2016年6月21日(火) 「ドル円再び下値をトライか?」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場
- 英国のEU離脱の可能性がやや低下したことを材料に、ドル円は東京時間に104円83銭近辺まで上昇したが、NYではポンドやユーロが対ドルで買い戻されたことに伴い円買いが進む。一時は103円77銭までドル安円高に振れる。
- ユーロドルではユーロの買い戻しが活発となり、1.13台半ばまでユーロ高が進む。
- 株式市場は英国のEUからの離脱懸念が後退したことを好感し続伸。ダウは一時270ドル上昇する場面もあったが、引けにかけては軟調に。結局ダウは先週末比129ドル高で取引を終える。
- 債券相場も混乱が回避できるとの見方から売り物が優勢となり続落。長期金利は1.68%台まで急上昇。
- 安全資産の金は売られ、原油は大幅に続伸し49ドル台を回復。
ドル/円 103.77 〜 104.65 ユーロ/ドル 1.1303 〜 1.1357 ユーロ/円 117.35 〜 118.64 NYダウ +129.71 → 17,804.87ドル GOLD −2.70 → 1,292.10ドル WTI +1.39 → 49.37ドル 米10年国債 +0.081 → 1.689% 本日の注目イベント
- 豪 RBA議事録
- 日 4月鉱工業生産(確定値)
- 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(4月27日、28日分)
- 独 独6月ZEW景況感指数
- 英 英5月財政収支
- 英 英イングランド銀行臨時オペ
- 米 イエレン・FRB議長議会証言(上院)
英国のEUへの残留を支持する方が離脱支持よりも上回ったことを好感し、金融市場はこれまでのポジションの巻き戻しが活発となり、安全資産の国債が売られ、リスク資産の株式が買い戻され、売り込まれていたポンドとユーロが対ドルで上昇しました。円も、本来なら安全通貨として買われていたため、売られてもいいはずでしたが、ドル売りポンド買いの流れから、ドル売り円買いが進んだものと思われます。株価と長期金利の上昇は材料視されなかった形になっています。ポンドやユーロが買い戻され強含んだものの、円はそれ以上に買われました。
本日は上院でイエレン議長の議会証言があり、議長は前回のFOMC後の記者会見で英国の国民投票が不確定要因であることに触れていたことから、ややハト派的発言が予想されることも円が買われた背景と見られます。英国の国民投票を巡る世論調査の結果はまだまだ分からず不確定です。どちらが勝っても、その差は恐らく僅差になると見られており、最後までわかりません。
資産家のウィルバー・ロス氏は英国のEUからの離脱が国民投票で決まれば、「世界史上で最も費用のかかる離婚手続き」になるだろうと指摘したと、ブルームバーグは伝えています。英国への経済的打撃はかなり深刻なものになると英財務省も警告しています。
株式と債券市場はやや落ち着きを取り戻していますが、為替市場ではまだ「安全通貨」の円を買う動きは収まってはいません。ドル円は昨日のNYで103円77銭まで売られ、先週記録した103円55銭が再び視野に入って来ました。やや心配なのは、このように一気に円高に向うのではなく、ジリジリと円が買われる展開です。
このような動きが続くと、いつの間にか円が1円も2円も上昇していることに気づかず、円高が進んだという感覚を持ちにくいものです。通貨当局も投機的な動きとは認識できずに、「介入」に踏み切るタイミングを見つけにくいという問題もあります。ドル円は既に5月3日に記録した円高水準を2円ほど上回っています。ただその割には政府関係者からは円高をけん制する発言は目だってはいません。今朝の経済紙によると、黒田総裁も金融政策の効果を最大限に引き出すためには、これまでのサプライズ路線ではなく、予見性を重要すると、スタンスを変えたのではないかとの記事もありました。英国の国民投票の結果が判明するまでは、ジリジリと円が買われる展開が続くと予想しています。
本日も株価の動きが重要です。NYダウは大幅高を見せましたが、為替が円高に振れたことで本日の日経平均株価は下落が予想されます。再び300円〜500円ほどの大幅下落を見せるようだと、それに伴ってドル円も103円台半ばをテストすることが考えられます。依然として上値が思い展開の中、どこまでドルが下げるかが焦点です。英国からのポジィティブなニュースがない限り、予想レンジは103円〜104円30銭程度と見ています。
What's going on?
「What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。日時 発言者 内容 市場への影響 5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 -------- 5/9 麻生財務大臣 「われわれとしては当然、介入する用意があるということを申し上げる」参院決算委員会で。 ややドル高に 5/12 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「今後入手する経済データが労働市場の緩やかな改善を示すようであれば、金融当局は政策金利の緩やかなペースでの正常化の準備を整えるべきだ」講演で。 -------- 5/13 ルー・米財務長官 「通貨安競争は連鎖する。限られたパイを奪い合うだけで世界のためにはならない」講演で。 ドル円109円台半ばから108円台半ばへ 5/13 黒田・日銀総裁 「(現在の政策の)効果がはっきりするまで待つことは全くない」講演で。 -------- 5/17 淺川・財務官 「人工的な為替介入による競争的な引き下げはしない」日経新聞とのインタビューで。 -------- 5/17 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「現在のところ私の想定では2回、場合によっては3回実施される可能性はある」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに 5/17 ロックハート・アトランタ連銀総裁 FOMC予測における「緩やかな、という表現は年2、3回の利上げを意味する」、「市場は確実に私よりも悲観的だ」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに 5/19 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「6月に金利を引き上げる根拠は非常に強いと考えられる」講演で。 -------- 5/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 「投票で離脱が決定される可能性はこのところ低下しているようだが、FOMCの政策決定には影響しないと考えている」講演で。 -------- 5/27 イエレン・FRB議長 「政策今利の引き上げが恐らく数カ月内に適切になるだろう」講演で。 ドル円109円台半ばから110円台に乗せる 6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 -------- 6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 -------- 6/6 菅・官房長官 「投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、必要な時にはしっかりと対応してもらいたい」記者会見で。 ドル円106円80銭近辺から109円19銭まで上昇 6/6 イエレン・FRB議長 「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」講演で。 市場はドル高、株価で反応 6/15 イエレン・FRB議長 「われわれが議論した不確定要因の一つで、この日の決定において考慮された」「米経済見通しに影響を及ぼす可能性があり、その見通しは政策の適切な進路を判断する一因になるだろう」英国の国民投票に関して、FOMC後の記者会見で。 ドル円105円台後半から105円41銭近辺まで下落



