今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年6月9日(木) 「WTI原油価格続伸し51ドル台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 特段材料がない中、来週の利上げがなくなったとする見方や長期金利の低下を背景にドル売りが進行。106円59銭までドルが売られ、その後は107円近辺まで値を戻す。
  • ユーロドルでもドル売りが優勢。1.1411までユーロは買われ、約1カ月ぶりのドル安水準をつける。
  • 株式市場は続伸。素材株などが買われ、ダウは6週間ぶりに引け値で1万8000ドルの大台を回復。
  • 債券相場も続伸。10年債入札も好調で、長期金利は2カ月ぶりの低水準。
  • 金は続伸。原油は在庫が減少していたことを手がかりに続伸し、11ヶカ月ぶりに51ドル台に。
    ドル/円 106.59 〜 107.08
    ユーロ/ドル 1.1374 〜 1.1411
    ユーロ/円 121.46 〜 122.02
    NYダウ +66.77 → 18,005.05ドル
    GOLD +15.30 → 1,262.30ドル
    WTI +0.87 → 51.23ドル
    米10年国債 −0.016 → 1.702%

    本日の注目イベント

    • 中  中国5月消費者物価指数
    • 中  中国5月生産者物価指数
    • 独  独4月貿易収支
    • 独  独4月経常収支
    • 欧  ドラギ・ECB総裁講演
    • 英  英4月貿易収支
    • 米  新規失業保険申請件数

    NY市場では特に経済指標などの発表もなく小動きでしたが、全般的にドルが弱く、ドル円も再び106円台半ばまで押し戻される展開でした。106円台半ばは、先週末のドル急落時にも試して下げ止まったレベルで、昨日もこの水準では下げ止まったところを見ると、目先のサポート水準と言えそうです。ドルは対ユーロでも売られ、ユーロドルは約1カ月ぶりに1.14台に乗せています。

    NY市場では、来週14−15日のFOMCでは「利上げは考えられない」との見方で一致しており、株式市場や債券市場はこれを好感して続伸し、為替市場ではドル売りにつながっています。為替と株価の相関関係がやや崩れ、金利低下の方に引き寄せられる格好でドル安が進んでいます。

    105−110円のレンジ内での取引が続きそうですが、その中でも足元の動きは105円を試す方向で推移していると見られます。市場の関心は既に7月のFOMCで利上げがあるのかどうかに移っていて、その鍵を握るのは7月8日に発表される「6月の雇用統計」です。5月の雇用統計が衝撃的な減少だったことでドル売りにつながりましたが、この数字が一時的なものなのか、あるいは4月から始まった雇用拡大の鈍化が常態化するのかが焦点です。仮に「6月の雇用統計」でも予想外の低水準のようだと、7月のFOMCでの利上げの可能性も消滅し、それは「年内の利上げは1回あるかないか程度」という、最も悲観的な見方が正当化されることを意味します。

    こうなると、期待は日銀の行動に集まります。現時点ではまだそれ程緩和観測は高まってはいませんが、それも今週から来週にかけてのドル円と株価の水準次第と言えます。米国株が高値近辺で推移している限り急激な円高は想定しにくく、株高が円高の歯止めになることも考えられますが、問題はその状況が崩れた時です。米国株の急落がドル安につながると、日本株もそのまま下落し、円高が進みさらにNYへと伝播し、負のスパイラルに陥るからです。株安とドル安が同時に進む状況が日本にとって最も厳しい状況で、そうなると日銀による追加緩和の「芽」も出て来ると思われます。

    本日は週間失業保険申請件数が発表されます。先週の雇用統計がサプライズだっただけに、失業保険申請件数にも変化が現れていないかを確認することになります。ここ数週間の発表では大きな変化は見られません。予想は27万件で、先週よりは増加していると見られています。本日も上値の重い展開は変わらないでしょう。予想レンジは106円20銭〜107円30銭程度とします。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 --------
    5/9 麻生財務大臣 「われわれとしては当然、介入する用意があるということを申し上げる」参院決算委員会で。 ややドル高に
    5/12 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「今後入手する経済データが労働市場の緩やかな改善を示すようであれば、金融当局は政策金利の緩やかなペースでの正常化の準備を整えるべきだ」講演で。 --------
    5/13 ルー・米財務長官 「通貨安競争は連鎖する。限られたパイを奪い合うだけで世界のためにはならない」講演で。 ドル円109円台半ばから108円台半ばへ
    5/13 黒田・日銀総裁 「(現在の政策の)効果がはっきりするまで待つことは全くない」講演で。 --------
    5/17 淺川・財務官 「人工的な為替介入による競争的な引き下げはしない」日経新聞とのインタビューで。 --------
    5/17 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「現在のところ私の想定では2回、場合によっては3回実施される可能性はある」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに
    5/17 ロックハート・アトランタ連銀総裁 FOMC予測における「緩やかな、という表現は年2、3回の利上げを意味する」、「市場は確実に私よりも悲観的だ」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに
    5/19 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「6月に金利を引き上げる根拠は非常に強いと考えられる」講演で。 --------
    5/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 「投票で離脱が決定される可能性はこのところ低下しているようだが、FOMCの政策決定には影響しないと考えている」講演で。 --------
    5/27 イエレン・FRB議長 「政策今利の引き上げが恐らく数カ月内に適切になるだろう」講演で。 ドル円109円台半ばから110円台に乗せる
    6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 --------
    6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 --------
    6/6 菅・官房長官 「投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、必要な時にはしっかりと対応してもらいたい」記者会見で。 ドル円106円80銭近辺から109円19銭まで上昇
    6/6 イエレン・FRB議長 「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」講演で。 市場はドル高、株価で反応
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和