2016年5月19日(木)
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- FOMC議事録で、多くのメンバーが6月利上げが適切になるとの認識を示していたことが判明しドルが急騰。ドル円は3週間ぶりに110円台に乗せ、110円25銭まで上昇した。
- ドルが買われ、ユーロドルも3週間ぶりに1.12台前半まで下落。レンジを下抜けし、ユーロロングが切らされる展開。
- 株式市場はまちまち。利上げ観測が高まり、ダウは小幅に続落したが、ナスダックは23ポイント上昇。
- 債券相場は大幅に続落。6月利上げ観測が高まり債券には逆風となり価格は大きく下落。10年債利回りは2週間ぶりに1.85%台まで上昇し、ドル高をサポート。
- 金は小幅に反落し、原油価格は在庫が予想以上に増加していたことから反落。
ドル/円 109.32 〜 110.25 ユーロ/ドル 1.1215 〜 1.1293 ユーロ/円 123.29 〜 123.91 NYダウ −3.36 → 17,526.62ドル GOLD −2.50 → 1,274.40ドル WTI −0.12 → 48.19ドル 米10年国債 +0.083 → 1.854% 本日の注目イベント
- 豪 豪4月雇用統計
- 欧 ECB議事要旨
- 英 英4月小売売上高
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 4月景気先行総合指数
- 米 5月フィラデルフィア連銀景況指数
- 米 ダドリー・NY連銀総裁講演
ドル円は3週間ぶりに110円台に乗せ、FOMC議事録では予想以上に6月利上げに前向きだったことがドルを押し上げました。個人的には、市場が利上げに対して弱気過ぎるとの印象は持っていましたが、FOMCメンバーの多くが予想以上にタカ派的だったことが、ドル円110円台乗せの原動力でした。ただこの内容は昨日も指摘したように、地区連銀総裁のこれまでの発言を正当化させるものです。(参照:下記 What’s going on )
4月のFOMC議事録では「大半の参加者は、今後入ってくるデータが、4−6月期に経済成長が上向き、労働市場が引き続き力強さを増し、インフレが委員会の目標2%に向けて進展している状況と一致すれば、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを6月に引き上げるのが適切になる可能性が高いと判断した」と記されていました。(ブルームバーグ)詳細に読むと、利上げには越えなければならないハードルが幾つかあるものの、これまでのように、外部リスクなどへの言及もなく、6月利上げの可能性は排除できないことが示されています。
この議事内容が公表されたことで、ドルが主要通貨に対して大きく上昇しましたが、債券市場でも政策変更が反映されやすいとされる2年債利回りは急騰しました。2年債利回りは前日比6ベーシスポイント上昇し、3月以来の大幅な上げ幅になっています。また、市場が織り込む6月利上げの確率は16日の4%から32%に急上昇し、あらゆる年限の利回りが上昇しています。(ブルームバーグ)
こうなると来月発表される5月の雇用統計がますます重要になってきます。4月の雇用統計が予想外に低調で、さらにその後に発表された失業保険申請件数も、増加傾向にあります。市場はこれらの経済指標に反応し、「利上げは年内1回あるかないか程度」といった見方にバイアスがかかった経緯があります。FOMC議事録では、労働市場が引き続き力強さを増していることが利上げの条件になっていることから、6月14−15日の次回FOMCまでの労働市場関連の指標からは目が離せません。本日も、週間失業保険申請件数が発表され、さらにイエレン議長に近いとされるダドリーNY連銀総裁の講演もあり、注目度は高いと言えます。
昨日もこの欄で触れましたが、テクニカルを観るとドル円は110円台を回復したものの、この水準の上方には「雲」が立ちはだかっています。(日足)この「雲」は昨年12月18日に下抜けして以来5カ月間上回っていません。しかも現在ドル円のローソク足は「雲の入り口」に差し掛かっていますが、ここには「52日線」もあり、比較的強めの抵抗を示しています。この雲を完全に上抜けるには114円台半ばを抜ける必要があります。
もちろん、だからといってここからの一段のドル高がないわけではありません。112〜113円程度までの上昇の可能性がないとは言えません。ただこの先G7があり、さらには6月23日のイギリスの国民投票や、その前の日米の金融会合、またギリシャに対する支援問題など、円が急騰する「材料」には事欠きません。ある程度利益が乗っているポジションは手放す水準を探ってもいいのではないでしょうか。
本日は110円台を維持できるかどうかに注目していますが、レンジは109円50銭〜110円50銭程度と予想します。円安が進んだことで、輸出関連株がどこまで株価全体の上昇を牽引できるのかにも注目しています。
What's going on?
「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。日時 発言者 内容 市場への影響 4/4 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「米景気が想定より強く、今後2年間の金融政策は先物市場が織り込んでいるよりも引き締め方向に向かう可能性がある」講演で。 ドルがやや反発。 4/5 安倍首相 「通貨安競争は絶対さけなければならない。恣意的な為替市場への介入は慎まなければならない」WSJ紙とのインタビューで。 ドル売りに拍車。一時110円を割り込む 4/7 カプラン・ダラス連銀総裁 「FRBは次の利上げ時期に近づいている」講演で。 -------- 4/7 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「米経済が現在見られるペースで雇用を生み続け、インフレが上向き続ければ、予測された形で金利を徐々に引き上げるべきであることは明白だ」フォックス・ビジネス・ネットワークとのインタビューで。 -------- 4/15 ルー・米財務長官 「最近の円高にもかかわらず、為替市場は秩序を保っている」G20後の会見で。 -------- 5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 -------- 5/9 麻生財務大臣 「われわれとしては当然、介入する用意があるということを申し上げる」参院決算委員会で。 ややドル高に 5/12 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「今後入手する経済データが労働市場の緩やかな改善を示すようであれば、金融当局は政策金利の緩やかなペースでの正常化の準備を整えるべきだ」講演で。 -------- 5/13 ルー・米財務長官 「通貨安競争は連鎖する。限られたパイを奪い合うだけで世界のためにはならない」講演で。 ドル円109円台半ばから108円台半ばへ 5/13 黒田・日銀総裁 「(現在の政策の)効果がはっきりするまで待つことは全くない」講演で。 -------- 5/17 淺川・財務官 「人工的な為替介入による競争的な引き下げはしない」日経新聞とのインタビューで。 -------- 5/17 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「現在のところ私の想定では2回、場合によっては3回実施される可能性はある」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに 5/17 ロックハート・アトランタ連銀総裁 FOMC予測における「緩やかな、という表現は年2、3回の利上げを意味する」、「市場は確実に私よりも悲観的だ」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに



