今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年6月13日(月) 「リスクオフムード拡大」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • イギリスの国民投票で離脱支持派が増えたとの世論調査が派発表され、ドル円は再び106円台半ばまで下落。ポンド円も151円台半ばまで売られる。
  • ユーロドルでも、ユーロ売りが優勢となり、1.1246まで下落。ユーロとポンドが売られ、ドルと円が買われた。
  • 株式市場は続落。イギリスの国民投票へのリスクが意識され、ダウは119ドル下げ、その他主要株価指数も続落。
  • 債券は続伸。リスクオフの流れから買い物を集め、長期金利は1.64%台と4カ月ぶりの低水準。
  • 金は続伸し1275ドル台に。原油は続落し50ドルを割り込む。

    ******************************
    6月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値) → 94.3
    5月財政収支 → −525億ドル
    ******************************
    ドル/円 106.56 〜 107.19
    ユーロ/ドル 1.1246 〜 1.1312
    ユーロ/円 119.91 〜 120.95
    NYダウ −119.85 → 17,865.34ドル
    GOLD +3.20 → 1,275.90ドル
    WTI −1.49 → 49.07ドル
    米10年国債 −0.047 → 1.640%

    本日の注目イベント

    • 中  中国 5月マネーサプライ
    • 中  中国 5月小売売上高
    • 中  中国 5月鉱工業生産

    イギリスの世論調査でEUからの離脱を支持する人が55%に達したとの報道で、為替、株、債券市場でリスク回避の動きが強まり、円高、株安、債券高の流れが強まってきました。経済合理性から判断したら「離脱」は考えにくいのは分かっていても、それがイギリス国民の考えとは必ずしも一致しない難しい判断になります。投票日まであと10日余りとなりましたが、調査の結果次第ではまだまだ波乱が待ち受けてます。 ミシガン大学消費者マインドはそこそこの結果でしたが、前月を下回る水準でした。6月3日の雇用統計以来、経済指標は軟調な内容が多く、今週のFOMCでは「まず利上げはない」と考えるのが妥当だと思います。今週に限って言えば、むしろ15−16日の日銀金融政策決定会合の方が不透明さと期待を集めているように思われます。

    上述のように、ここにきてイギリス国民投票のリスクが高まってきました。円高だけではく株価も下げ基調を強め、日本の長期金利もさらにマイナス幅を拡大し、欧州でも同容の展開になっています。アベノミクスの再浮上のためには、これ以上の市場の混乱は避けたいところです。エコノミストの予想では、今週の日銀会合での追加緩和実施予想は少数ですが、この後、さらに円高と株安が進めば、ないとは言い切れません。個人的にはその可能性は予想されるほど低いとは思っていません。

    本日は株価も軟調な展開が見込まれ、日経平均株価は400円前後の下げがあるかもしれません。必然的に円が買われることになりそうです。それも対ドルだけではなく、ポンドやユーロに対しても円が強含み、円全面高の展開を予想しています。ドル円の目途は106円00−30銭レベルで、106円を割り込むようだと、5月3日以来となる105円台半ばが徐々に近づくことになりそうです。

    上でも述べたように、それでも日銀が動かないようだと、105円割れを目指すことも予想されます。イギリスの国民投票をきっかに、ポンドとユーロを売る動きが強まり、そこに米利上げ観測の後退が加わってきそうです。今週は相当値動きが荒っぽいと見ていますが、週明けの今日からそんな動きがありそうです。本日の予想レンジは106円〜107円程度と見ますが、日本側からの口先介入があるかもしれませんが、足元の動きは、それでも上値は限定的だと予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 --------
    5/9 麻生財務大臣 「われわれとしては当然、介入する用意があるということを申し上げる」参院決算委員会で。 ややドル高に
    5/12 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「今後入手する経済データが労働市場の緩やかな改善を示すようであれば、金融当局は政策金利の緩やかなペースでの正常化の準備を整えるべきだ」講演で。 --------
    5/13 ルー・米財務長官 「通貨安競争は連鎖する。限られたパイを奪い合うだけで世界のためにはならない」講演で。 ドル円109円台半ばから108円台半ばへ
    5/13 黒田・日銀総裁 「(現在の政策の)効果がはっきりするまで待つことは全くない」講演で。 --------
    5/17 淺川・財務官 「人工的な為替介入による競争的な引き下げはしない」日経新聞とのインタビューで。 --------
    5/17 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「現在のところ私の想定では2回、場合によっては3回実施される可能性はある」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに
    5/17 ロックハート・アトランタ連銀総裁 FOMC予測における「緩やかな、という表現は年2、3回の利上げを意味する」、「市場は確実に私よりも悲観的だ」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに
    5/19 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「6月に金利を引き上げる根拠は非常に強いと考えられる」講演で。 --------
    5/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 「投票で離脱が決定される可能性はこのところ低下しているようだが、FOMCの政策決定には影響しないと考えている」講演で。 --------
    5/27 イエレン・FRB議長 「政策今利の引き上げが恐らく数カ月内に適切になるだろう」講演で。 ドル円109円台半ばから110円台に乗せる
    6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 --------
    6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 --------
    6/6 菅・官房長官 「投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、必要な時にはしっかりと対応してもらいたい」記者会見で。 ドル円106円80銭近辺から109円19銭まで上昇
    6/6 イエレン・FRB議長 「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」講演で。 市場はドル高、株価で反応
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和