今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年8月29日(月) 「『利上げの環境は整った』イエレン議長」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円はイエレンFRB議長の「利上げの環境は整った」との認識を受けて急騰。101円94銭までドルが買われ、約2週間ぶりのドル高水準をつける。
  • ユーロドルは1.13台半ばまで上昇した後急落。9月利上げの可能性が高まったことで、1.11台後半までドル高ユーロ安が進む。
  • 株式市場は利上げ観測の高まりから売られたものの、ナスダックは堅調。ダウは53ドル下落し、ナスダックは6ポイント上昇。
  • 債券相場は大幅に下落。イエレン発言を受けて売りものが優勢となり、10年債利回りは1.63%台まで上昇し、約2カ月半ぶりの高水準を記録。
  • 金は小幅に反発し、原油は続伸。

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    4−6月GDP(改定値)     → +1.1%
    8月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値) → 89.8
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    ドル/円 100.06 〜 101.94
    ユーロ/ドル 1.1180 〜 1.1341
    ユーロ/円 113.15 〜 114.14
    NYダウ −53.01 → 18,395.01ドル
    GOLD +1.30 → 1,325.90ドル
    WTI +0.31 → 47.64ドル
    米10年国債 +0.057 → 1.630%

    本日の注目イベント

    • 英  ロンドン市場休場(サマーバンクホリデー)
    • 米  7月個人所得
    • 米  7月個人支出
    • 米  7月PCEコアデフレーター

    やはりイエレン議長と他のFOMCメンバーとの利上げに関する認識は一致していました。多くの主要メンバーが利上げに対して極めて前向きな発言を繰り返してきた中、ジャクソンホ−ルでのイエレン議長の講演内容が注目されていましたが、議長は「利上げの環境は整った」との認識を示しました。講演内容を受けドル円は一時売られる場面もありましたが、結局ドル高が進み、102円手前の水準までドルが買われ、ユーロドルも1.11台半ばまでドル高が進行しました。

    イエレン議長は講演で、「労働市場の堅調さが続いていることや、経済活動とインフレに対する当局の見通しを考慮すると、フェデラルファンド(FF)金利引き上げの論拠はここ数カ月で強まったと考えられる」と述べました。また、米経済は完全雇用という金融当局の目標に「近づきつつある」とも指摘しています。(ブルームバーグ)

    さらにフィッシャーFRB副議長はメディアとのインタビューで、9月を含む年2回の利上げにも言及しており、これもドル高につながった面もあるようです。結局、市場の利上げに対する悲観的な見方を修正するような形になり、ドルが買われ、債券が売られ、金利が急騰しました。年内1回の利上げは確実になりつつありますが、9月利上げに関してはまだその可能性が高まったとはいえ、確信を持つには至っていないと思われます。ここは、来週の「8月の雇用統計」を見るまでは不安定な状況が続くと見ておくべきでしょう。

    イエレン議長も指摘していたように、労働市場は堅調に推移しています。8月の非農業部門雇用者数が25万人を超えているようだと、9月利上げがぐっと手元に引き寄せられると思いますが、20万人を超えていればまずまずの結果かと思われます。仮に9月に利上げを行い、さらに12月にも行うようだと、ドル円の100円割れはやや遠のきそうですが、それでもまだ105円を超えてさらに上昇するイメージは持てません。それには、やはり9月の日銀会合で何らかの追加的な緩和措置が講じられる必要があろうかと思います。

    黒田総裁は27日に行われたジャクソンホールでのシンポジウムで、必要と判断した場合はちゅうちょなく追加緩和を講じて行く姿勢を改めて示しました。(ブルームバーグ)ドル円はこの影響もあり、週明けの今朝、102円台に乗せる場面もありました。9月の金融会合は日米とも20−21日と、同じ日に開催されます。時差の関係で日銀の結果の方が早く判明しますが、日銀が動き、その後で米利上げが決定されるようだとドル円はかなりの上昇を見せるかもしれません。来週の雇用統計を皮切りに、9月は大相場になる材料が揃っています。

    本日の相場はある程度の変動が予想されます。101円30銭〜102円50銭程度を予想しますが、米利上げ観測の高まりを背景に、やや上目方向で見ています。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    7/13 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「インフレ率が来年中には目標に戻ると確信している」「年内に最大2回の追加利上げが適切になる可能性があり、フェデラルファンド(FF)金利は2018年末までに3.0%に近づくと私は予想する」講演で。 --------
    7/19 IMFチーフ・エコノミスト 「IMFとしては介入は、必要もしくは有効な手段とはみていない」「円相場の状況については無秩序とはみていない」ワシントンでの記者会見で。 --------
    7/19 FOMC声明文 「経済見通しへの短期的なリスクは後退した」「労働力の活用がここ数カ月に一定の増加を見せていることを示している」 --------
    8/1 ダドリー・NY連銀総裁 「年内の追加金融引き締めの可能性を排除するには時期尚早だ」講演で。 --------
    8/3 エバンス・シカゴ連銀総裁 「年内に1回の利上げが恐らく適切になる可能性があるのではないだろうか」記者会見で。 --------
    8/4 カーニー・BOE総裁 「早期に行動し、経済の不確実性を減らす」量的緩和決定後の記者会見で。 --------
    8/11 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「緩和策を解除する緩やかな軌道、アクセルの踏み込み具合を極めてゆっくりと緩めることが適切だ」ワシントンポストとのインタビューで。 --------
    8/16 ダドリー・NY連銀総裁 「追加利上げが適切となる時期がじわじわと近づいている」「9月利上げもあり得る」FOXテレビとのインタビューで。 ドル円99円台半ばから→100円台半ばまで反発
    8/18 グリーンスパン・元FRB議長 「金利は上昇し始めるはずで、そうなった場合は、その速さで我々を驚かせる可能性がある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/18 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「より早期の利上げ開始が一段と円滑で緩やかな正常化プロセスを可能にするだろう」講演で。 株価が下落し、債券も売られる
    8/24 カプラン・ダラス連銀総裁 「労働市場の改善などが続けば、利上げが適切だ。タイミングは明示しないが、利上げの時期は近づいている」日経新聞とのインタビューで。 --------
    8/25 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「米経済は完全雇用に近づいており、インフレは当局の目標に向って上昇してる。利上げは正当化されると」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/26 イエレン・FRB議長 「労働市場の堅調さが続いていることや、経済活動とインフレに対する当局の見通しを考慮すると、フェデラルファンド(FF)金利引き上げの論拠はここ数カ月で強まったと考えられる」ジャクソンホールでの講演で。 ドル円100円台前半から→101円台後半に
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和