今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年6月8日(水) 「WTI原油価格50ドル台を回復」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 東京時間に107円台後半まで値を戻したドル円は、NYでは上値が重く、107円台前半まで押し戻される。利上げ観測の後退に伴い、長期金利が低下したことなどが背景。
  • ユーロドルは1.13台でもみ合う。値幅も30ポイントに届かず、方向感も見えない。
  • 株式市場は上げ下げまちまち。ダウは17ドル続伸したものの、ナスダックは小幅に反落。
  • 債券相場は反発。欧州債が上昇したことや、3年債入札が好調だったことで買い物を集めた。長期金利は1.71%台に低下。
  • 金は小幅に反落。原油価格は続伸し、約8カ月ぶりに引け値で50ドル台に乗せる。ナイジェリアの生産障害や石油統計で減少が予想されていることが相場を押し上げた。

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    4月消費者信用残高 → 134.16億ドル
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    ドル/円 107.16 〜 107.72
    ユーロ/ドル 1.1341 〜 1.1367
    ユーロ/円 121.65 〜 122.20
    NYダウ +17.95 → 17,938.28ドル
    GOLD −0.40 → 1,247.00ドルル
    WTI +0.67 → 50.36ドル
    米10年国債 −0.019 → 1.718%

    本日の注目イベント

    • 日  1−3月GDP(改定値)
    • 日  4月国際収支
    • 日  5月景気ウオッチャー調査
    • 中  中国5月貿易収支
    • 英  英4月鉱工業生産
    • 加  カナダ5月住宅着工件数
    • 加  カナダ4月建設許可件数

    昨日の東京時間にドル円は107円89銭までドル買いが進みましたが、108円台には届いていません。「1時間足」の雲の上抜けを試したものの、抜けずにNYでは107円16銭まで押し戻されています。目先の「レジスタンスゾーン」が抜けずに落とされ、ここまではテクニカル通りの動きと言えます。

    今朝の日経新聞の記事に、先週末の雇用統計の予想外の結果にドルが急落した際、個人投資家がドル買いを進めたことで円高に歯止めが掛かったと書かれています。確かに、当社の個人投資家の動きを見ても、雇用統計の出る前からその3時間後を比較してみると、ドル円だけでも2万3000枚ほどドル買いがあったことが確認できます。111円台半ばまでドルが反発した後だけに、買い場とみた投資家がドル買いに動いたことは事実のようです。

    月曜日のイエレン議長の発言で、雇用統計前まで高まっていた利上げ観測は急速にしぼんでしまいました。金利先物から読み取れる利上げの確率は、来週14−15日の会合で引き上げられる確率はゼロにまで低下しており、1週間前の24%から急低下しています。また、年末までの利上げを見込む確率は59%と、高水準になっています。(ブルームバーグ)雇用統計の悪化とイエレン議長の発言が市場の楽観的な見通しに冷や水を浴びせたことが窺えますが、逆にこの反応も「オーバーシュート」かもしれません。利上げを巡るFRB高官の発言に市場が翻弄される展開が続いていますが、この傾向はまだまだ終わる気配を見せません。

    昨日のNY市場ではドル円は終始107円台で推移し小動きでした。ユーロドルに至ってはさらに動きがなく、ユーロドル担当のトレーダーを悩ませています。先週末のドルの急落から足元ではやや値を戻していますが、ドル円では105ー110円のレンジに戻ったと見られます。利上げ観測の後退から米国株は堅調で、米国債も買い物を集めており、利回りは再び低下傾向を示しています。WTI原油価格の安定も株価の上昇に一役かっており、ここを見る限り「リスクオン」と言うこともできます。

    ただ為替では利上げが遠のくということでドルの上値が抑えられており、「リスクオン状況下での円高」と、ややチグハグな状態になっています。今後の材料は来週の日米の金融会合と、21日に予定されているイエレン議長の議会証言と、最後に23日のイギリスの国民投票です。その中でも、15−16日の日銀金融政策決定会合と国民投票に最も注目が集まり、相場変動の最大のドライバーになると見ています。現在の水準よりもさらに円高と株安が進めば、否応でも、日銀が今度こそは追加緩和に動くとの観測は高まります。

    現時点では6月の会合よりも、展望レポートが公表される7月会合が「本命」と見られていますが、為替や株価次第では6月にもないとは言えません。そして、イギリスの国民投票は、蓋を開けるまでは全く予想がつきません。われわれ金融市場に近い人々の「常識」が、必ずしも英国民の「常識」と一緒ではないということです。本日のドル円は106円50銭〜107円80銭程度と予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 --------
    5/9 麻生財務大臣 「われわれとしては当然、介入する用意があるということを申し上げる」参院決算委員会で。 ややドル高に
    5/12 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「今後入手する経済データが労働市場の緩やかな改善を示すようであれば、金融当局は政策金利の緩やかなペースでの正常化の準備を整えるべきだ」講演で。 --------
    5/13 ルー・米財務長官 「通貨安競争は連鎖する。限られたパイを奪い合うだけで世界のためにはならない」講演で。 ドル円109円台半ばから108円台半ばへ
    5/13 黒田・日銀総裁 「(現在の政策の)効果がはっきりするまで待つことは全くない」講演で。 --------
    5/17 淺川・財務官 「人工的な為替介入による競争的な引き下げはしない」日経新聞とのインタビューで。 --------
    5/17 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「現在のところ私の想定では2回、場合によっては3回実施される可能性はある」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに
    5/17 ロックハート・アトランタ連銀総裁 FOMC予測における「緩やかな、という表現は年2、3回の利上げを意味する」、「市場は確実に私よりも悲観的だ」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに
    5/19 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「6月に金利を引き上げる根拠は非常に強いと考えられる」講演で。 --------
    5/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 「投票で離脱が決定される可能性はこのところ低下しているようだが、FOMCの政策決定には影響しないと考えている」講演で。 --------
    5/27 イエレン・FRB議長 「政策今利の引き上げが恐らく数カ月内に適切になるだろう」講演で。 ドル円109円台半ばから110円台に乗せる
    6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 --------
    6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 --------
    6/6 菅・官房長官 「投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、必要な時にはしっかりと対応してもらいたい」記者会見で。 ドル円106円80銭近辺から109円19銭まで上昇
    6/6 イエレン・FRB議長 「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」講演で。 市場はドル高、株価で反応
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和