今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年7月25日(月) 「ドル底堅い動き」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は106円台を回復し、106円40銭まで上昇。株高と長期金利の上昇がドルを支え、今週の日銀会合での緩和観測も徐々に高まっている。
  • ユーロドルは1.0956まで売られ、直近の安値を割り込む。
  • 株式市場は揃って反発。S&P500が最高値を更新し、ダウは53ドル高。
  • 債券相場はほぼ変わらず。長期金利は1.56%台で取引を終える。
  • 金は反落。原油は続落し44ドル台前半に。
    ドル/円 105.78 〜 106.40
    ユーロ/ドル 1.0956 〜 1.1025
    ユーロ/円 116.37 〜 116.93
    NYダウ +53.62 → 18,570.85ドル
    GOLD −7.60 → 1,323.40ドル
    WTI −0.56 → 44.19ドル
    米10年国債 +0.010 → 1.566%

    本日の注目イベント

    • 日  6月貿易収支
    • 独  独7月IFO景況指数

    米株式市場は10日ぶりに反落したが、下落は1日だけで、再び上昇したことでドル円も106円台を回復しています。NY市場では106円40銭までドルが買われ、依然として上値を試す展開と見られます。株価の行方がドル円の方向性を決める流れですが、今週は日米で金融政策会合があるため、結果次第では、上下どちらにも動く可能性があります。

    中国四川省の成都で行われていた「G20」が閉幕しました。英国のEUからの離脱後最初の「G20」であったことから注目していましたが、声明文では「世界経済の回復は続いているが、引き続き望ましい水準より弱い」と指摘し、英離脱の影響には積極的に対応することで合意しました。また為替問題では、「通貨の競争的な切り下げを回避する」と改めて指摘しています。

    会合後の記者会見で黒田日銀総裁は「物価安定のため必要と判断すれば緩和策を講じる」と、いつもの決まり文句を述べていますが、記者団との話しの中で、「中央銀行が金融を緩和している状況下で政府が財政政策を活用すれば、景気に対する効果は大きい」と述べ、政府との協調に前向きな姿勢を見せていました。今週28−29日に行われる金融政策決定会合では、何らか行動を起こすといった見方は高まっており、これがドル円の底堅さの一因になっていると見られます。

    今週日銀が追加緩和に踏み切るかどうかは、個人的にはまだ五分五分と見ていますが、ブルームバーグの調査では、異なっています。ブルームバーグが15−22日にエコノミスト41人を対象に調査した結果、28−29日の会合で追緩和を行うとの予想が32人(78%)と圧倒的多数でした。ただ今年4月の会合前の予想でも緩和実施が多かったにも関わらず「見送り」で、円高と株安が急速に進んだ記憶もまだ鮮明で、追加緩和実施を前提にポジションを構築するわけにはいきませんが、今回の調査の78%が「動く」と予想しているのに対し、4月は緩和期待が高まっていたとはいえ56%だったことは頭の片隅に入れておくべきでしょう。

    今回の会合については、それ程「今やるべき」との見方が強まっており、仮に動かなかった場合には「日銀の本気度が疑われる」といった意見もあるようです。政府の経済対策の詳細は来月早々にも発表される見込みですが、「大規模な経済対策と追加緩和」のセットで実施されれば、やはりその効果は大きいと思われます。

    ドル円は現在(日足)雲の下限をテストしているところです。先週木曜日には107円台半ばまで上昇し、雲の中には入りましたが、抜け切れずに雲の上限に押し戻されました。足元では雲が徐々に下降しているため、107円80銭近辺まで上昇すれば「雲の上抜け」が完成する状況です。今週の日銀会合で上記予想通り追加緩和が実施されれば、雲抜けも十分可能かと思われます。反対に緩和観測が強まっているだけに、「無風」だった場合の影響は4月の再来になることも十分考えられます。本日の予想レンジは106−107円程度見ています。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    6/2 ドラギ・ECB総裁 「われわれは正しい道を進んでいるが、予断は許されない」ECB理事会後の記者会見で。 --------
    6/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「当局の金融政策目標を達成するためにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな上昇ペースが適切だと引き続き考えている」講演で。 --------
    6/6 菅・官房長官 「投機的な動きが継続することがないように、為替市場の動向を緊張感を持って注視し、必要な時にはしっかりと対応してもらいたい」記者会見で。 ドル円106円80銭近辺から109円19銭まで上昇
    6/6 イエレン・FRB議長 「中長期的な物価安定と最大限の持続可能は雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」講演で。 市場はドル高、株価で反応
    6/15 イエレン・FRB議長 「われわれが議論した不確定要因の一つで、この日の決定において考慮された」「米経済見通しに影響を及ぼす可能性があり、その見通しは政策の適切な進路を判断する一因になるだろう」英国の国民投票に関して、FOMC後の記者会見で。 ドル円105円台後半から105円41銭近辺まで下落
    6/21 ドラギ・ECB総裁 「英国のEU離脱を問う国民投票後のいかなる緊急事態にも備えている」欧州議会で。 ドル高株高に寄与
    6/30 カーニー・BOE総裁 「景気見通しは悪化した。夏の間に何らかの金融緩和が必要になる公算が大きい」講演で。 ポンド急落、FTSEは大幅上昇
    7/13 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「インフレ率が来年中には目標に戻ると確信している」「年内に最大2回の追加利上げが適切になる可能性があり、フェデラルファンド(FF)金利は2018年末までに3.0%に近づくと私は予想する」講演で。 --------
    7/19 IMFチーフ・エコノミスト 「IMFとしては介入は、必要もしくは有効な手段とはみていない」「円相場の状況については無秩序とはみていない」ワシントンでの記者会見で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和