2016年6月7日(火) FRB議長利上げ時期には触れず
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- ドル円は107円台で底堅く推移。イエレン議長の講演を受け、株価は反発し長期金利も上昇したことで、ドルが買い戻された。一時は107円66銭まで買われ、この日の高値圏で引ける。
- ユーロドルは小反発。1.13台前半から後半で推移し、ユーロ円の買い戻しもユーロを押し上げた。
- イエレン議長が利上げの時期に言及しなかったことから、株価は揃って反発。ダウは113ドル上昇し、1万7900ドル台を回復。S&P500は7カ月ぶりの高値を回復。
- 株価の反発から債券は売られる。前日急騰したこともありこの日は上げ一服。長期金利は1.73%台まで上昇。
- 金は続伸。原油価格はナイジェリアのパイプライン破壊のニュースに反発し、49ドル69セントまで上昇。
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5月労働市場情勢指数(LMCI) → −4.8
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ドル/円 106.84 〜 107.66 ユーロ/ドル 1.1326 〜 1.1393 ユーロ/円 121.47 〜 122.33 NYダウ +113.27 → 17,920.33ドル GOLD +4.50 → 1,247.40ドル WTI +1.07 → 49.69ドル 米10年国債 +0.037 → 1.737% 本日の注目イベント
- 豪 RBA、キャッシュターゲット
- 日 5月マネタリーベース
- 日 4月景気動向指数
- 中 中国5月外貨準備高
- 独 独4月鉱工業生産
- 欧 ユーロ圏1−3月期GDP(確定値)
- 米 4月消費者信用残高
- 米 世銀、世界経済見通し公表
注目されたイエレン議長の講演で議長は、今回の雇用者の減少には「失望した」と述べたものの、利上げの時期については言及しませんでした。前回5月27日の講演では「数カ月内に利上げをするのが適切になるだろう」と述べて、6月か7月のFOMCでの利上げの可能性が急速に高まり、ドル高に振れた経緯があります。
昨日の講演で、この「数カ月内」という文言が外されるのかどうかも一つの注目ポイントでしたが、議長はこの点には触れていません。「雇用統計に失望した」という言葉や、利上げの時期に触れなかったことを考えれば、まず6月の利上げはないものと考えられますが、議長は「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」(ブルームバーグ)とも述べており、これまで通り利上げのタイミングを探っていく姿勢は変わっていないとの認識を示しました。
このことから、6月の利上げの可能性はないものの、7月の利上げの可能性までは排除できないとの印象です。今後の経済指標次第であることはもちろんですが、先週末の雇用者数の急激な鈍化で、ドル円が一気に106円台半ばまで急落したのは「行きすぎだった」との見方も出ております。ただ市場は常に「オーバーシュート」するもので、5月3日の105円台半ばまで円高が進んだ状況と似ていなくもありません。この時は、約1カ月かけて6円の値幅を戻し、111円台半ばまで反発したことは、まだ記憶に新しいところですが、今回はどうでしょう。
イエレン議長が講演で、7月利上げの可能性を全く否定しなかったのと同じように、セントルイス連銀のブラード総裁も6日付けのウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)とのインタビューで、「7月利上げはあり得る」と述べています。また、23日に行われる英国の国民投票に関しても「結果がどうであれBrexitは米国経済にとってはそれ程問題ではないだろう」(ブルームバーグ)との見方も示しています。
個人的にも7月の利上げの可能性はないとは言えないものの、現時点ではその確率は低いと思っています。先週末の雇用者数の低水準が、一時的なものであり、来月の雇用統計発表時に上方修正され、さらに6月分も20万人近い数字が出れば、再び利上げ観測が高まりますが、今後の指標がますます注目されます。これまでにも何度か述べているように、FOMC執行部からは早い段階で今年最初の利上げを実施したいという強い意志が感じられますが、肝心の経済指標の方がままなりません。昨日発表された労働市場情勢指数(LMCI)もマイナス4.8で、こちらも今年最も悪い数字でした。FRBの苦悩はまだ続くと思われます。
ドルが買い戻され、株価も反発しました。本日は上値がどこまで伸びるのかに注目しています。「1時間足チャート」から探ると、107円80銭前後から上値がレジスタンスゾーンになろうかと思いますが、下値も106円台ではとりあえずドル買いも出そうです。よって、今日のレンジは107−108円程度を予想します。
What's going on?
「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。日時 発言者 内容 市場への影響 5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 -------- 5/9 麻生財務大臣 「われわれとしては当然、介入する用意があるということを申し上げる」参院決算委員会で。 ややドル高に 5/12 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「今後入手する経済データが労働市場の緩やかな改善を示すようであれば、金融当局は政策金利の緩やかなペースでの正常化の準備を整えるべきだ」講演で。 -------- 5/13 ルー・米財務長官 「通貨安競争は連鎖する。限られたパイを奪い合うだけで世界のためにはならない」講演で。 ドル円109円台半ばから108円台半ばへ 5/13 黒田・日銀総裁 「(現在の政策の)効果がはっきりするまで待つことは全くない」講演で。 -------- 5/17 淺川・財務官 「人工的な為替介入による競争的な引き下げはしない」日経新聞とのインタビューで。 -------- 5/17 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「現在のところ私の想定では2回、場合によっては3回実施される可能性はある」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに 5/17 ロックハート・アトランタ連銀総裁 FOMC予測における「緩やかな、という表現は年2、3回の利上げを意味する」、「市場は確実に私よりも悲観的だ」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに 5/19 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「6月に金利を引き上げる根拠は非常に強いと考えられる」講演で。 -------- 5/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 「投票で離脱が決定される可能性はこのところ低下しているようだが、FOMCの政策決定には影響しないと考えている」講演で。 -------- 5/27 イエレン・FRB議長 「政策今利の引き上げが恐らく数カ月内に適切になるだろう」講演で。 ドル円109円台半ばから110円台に乗せる 6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 -------- 6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 -------- 6/6 菅・官房長官 「投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、必要な時にはしっかりと対応してもらいたい」記者会見で。 ドル円106円80銭近辺から109円19銭まで上昇 6/6 イエレン・FRB議長 「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」講演で。 市場はドル高、株価で反応



