今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年6月22日(水) 「ドル円105円台に乗せるも上値が重い」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 英国のEUからの離脱の可能性がやや低下したことや、ドラギ総裁が議会で、国民投票後のいかなる事態にも備えていると発言したことでドル円は一時105円台に乗せる。
  • ユーロドルの反応は限定的。1.13から1.12台前半までユーロ安が進む。
  • 株式市場は3日続伸。イエレン議長の議会証言では国民投票のリスクに対しての言及はあったが、利上げに関する発言はなかった。ダウは24ドル上昇し、リスクオフはやや後退。
  • 債券相場は4日続落。5年債入札で需要が低水準だったことで長期債も売られる。長期金利は2週間ぶりに1.7%台まで上昇。
  • ドルが上昇したことで金は19ドル下げる。原油価格も3日ぶりに反落。
    ドル/円 104.35 〜 105.06
    ユーロ/ドル 1.1242 〜 1.1320
    ユーロ/円 117.49 〜 118.25
    NYダウ +24.86 → 17,829.73ドル
    GOLD −19.60 → 1,272.50ドル
    WTI −0.52 → 48.85ドル
    米10年国債 +0.017 → 1.706%

    本日の注目イベント

    • 欧  ユーロ圏6月消費者信頼感(速報値)
    • 米  5月中古住宅販売件数
    • 米  4月FHFA住宅価格指数
    • 米  イエレン・FRB議長議会証言(下院)
    • 米  パウエル・FRB理事講演
    • 加  カナダ4月小売売上高

    昨日の朝方には株価の下落に伴って、ドル円は103円57銭辺りまで下落しましたが、その後はやや反発し、NY市場ではドラギ総裁の発言から、英国の国民投票の結果でも混乱は避けられるとの見方がやや広がり、安心感からドル円は105円台に乗せる場面もありました。引き続き値幅を伴った神経質な動きです。

    ドラギ総裁は議会証言で、「英国のEU離脱を問う国民投票後のいかなる緊急事態にも備えている」と発言しています。ただ世界経済は引き続き脆弱な状態で、地政学的展開により、下振れリスクは依然大きいと指摘。そのため、ECBは金融政策で実体経済への効果的な浸透を図り、緩やかながら景気を安定させると述べています。(ブルームバーグ)ドラギ総裁のこの発言で、市場の混乱がある程度鎮静化するとの見方が広がり、円が売られ、株価の上昇につながったと思われます。

    一方注目されていたイエレン議長の議会証言では、特に目立った発言はなく市場への影響はありませんでした。金融政策への言及はなかったものの英国の国民投票については、「経済にリスクをもたらしている」とし、「EU離脱となれば極めて大きな影響が及ぶ恐れがある」と語り、「金融政策当局は米経済が改善の明確な兆しをいつ見せるかではなく、見せるかどうかを注意して見守っていると」と述べました。(ブルームバーグ)

    言うまでもなく、目先の最大のリスクは明日の英国の国民投票の結果です。国民投票は現地時間夜の10時まで行われ、その後に開票が始まります。日本時間の昼頃には結果が判明するのではないかと見られていますが、僅差が予想され、出口調査の結果もマスメディアからは発表されないことになっているため、日本時間夕方まで結果は分からないのではないかといった見方もあります。そのため、どちらの結果が出ても直後の相場は大きく変動すると見ています。

    「離脱か残留か」わかりませんが、ドル円の動きを見ていると、仮に「残留」が決まってドルが買い戻されて上昇したところが「ドルの売り場」と見ている人が多いようです。その水準が108円台なのか、あるいは110円台なのかは分かりませんが、戻り売りを志向する人が多いのは事実のようです。

    問題は「離脱」が決まった場合です。直近の世論調査が「残留派有利」と伝えているだけに、この場合の反応は相当なものになるだろうと予想されます。円買いが急速に進み、ドル円は100円を試す動きも想定されます。その際に、政府日銀が介入に踏み切れるかどうかが重要になってきます。昨日配信されたブルームバーグのニュースでは、最も売られる通貨がポンドで、最も買われる通貨が円だとすれば、日銀とBOEで「円売りポンド買い」の協調介入を実施すればいいとの記事もありました。現実的ではないにしろ、その選択肢を完全に排除するわけにもいきません。今回の国民投票はそれほど、非常時で為替市場にとっては「未経験」の出来事だということです。本日のドル円は104円〜105円30銭程度を予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    5/5 安倍首相 「為替の急激な変動は、例えばわが国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど望ましくはない」ロンドンで記者団に。 --------
    5/9 麻生財務大臣 「われわれとしては当然、介入する用意があるということを申し上げる」参院決算委員会で。 ややドル高に
    5/12 ローゼングレン・ボストン連銀総裁 「今後入手する経済データが労働市場の緩やかな改善を示すようであれば、金融当局は政策金利の緩やかなペースでの正常化の準備を整えるべきだ」講演で。 --------
    5/13 ルー・米財務長官 「通貨安競争は連鎖する。限られたパイを奪い合うだけで世界のためにはならない」講演で。 ドル円109円台半ばから108円台半ばへ
    5/13 黒田・日銀総裁 「(現在の政策の)効果がはっきりするまで待つことは全くない」講演で。 --------
    5/17 淺川・財務官 「人工的な為替介入による競争的な引き下げはしない」日経新聞とのインタビューで。 --------
    5/17 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「現在のところ私の想定では2回、場合によっては3回実施される可能性はある」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに
    5/17 ロックハート・アトランタ連銀総裁 FOMC予測における「緩やかな、という表現は年2、3回の利上げを意味する」、「市場は確実に私よりも悲観的だ」講演で。 ドル円109円台半ばから109円割れに
    5/19 ラッカー・リッチモンド連銀総裁 「6月に金利を引き上げる根拠は非常に強いと考えられる」講演で。 --------
    5/23 ブラード・セントルイス連銀総裁 「投票で離脱が決定される可能性はこのところ低下しているようだが、FOMCの政策決定には影響しないと考えている」講演で。 --------
    5/27 イエレン・FRB議長 「政策今利の引き上げが恐らく数カ月内に適切になるだろう」講演で。 ドル円109円台半ばから110円台に乗せる
    6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 --------
    6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 --------
    6/6 菅・官房長官 「投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、必要な時にはしっかりと対応してもらいたい」記者会見で。 ドル円106円80銭近辺から109円19銭まで上昇
    6/6 イエレン・FRB議長 「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」講演で。 市場はドル高、株価で反応
    6/15 イエレン・FRB議長 「われわれが議論した不確定要因の一つで、この日の決定において考慮された」「米経済見通しに影響を及ぼす可能性があり、その見通しは政策の適切な進路を判断する一因になるだろう」英国の国民投票に関して、FOMC後の記者会見で。 ドル円105円台後半から105円41銭近辺まで下落
    6/21 ドラギ・ECB総裁 「英国のEU離脱を問う国民投票後のいかなる緊急事態にも備えている」欧州議会で。 ドル高株高に寄与
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和