今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年7月7日(木) 「ドル円欧州市場で100円台前半まで下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 東京市場で株安ドル安が進んだ流れを受け、欧州市場でドル円は一時100円20銭まで売られ、英国がEUからの離脱を決めた6月24日以来の円高水準を記録。NYでは経済指標が良好だったことや、FOMC議事録では多くのメンバーが利上げには前向きだったことで、101円台半ばまで反発。
  • ユーロドルは引き続き1.11を挟んだもみ合い。イタリアの金融不安などを背景に上値が重いものの、1.10台前半では下げ渋る。
  • 株式市場は反発。米景気に対する慎重な見方が後退し、3指数は揃って反発。医薬品株などが相場を押し上げダウは78ドル高。
  • 債券相場は続伸し、10年債利回りは引け値では過去最低を更新。一時は1.31%台まで低下し、引け値では1.36%台まで戻す。
  • ドルが売られたことで金は続伸。1367ドル台で引け、2014年3月以来の高値に。原油も小幅に反発し47ドル台を回復。

    **********************
    5月貿易収支     → −411億ドル
    6月ISM非製造業景況指数 → 56.5
    **********************
    ドル/円 100.52 〜 101.47
    ユーロ/ドル 1.1029 〜 1.1112
    ユーロ/円 111.08 〜 112.61
    NYダウ +78.00 → 17,918.62ドル
    GOLD +8.40 → 1,367.10ドル
    WTI +0.83 → 47.43ドル
    米10年国債 −0.007 → 1.368%

    本日の注目イベント

    • 独  独5月鉱工業生産
    • 米  6月ADP雇用者数
    • 米  新規失業保険申請件数
    • 米  米週間原油在庫
    • 加  カナダ5月建設許可件数

    いつものように、株安に引っ張られるようにドル円は下落し、昨日の欧州市場では100円20銭までドル安円高が進み、辛うじて100円割れは回避した格好です。101円台後半で取引が開始された東京市場でしたが、もみ合い後、日経平均株価が500円を超える下げを見せると、101円を割り込んで、100円台後半までドルが売られ、欧州でもその流れが引き継がれ100円台前半までの円高を見ています。

    6月24日のドル急落は英国のEUからの離脱が引き金でしたが、昨日の第二弾は、やはり英国の不動産ファンドの解約停止がきっかけで、これもEU離脱の影響です。加えて、イタリアの金融不安が台頭し、欧州の銀行株は軒並み売られ、ドイツの大手銀行にも経営不安がささやかれています。まさに火元は欧州ですが、対岸の日本が真っ先に炎上し、大火に見舞われ慌てふためいている状況と言えます。

    昨日も述べましたが、100−105円のレンジは今のところ維持されてはいますが、リスクは依然として下方にあります。今夜のADPと明日の雇用統計で、雇用者数が大きく伸びていれば再び利上げ観測の高まりからドルが反発する可能性は残っていますが、それでも多くの市場参加者は「戻りを売りたい」と待ち構えています。反対に、5月のそれのように予想外な結果が出ると、一気に100円を割り込み、あのEU離脱時のような展開も十分予想されます。市場参加者が戻りを売る姿勢を何らかの理由で維持できなくなるような事態にならない限り、ドルの上値は重いと見ざるを得ません。

    米国の利上げ観測の後退が鮮明になり、足元の金利先物が示す利上げ回数は、「あってもせいぜい1回」と、極端に悲観的です。そこに欧州の混乱が加わり、安全通貨の円が選好されていますが、ある意味避けられないことかもしれません。100円をしっかりと割り込めば、今度は100円が上値の目途になり、レジスタンスポイントとなることも考えられます。100円以下の「二桁相場」が定着しないよう、ここは通貨当局の断固とした対応が求められますが、正直、ここも余り期待できない状況のようです。

    思えば5月の大型連休のさなかに、ドル円は一気に105円台半ばまで急落しました。この時麻生財務大臣は「介入」という言葉を使い、市場に「介入警戒感」植えつけることに成功しました。ドル円はその効果もあり、111円台前半まで6円も反発した記憶はまだ鮮明だろうと思います。今回の英国のEU離脱後の水準は、105円台よりもはるかに円高水準ですが、どうゆうわけか、今回は通貨当局からのコメントや「口先介入」は全くありません。コメントしないのか、できないのかはわかりませんが、これで100円を大きく割りこんでも同じような状況であれば、市場は「介入できない」との見方を強め、安心してドル売り円買いを進めてくることも想定されます。

    政府日銀が市場介入できないのかどうかは、今月中にははっきりすると思われます。雇用統計や日米の金融会合、それに英国の保守党党首選など、相場を動かす材料が多く、今月中にはその結果も判明するからです。上記材料の一つでも円高が進む内容であれば100円を割込む可能性は高いと見ていますが、その際の通貨当局の動きには注意したいと思います。過度の介入期待は危険ですが、逆に円高方向に楽観的すぎるのも危険です。100円を割り込めば、「いつ介入があってもおかしくはない」水準だからです。本日のレンジは100円30銭〜101円50銭程度を予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 --------
    6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 --------
    6/6 菅・官房長官 「投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、必要な時にはしっかりと対応してもらいたい」記者会見で。 ドル円106円80銭近辺から109円19銭まで上昇
    6/6 イエレン・FRB議長 「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」講演で。 市場はドル高、株価で反応
    6/15 イエレン・FRB議長 「われわれが議論した不確定要因の一つで、この日の決定において考慮された」「米経済見通しに影響を及ぼす可能性があり、その見通しは政策の適切な進路を判断する一因になるだろう」英国の国民投票に関して、FOMC後の記者会見で。 ドル円105円台後半から105円41銭近辺まで下落
    6/21 ドラギ・ECB総裁 「英国のEU離脱を問う国民投票後のいかなる緊急事態にも備えている」欧州議会で。 ドル高株高に寄与
    6/30 カーニー・BOE総裁 「景気見通しは悪化した。夏の間に何らかの金融緩和が必要になる公算が大きい」講演で。 ポンド急落、FTSEは大幅上昇
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和