今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年7月1日(金) 「BOE総裁金融緩和を示唆」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は米国株が3日続けて大幅高になったことで上昇。103円台を回復し、103円29銭までドル高が進む。BOEのカーニー総裁が金融緩和を示唆したことが影響。
  • ユーロドルは横ばい。1.11台まで上昇したものの、売り押され、1.10台前半まで売られる。BOE総裁の発言を受けてポンドは再び大幅下落。
  • 米株は3日続伸。BOE総裁が金融緩和を示唆したことでFTSEが上昇し、その流れを受け大幅高。ダウは235ドル上昇し先週末からの下落分の8割強を埋める。
  • 債券相場も上昇。長期金利は再び1.5%を割り込み、1.47%台まで低下。
  • ドルが買われたことで金と原油は反落。

    ***********************
    新規失業保険申請件数   → 26.8万件
    6月シカゴ購買部協会景気指数 → 56.8
    ***********************
    ドル/円 102.35 〜 103.29
    ユーロ/ドル 1.1023 〜 1.1124
    ユーロ/円 113.33 〜 114.75
    NYダウ +235.31 → 17,929.99ドル
    GOLD −6.30 → 1,320.60ドル
    WTI −1.55 → 48.33ドル
    米10年国債 −0.046 → 1.470%

    本日の注目イベント

    • 日  5月消費者物価指数
    • 日  5月失業率
    • 日  6月日銀短観
    • 日  エネルギーと生鮮食品を除く消費者物価指数(日銀)
    • 中  中国 6月製造業PMI
    • 中  中国 6月非製造業PMI
    • 中  中国 6月財新サービス業PMI
    • 欧  ユーロ圏6月製造業PMI(改定値)
    • 欧  ユーロ圏5月失業率
    • 英  英6月製造業PMI
    • 米  6月ISM製造業景況指数

    EUからの離脱を決めた英国で、イングランド銀行(BOE)のカーニー総裁が講演し、「景気見通しは悪化した。夏の間に何らかの金融緩和が必要になる公算が大きい」(ブルームバーグ)と語り、今後数カ月以内に金融政策を緩和する必要があるとの考えを示しました。

    この発言を受けて、ポンドは対ドルで200ポイント近く下落し、対円やユーロでも売られています。一方金融緩和観測が高まったことで英国株は上昇し、この影響でNYダウは前日比235ドルも上昇し、リスクオンが拡大したことでドル円は103円台前半までドル高が進行しました。今朝方には103円40銭近辺まで上昇しましたが、NYでは先週金曜日の「ブラック・フライデー」でドル円が急落した後の「戻り高値」水準で上昇を抑えられた格好になっています。

    ロンドンの株式市場をはじめ欧州株が上昇したことを受け、NYでは株価が続伸しドル円をサポートしています。NYダウはこの日も235ドル上昇し、これで3日連続で200ドルを超える大幅な上昇を見せ、この間の上昇幅も790ドル近い急反発です、英国のEUからの離脱を嫌気して大きく売られたNYダウでしたが、この3日間の上昇を見る限りは欧州不安も払拭された印象です。カーニーBOE総裁の「市場の反応を予想した」、巧みな対話能力のなせる技だと言えます。因みに同総裁はカナダ人で、2013年にカナダ中銀から歴史あるイングランド銀行に迎えられた人で、カナダ中銀総裁時代から「名総裁」とうたわれた人物です。

    英国のEU離脱が決まってから1週間がたち、市場は落ち着きを取り戻して来ました。ドル円もあの日以来100円割れを見せてはいません。英国が正式にEUから離脱すのに、まだ相当な時間を要することや、実際にはその影響を見極めにくいなどといった背景があり、少なくともリーマンショックとは大きく異なるとの見方があります。ただこのまま元の状態に戻るとは思えず、今後欧州がその影響を徐々に受けることにはなろうと思います。昨日もこの欄で述べましたが、それでも「UKショック」のピークは過ぎただろうと考えております。

    「UKショック」後に初めてとなるFOMCメンバーによる講演がありました。セントルイス連銀のブラード総裁はロンドンで講演し、年1回の利上げ予想を変更したかとの質問に対して、「今後2年間に英国のEU離脱が、米国に大きな影響を与えると予想してないため、今のところ予想を維持する」と述べています。(ブルームバーグ)ブラード総裁は6月15日のFOMCでは、年内の利上げを1回と見ている人物の一人で、同総裁が利上げ予想を変更したとしたら、年内の利上げはないと見ていることになり、ドル売り材料と捉えられます。

    NYダウの大幅続伸を好感し、日本株も上昇が見込まれますが、昨日の様に日中は一時は2000円近い上昇を見せながらも、引け値では結局小幅高に終わるようなら、ドル円の上昇も限定的だと予想します。103円台を維持できるかどうかと、さらには上昇した際に103円台半ばを超えられるかがポイントになりそうです。予想レンジは102円50銭〜103円50銭程度とみます。


    ちょうど1週間前に英国は国民投票でEU離脱を選択しました。市場は「まさか」の結果に、パニックに陥り、為替、株式、金などの相場は大混乱しました。1週間が経過し市場は落ち着きを取り戻しつつありますが、報道によると、国民投票締め切り数時間後に「EU」に関する、英国民によるグーグルでの検索数が急増したそうです。「EUって何?」。多くの国民がEU離脱の意味を理解しないまま投票した可能性がありそうです。国民投票は究極の直接民主制度ですが、「覆水盆に返らず」・・・。良い週末を・・・・・。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 --------
    6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 --------
    6/6 菅・官房長官 「投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、必要な時にはしっかりと対応してもらいたい」記者会見で。 ドル円106円80銭近辺から109円19銭まで上昇
    6/6 イエレン・FRB議長 「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」講演で。 市場はドル高、株価で反応
    6/15 イエレン・FRB議長 「われわれが議論した不確定要因の一つで、この日の決定において考慮された」「米経済見通しに影響を及ぼす可能性があり、その見通しは政策の適切な進路を判断する一因になるだろう」英国の国民投票に関して、FOMC後の記者会見で。 ドル円105円台後半から105円41銭近辺まで下落
    6/21 ドラギ・ECB総裁 「英国のEU離脱を問う国民投票後のいかなる緊急事態にも備えている」欧州議会で。 ドル高株高に寄与
    6/30 カーニー・BOE総裁 「景気見通しは悪化した。夏の間に何らかの金融緩和が必要になる公算が大きい」講演で。 ポンド急落、FTSEは大幅上昇
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和