今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年5月13日(金)

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 東京時間朝方に108円22銭まで売られたドル円は午後に切り返し、NYでは109円38銭まで上昇。失業保険申請件数が予想外に悪化していたことから小幅に売られ109円前後で引ける。
  • ユーロドルは膠着状態。1.14を挟んで連日もみ合いが続く。
  • 株式市場はまちまち。アップル株が売られたものの、原油価格の上昇が株価の支えに。ダウは小幅に上昇し、ナスダックは23ポイント下落。
  • 債券は下落。30年債入札が低調だったことから売り物が優勢となり、長期金利は小幅に上昇。
  • 金は反落し、原油価格は3日続伸。世界の原油供給が減少するとの見方が広がり、6カ月ぶりに47ドル台に乗せる。引け値は47セント高の46ドル70セント。

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    新規失業保険申請件数→ 29.4万件
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    ドル/円 108.62 〜 109.38
    ユーロ/ドル 1.1371 〜 1.1415
    ユーロ/円 123.72 〜 124.64
    NYダウ +9.38 → 17,720.50ドル
    GOLD −4.30 → 1,271.20ドル
    WTI +0.47 → 46.70ドル
    米10年国債 +0.015 → 1.752%

    本日の注目イベント

    • 日  黒田日銀総裁講演(内外情勢調査会)
    • 独  独1−3月期GDP(速報値)
    • 欧  ユーロ圏1−3月期GDP(改定値)
    • 米  4月小売売上高
    • 米  4月生産者物価指数
    • 米  5月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
    • 米  ウイリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁講演

    ドル円は粘り腰を見せています。昨日の朝方には株価の下落に合わせて、108円22銭まで売られ、株価次第では108円割れもあるのではないかと思っていましたが、そこから反発してNYでは109円38銭まで買われました。もっとも、上値も直近の戻り高値と同水準で抑えられ、もみ合っている状況です。

    上値は米利上げ観測の後退や、昨日発表された週間保険申請件数の増加などを材料にして抑えられており下値の方は、麻生財務大臣がはっきりと「介入」という言葉を使ったこともあり、政府日銀による介入警戒感が支えている格好です。やや気になるのが失業保険申請件数の増加傾向です。同指数は前回も予想より悪化してており、昨日の29.4万件は今年1月の第2週以来の高水準でした。

    先週末に発表された雇用統計でも、非農業部門雇用者数は16万人と、FRBが目安とする20万人を下回っていました。市場の一部には「順調に拡大してきた雇用者が減少に転じた始まり」といった声もあります。FRBのダブルマンデートの一つである「雇用の拡大」にブレイキがかかるようだと、6月の利上げにも黄信号が灯ることになり、ドル売り材料と受け止められます。まだ早いとは思いますが、5月の雇用統計が今から注目されることにもなりそうです。

    その利上げに関して、ボストン連銀のローゼングレン総裁は再びタカ派寄りの認識を示しました。総裁は、最近の経済データは緩やかなペースでの利上げ継続を正当化するとし、行動を先送りし過ぎれば商業不動産市場でバブルを引き起こす恐れがあるとの認識を示しています。また、「今後入手する経済データが労働市場の緩やかな改善を示すようであれば、金融当局は政策金利の緩やかなペースでの正常化の準備を整えるべきだ」とも語っています。(ブルームバーグ)因みに同総裁はFOMCで今年の投票権を持っています。

    ドル円は動きにくい展開ですが、背景の一つにはユーロドルの膠着化が挙げられます。ここ1週間程は1.13台半ばから1.14台半ばでもみ合いが続き、方向感がつかめません。敢えて方向感を探れば、日足を見る限りジリジリと下値を切り上げているため、1.15方向を目指しているようにも見えますが、決定的な材料は見つかりません。そのためドル円もユーロに引っ張られる展開は望みにくく、来週のG7待ちという状況のようです。それでも本日のNYでは、小売売上高とミシガン大学の消費者マインドが発表されることから、やや動きにも期待が持てるかもしれません。

    本日の予想レンジは、108円30銭〜109円30銭程度にしたいと思います。午前中に黒田日銀総裁が内外情勢調査会で講演を行います。物価基調や金融緩和についてはこれまでの内容の繰り返しになると思いますが、欧州歴訪でマイナス金利の実態を垣間見てきた後だけに、やや期待もあります。

    米国籍を持つ友人に「トランプ大統領はありえるのか」という質問をしたところ、「もう冗談はおしまいにしようぜ」という答えが返ってきました。彼の言うように、共和党の大統領候補として名乗りをあげた当初は、多くの米国民が「冗談」と受け止めていたようでしたが、今やヒラリー・クリントン氏と大統領を争そう立場に。米金融機関でも「トランプ大統領」が誕生した場合の影響を本格的に検討し始めたとか。「最後に米国人は賢い判断をするはずだから」と言った、彼の言葉を信じたいと思います。良い週末を・・・・・。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    4/4 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「米景気が想定より強く、今後2年間の金融政策は先物市場が織り込んでいるよりも引き締め方向に向かう可能性がある」講演で。 ドルがやや反発。
    4/5 安倍首相 「通貨安競争は絶対さけなければならない。恣意的な為替市場への介入は慎まなければならない」WSJ紙とのインタビューで。 ドル売りに拍車。一時110円を割り込む
    4/7 カプラン・ダラス連銀総裁 「FRBは次の利上げ時期に近づいている」講演で。 --------
    4/7 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「米経済が現在見られるペースで雇用を生み続け、インフレが上向き続ければ、予測された形で金利を徐々に引き上げるべきであることは明白だ」フォックス・ビジネス・ネットワークとのインタビューで。 --------
    4/15 ルー・米財務長官 「最近の円高にもかかわらず、為替市場は秩序を保っている」G20後の会見で。 --------
    5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 --------
    5/9 麻生財務大臣 「われわれとしては当然、介入する用意があるということを申し上げる」参院決算委員会で。 ややドル高に
    5/12 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「今後入手する経済データが労働市場の緩やかな改善を示すようであれば、金融当局は政策金利の緩やかなペースでの正常化の準備を整えるできだ」講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和