今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年7月20日(水) 「ドルの底堅さ続く」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は引き続き堅調に推移。米住宅関連指標が上振れしたことで、106円53銭まで上昇。英国のEU離脱前の水準にほぼ戻った格好に。
  • ドル高からユーロドルも1.100まで下落。1.10から1.11台後半のレンジを抜け切れるかが注目される。
  • 株式市場は高安まちまちながら、ダウは25ドル上昇し、これで8営業日続伸。マイクロソフトなどの決算が好感された。
  • 債券相場は反発。IMFが世界経済を下方修正したことから債券に資金が向った。10年債利回りは1.55%台に低下。
  • 金は小幅に続伸し、原油は続落。

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     6月住宅着工件数 → 118.9万件
     6月建設許可件数 → 115.3万件
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    ドル/円 105.87 〜 106.53
    ユーロ/ドル 1.1000 〜 1.1037
    ユーロ/円 116.57 〜 117.43
    NYダウ +25.96 → 18,559.01ドル
    GOLD +3.00 → 1,332.30ドル
    WTI −0.59 → 44.65ドル
    米10年国債 −0.029 → 1.553%

    本日の注目イベント

    • 独  独6月生産者物価指数
    • 独  独7月ZEW景況感指数
    • 英  英6月雇用統計
    • 米  新規失業保険申請件数
    • 米  企業決算 → モルガンスタンレー、アメックス、インテル

    ドル円は引き続き堅調に推移しています。昨日の東京時間では105円65銭まで売られる場面もありましたが、そこから反発し、NY市場では106円53銭までドル高が進みました。これで、6月24日の「UKショック」から大きく揺れ動いたドル円は、ほぼ元の水準を回復したことになり、ポンド円などのクロス円でも円が売り戻されています。

    あの混乱からまもなく1カ月になろうとしていますが、私も含め、為替を専門的に見ている人たちにとっては予想外な展開が続いていると言っていいと思います。ドル円は再び100円を割り込み、その際には下落の勢いが強いことから、政府日銀が市場介入、あるいは政策発動で円高を阻止し、しばらくもみ合ってから底堅さが確認された後、ドルが上昇に転じるのではないかと予想していました。

    しかしこの1カ月間、ドル円は雇用統計をきっかけに一度だけ100円を割り込みましたが、それはいわば「追い風参考記録」程度の円高でした。それ以来100円以下の取引はなく、昨日は戻り高値を記録するに至っています。米国では株高が続いており、これがリスクオンの流れを誘導している面はあるとしても、少なくとも1カ月前とはセンチメントが変わってきているように感じます。

    IMFは19日、世界経済見通しを発表しました。その中で、今年の世界経済の成長が上向くとの見通しを取り下げています。英国がEUからの離脱を決め、投資家や企業の信頼感が揺らげば打撃はさらに深刻になりかねないと警告しています。(ブルームバーグ)発表によると、今年の世界GDP成長見通しは3.1%と、4月時点の3.2%から引き下げ、2015年と同じ水準としています。その中でも米経済見通しについては、6月時点の予想を据え置き、今年の成長率を2.2%としています。

    このあたりに足元のドルの底堅さの一因があるのかもしれません。昨日発表された住宅着工件数もそうでしたが、米景気は思いのほか堅調だという見方がじわじわと広がっている状況です。足元では、「米利上げはあっても、年内1回あるかないか」という見方がメイン・シナリオではありますが、「最低でも1回はある」という見方も増えつつあります。実際、金利先物市場が示唆する年末までの利上げの確率は44%まで上昇しています。

    日米欧では米国の景気が頭一つ抜けているという見方は以前から堅持してはいましたが、想定よりも早い段階でその認識が広がりつつあるようです。ただそれでもこのまま110円に向うには材料が足らないと見ています。ドル円を取り巻くリスクは依然として混在しています。中国景気、上値が重くなってきた原油価格、あるいは欧州そのものが抱えるリスクも多いと思います。イタリアの金融機関の不良債権や、テロ、英国が離脱するEU経済などが挙げられます。

    本日もドル高を好感し、株価も底堅い動きを見せそうです。予想レンジは105円50銭〜106円80銭程度とします。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 --------
    6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 --------
    6/6 菅・官房長官 「投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、必要な時にはしっかりと対応してもらいたい」記者会見で。 ドル円106円80銭近辺から109円19銭まで上昇
    6/6 イエレン・FRB議長 「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」講演で。 市場はドル高、株価で反応
    6/15 イエレン・FRB議長 「われわれが議論した不確定要因の一つで、この日の決定において考慮された」「米経済見通しに影響を及ぼす可能性があり、その見通しは政策の適切な進路を判断する一因になるだろう」英国の国民投票に関して、FOMC後の記者会見で。 ドル円105円台後半から105円41銭近辺まで下落
    6/21 ドラギ・ECB総裁 「英国のEU離脱を問う国民投票後のいかなる緊急事態にも備えている」欧州議会で。 ドル高株高に寄与
    6/30 カーニー・BOE総裁 「景気見通しは悪化した。夏の間に何らかの金融緩和が必要になる公算が大きい」講演で。 ポンド急落、FTSEは大幅上昇
    7/13 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「インフレ率が来年中には目標に戻ると確信している」「年内に最大2回の追加利上げが適切になる可能性があり、フェデラルファンド(FF)金利は2018年末までに3.0%に近づくと私は予想する」講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和