2016年6月6日(月) 「雇用統計受けドル急落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 5月の雇用統計で、雇用者数の増加に急ブレーキがかかったことから、ドル円は急落。108円90銭辺りから106円台半ばまで円買いが進んだ。
- ユーロドルでもユーロ買いドル売りが優勢となったが、ドル円ほど顕著ではなく、その結果ユーロ円は120円台後半まで下落。
- 株式市場は雇用統計の結果を受け朝方は大きく下げたが、利上げ観測の後退を材料に下げ渋る。ダウは31ドル売られ、その他株価指数も軟調。
- 雇用者数の失速に債券相場は大幅に上昇。利上げ観測が後退し、昨年9月以来の大幅な上昇を見せる。長期金利は1.70%台に急低下。
- ドル安が進んだことで、このところ軟調だった金は30ドルを超える急反発。原油価格は続落し49ドル台を割り込む。
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5月失業率 → 4.7%
5月非農業部門雇用者数 → 3.8万人
4月貿易収支 → −374億ドル
5月ISM非製造業景況指数 → 52.9
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ドル/円 106.51 〜 108.90 ユーロ/ドル 1.1145 〜 1.1374 ユーロ/円 120.83 〜 121.68 NYダウ −31.50 → 17,807.36ドル GOLD +30.30 → 1,242.90ドル WTI −0.55 → 48.62ドル 米10年国債 −0.099 → 1.700% 本日の注目イベント
- 米 5月労働市場情勢指数(LMCI)
- 米 イエレン・FRB議長講演
- 米 ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演
「非農業部門雇用者数は3万8000人の増加」、思わず数字を見間違えたのではないかと思った人が多かったのではないでしょうか。市場予想16万人に対して、3.8万人の結果は「サプライズ」でした。ドル円は直前の108円90銭前後から一気に107円台に入り、NYの午後には106円51銭まで円買いドル売りが進行しました。
前回の同指標も20万人の予想に対して16万人と、好調だった米労働市場に僅かな変化の兆しが観られましたが、ここで急ブレーキがかかったことになります。今回の数字は、べライゾンのストや季節要因もあったからだとの報告もありますが、失業率が4.7%と、ほぼ「完全雇用」の状態であることを考えると、雇用者数が鈍化することに違和感はありません。ただ、それにしても少なすぎる印象は残り、今後上方修正されていく可能性が高いとは思いますが、これで今月のFOMCでの利上げは、「まずないと」思われます。
今回の雇用統計の結果を踏まえた上で、FOMCメンバーがどのような発言をしたのかを確認しておく必要があります。ブレイナード・FRB理事は、「今後のデータを待つのが有益」との認識を示し、クリーブランド連銀のメスター総裁は「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」と述べています。個人的にも、6月利上げの可能性は急速に低下したものの、7月利上げの可能性は残っていると思っております。もちろん、今後2カ月の経済指標の内容にもよりますが、FRBとしても、何とか今年初回利上げには動きたいという考えがあるのだと思います。
こうなると、今夜のイエレン議長の講演が再び注目されます。前回5月27日の講演では「数カ月内の利上げが適切になるだろう」との発言でしたが、先週末の驚きの数字を見た上で、どのような内容に変化するのかを見極めたいと思います。「数カ月内」と言う文言が消えていたり、あるいはより「ハト派」的な内容に傾いているようだと、「7月利上げもない」といった見方からドルがさらに売られる可能性があります。一方、同じような内容で留まると、依然として7月利上げの可能性を排除できないことになります。
週明けのオセアニアは市場では、106円台前半までドル安が進みましたが、ここまで来ると意識されるのは5月の連休中に記録した105円55銭という水準です。市場のセンチメントが急速に円高方向に傾いてきたため、今週中にも上記レベルを試す場面もあろうかと思います。問題は急激な円高に対して、政府日銀が介入できるのかどうかです。ルー財務長官は先週末の中国での講演でも、これまでと同じように「無秩序というハードルは高い」と、暗に日本の介入をけん制する発言を行っています。このような状況下で市場介入に踏み切るのは簡単ではないでしょう。反対に15−16日の金融政策会合で追加緩和を実施する可能性の方が高まったのではないかと考えます。本日のドル円は105円70銭〜107円20銭程度を予想します。
What's going on?
「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。日時 発言者 内容 市場への影響 5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 -------- 5/9 麻生財務大臣 「われわれとしては当然、介入する用意があるということを申し上げる」参院決算委員会で。 ややドル高に 5/12 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「今後入手する経済データが労働市場の緩やかな改善を示すようであれば、金融当局は政策金利の緩やかなペースでの正常化の準備を整えるべきだ」講演で。 -------- 5/13 ルー・米財務長官 「通貨安競争は連鎖する。限られたパイを奪い合うだけで世界のためにはならない」講演で。 ドル円109円台半ばから108円台半ばへ 5/13 黒田・日銀総裁 「(現在の政策の)効果がはっきりするまで待つことは全くない」講演で。 -------- 5/17 淺川・財務官 「人工的な為替介入による競争的な引き下げはしない」日経新聞とのインタビューで。 -------- 5/17 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「現在のところ私の想定では2回、場合によっては3回実施される可能性はある」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに 5/17 ロックハート・アトランタ連銀総裁 FOMC予測における「緩やかな、という表現は年2、3回の利上げを意味する」、「市場は確実に私よりも悲観的だ」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに 5/19 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「6月に金利を引き上げる根拠は非常に強いと考えられる」講演で。 -------- 5/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 「投票で離脱が決定される可能性はこのところ低下しているようだが、FOMCの政策決定には影響しないと考えている」講演で。 -------- 5/27 イエレン・FRB議長 「政策今利の引き上げが恐らく数カ月内に適切になるだろう」講演で。 ドル円109円台半ばから110円台に乗せる 6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 -------- 6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 --------



