2016年6月14日(火) 「ドル円下げ一服」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 日本株の急落に105円74銭近辺まで下げたドル円はNYでは株価下落の割りには堅調に推移。長期金利が低下し、ダウも続落したが、106円台での動きがメインだった。
- ユーロドルは1.12台から1.13に乗せたが、英国の国民投票に関する世論調査に上値が重い展開。
- 株式市場は続落。重要イベントを前に、リスク回避の流れが続きダウは132ドル安。
- 債券相場は続伸し10年債は5日連騰。リスク回避の流れから安全資産の債券に資金が集まる。日独の長期債がマイナスとゼロに近い水準であることから、米国債に資金が集中。
- 金は4日続伸。原油価格は続落し49ドルを割り込む。
ドル/円 105.96 〜 106.58 ユーロ/ドル 1.1238 〜 1.1303 ユーロ/円 119.16〜 120.32 NYダウ −132.86 → 17,732.48ドル GOLD +11.00 → 1,286.90ドル WTI −0.19 → 48.88ドル 米10年国債 −0.030 → 1.610% 本日の注目イベント
- 日 4月鉱工業生産(確定値)
- 欧 ユーロ圏4月鉱工業生産
- 英 英5月生産者物価指数
- 英 英5月消費者物価指数
- 米 5月小売売上高
- 米 FOMC (15日まで)
イギリスがEUから離脱することが現実的になってきたとの観測が高まり、世界の金融市場ではリスクオフの流れが強まっています。「イギリスは最終的にはEUに留まるはず」と予想していた向きも、やや自信がなくなり、「もしかしたら・・・」と思い始めてきたようです。この現象は、今米国で行われている大統領選でも見られ、「もしかしたらトランプ氏が・・・」。米英の国民意識がなかなか読み切れません。
市場の恐怖心は「VIX指数」によく表れています。この指数は別名「恐怖指数」とも呼ばれ、リスクが高まると上昇しますが、昨日のシカゴでは「20」を超え、昨年12月以来の高水準になっています。この背景はイギリスの国民投票と、本日から始まるFOMCを材料視しており、市場が最も嫌う「不透明さ」が増しているからです。
ブルームバーグは、イギリスがEUからの離脱に向っていることを、2つの新しい世論調査が示していると伝えています。ICMの発表によると、1000人を対象に6月10−13日に実施した電話調査では、離脱派が50%で、残留派が45%だったようです。また、同期間に2001人を対象としたオンライン調査でも、離脱派が49%で、残留派は45%だったと報じており、ここ最近は他の調査でも離脱派が勢いを増していることが示されています。もし離脱が現実になった場合、イギリスからの独立を何度も試みているスコットランドにも影響がでてくる可能性もあり、イギリス経済にとっては相当厳しい逆風になりそうです。
それにしてもドーバー海峡を越えたイギリスの危機を日本株が最も影響を受けているところが、今の日本の状況をよく表しているとも言えます。昨日、日経平均株価はほぼ600円ほど下げ、突出した下げ率でした。株価の下げは円買いにつながり、昨日は1カ月ぶりに105円74銭近辺まで円高が進みました。安全だと見られている円や債券が買われ、リスクの高い株が売られる展開です。
加えて、本日からはFOMCが開催されます。利上げはほぼないと予想されますが、明日(日本時間16日未明)の声明文やイエレン議長の発言が注目されます。7月のFOMCでの利上げをにじませるのか、あるいは7月でも利上げができないのか、市場は議長の言葉からそのヒントを探ろうとします。しかも今回は議長の記者会見後、約8時間後に日銀金融政策決定会合の結果も判明します。相場が荒れないわけはありません。
本日はやや円高圧力が低下したと見ていますが、株価次第では昨日のように105円台半ばを試しに行くことも考えられます。5月3日に記録した105円台半ばは、今日の東京時間に限っては抜けないと予想しますが、夕方からはわかりません。新たなイギリスからの情報などに左右されそうです。予想レンジは105円50銭〜106円50銭程度にしたいと思います。リスクは依然として下方にあることには注意する必要があります。
What's going on?
「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。日時 発言者 内容 市場への影響 5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 -------- 5/9 麻生財務大臣 「われわれとしては当然、介入する用意があるということを申し上げる」参院決算委員会で。 ややドル高に 5/12 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「今後入手する経済データが労働市場の緩やかな改善を示すようであれば、金融当局は政策金利の緩やかなペースでの正常化の準備を整えるべきだ」講演で。 -------- 5/13 ルー・米財務長官 「通貨安競争は連鎖する。限られたパイを奪い合うだけで世界のためにはならない」講演で。 ドル円109円台半ばから108円台半ばへ 5/13 黒田・日銀総裁 「(現在の政策の)効果がはっきりするまで待つことは全くない」講演で。 -------- 5/17 淺川・財務官 「人工的な為替介入による競争的な引き下げはしない」日経新聞とのインタビューで。 -------- 5/17 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「現在のところ私の想定では2回、場合によっては3回実施される可能性はある」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに 5/17 ロックハート・アトランタ連銀総裁 FOMC予測における「緩やかな、という表現は年2、3回の利上げを意味する」、「市場は確実に私よりも悲観的だ」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに 5/19 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「6月に金利を引き上げる根拠は非常に強いと考えられる」講演で。 -------- 5/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 「投票で離脱が決定される可能性はこのところ低下しているようだが、FOMCの政策決定には影響しないと考えている」講演で。 -------- 5/27 イエレン・FRB議長 「政策今利の引き上げが恐らく数カ月内に適切になるだろう」講演で。 ドル円109円台半ばから110円台に乗せる 6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 -------- 6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 -------- 6/6 菅・官房長官 「投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、必要な時にはしっかりと対応してもらいたい」記者会見で。 ドル円106円80銭近辺から109円19銭まで上昇 6/6 イエレン・FRB議長 「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」講演で。 市場はドル高、株価で反応



