の大台を割り込み、雇用者数の伸びも7カ月ぶりの低水準でした。さらに3月、2月ともに下方修正され、堅調だった雇用の拡大にやや不安が出て来ています。

    ドル円は雇用統計発表直後に106円台半ばまで売られましたが、その後107円台まで戻しましたが、これは、利上げ観測が後退したことが株価のプラス材料となり、株価の上昇がドルのサポートになったに過ぎません。これまで、他の経済指標に比べ好調だった労働市場が崩れると、6月の利上げが遠のき、年内利上げはせいぜい1回との見方が強まります。まだ現段階で6月の利上げがないとは判断できませんが、FOMCメンバーの予想する利上げ回数とは徐々にギャップが広がっているようにも思えます。この日もNY連銀のダドリー総裁は、年内2回の利上げは妥当だとの認識を示しています。

    ドル円は2月の急落から徐々に上値を切り下げています。日足チャートを見ると、急落後は一旦もみ合いが続き、114円台半ばがキャップされたように重くなり、ここを抜けずに水準を下げて来ました。その後は再びもみ合いに入り、今度は112円がキャップされここが抜けずに、105円台まで一段と円高が進みました。

    先週は105円55銭まで売られ、約1年半ぶりの円高水準を記録しましたが、その後は107円台後半まで押し戻されています。もっとも、この水準には「週足」の200週線があり、ここで一旦下落が抑えられた格好になっています。現在足元では107円を挟んでのもみ合いになりつつありますが、ここから再びもみ合いを終えて105円台を試すかどうかが注目されます。

    上で述べたように105円台半ばはテクニカル上では重要なレベルと見ることができ、その下の105円は心理的なサポートになります。そして105円以下では政府日銀による市場介入があるのかどうかが焦点になります。米利上げ回数が1回に留まるとすれば、105円を割り込んでいくと予想されますが、こちらはまだ不透明です。また今月下旬に開催される伊勢・志摩サミットでは、世界経済についてどのような議論があるのか、同時に日本の消費税増税延期が理解されるのかどうかによっても、今後のドル円の水準に影響を与えます。

    今週はそれ程重要な経済市場の発表はありません。そうなると105円台半ばを下値に、108円程度を上値としたレンジで推移することが考えられます。引き続き株価の動きと、原油価格からは目が離せません。原油価格と言えば、今月サウジアラビアの石油相が交替しました。新しくエネルギー産業鉱物資源相に就任したファリハ氏は、国営石油会社「サウジアラムコ」の会長です。氏は、原油価格の安定よりも販売を優先する政策をとることを既に表明しています。40ドル台で安定してきた原油価格ですが、再びシェア獲得競争が拡大すると、原油価格が市場を動かす最大のドライバーになる可能性もあります。本日のドル円は106円70銭〜108円程度を予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    4/4 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「米景気が想定より強く、今後2年間の金融政策は先物市場が織り込んでいるよりも引き締め方向に向かう可能性がある」講演で。 ドルがやや反発。
    4/5 安倍首相 「通貨安競争は絶対さけなければならない。恣意的な為替市場への介入は慎まなければならない」WSJ紙とのインタビューで。 ドル売りに拍車。一時110円を割り込む
    4/7 カプラン・ダラス連銀総裁 「FRBは次の利上げ時期に近づいている」講演で。 --------
    4/7 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「米経済が現在見られるペースで雇用を生み続け、インフレが上向き続ければ、予測された形で金利を徐々に引き上げるべきであることは明白だ」フォックス・ビジネス・ネットワークとのインタビューで。 --------
    4/15 ルー・米財務長官 「最近の円高にもかかわらず、為替市場は秩序を保っている」G20後の会見で。 --------
    5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和