今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年9月8日(木) 「ドル円急落後もみ合い」

ひと目で分かる昨晩の動き

欧州市場

  • 東京市場では101円20銭まで下落したドル円でしたが、NY市場ではドル買い戻しの流れが優勢に。原油高や連銀総裁の発言もあり、101円台前半から後半で推移。
  • ユーロドルも1.12台で安定。1.12台半ばを挟んでもみ合う。
  • 株式市場は高安まちまち。ダウは11ドル下げたものの、ナスダックは8ポイント上昇し、続伸。
  • 債券相場は小幅に反落し、長期金利は小幅に上昇。
  • 金は前日の大幅上昇から反落。原油価格は続伸し45ドル台を回復。
    ドル/円 101.36 〜 101.86
    ユーロ/ドル 1.1229 〜 1.1272
    ユーロ/円 114.03 〜 114.43
    NYダウ −11.98 → 18,526.14
    GOLD −4.80  → 1,349.20
    WTI +0.67 → 45.50
    米10年国債 +0.003 → 1.540%

    本日の注目イベント

    • 豪   豪7月貿易収支
    • 日   4−6月GDP(改定値)
    • 日   7月国際収支
    • 日   8月景気ウオッチャー調査
    • 中   中国 8月貿易収支
    • 欧   ECB政策金利発表
    • 欧   ドラギ・ECB総裁記者会見
    • 米   新規失業保険申請件数
    • 米   7月消費者信用残高
    • 加   カナダ7月建設許可件数

    昨日の東京市場ではドル売りに勢いがつき、一時は101円20銭まで円高が進みました。前日までは104円台前半で推移しており、米利上げ観測がドルをサポートする構図でしたが、再び荒っぽい動きを見せています。そもそも今回のドルの上昇は、積みあがった「ドルショ−トの買い戻し」であると、何度かこの欄でも指摘したように、「本格的なドル買い」ではなかったことが判明しました。それでも、昨日の101円台前半までのドル急落には、やや驚きを禁じえません。

    今月20−21日の日銀会合では、何らかのアクションがあるとの見方が強まっていましたが、その期待にブレーキをかけるような発言が報じられたことでドル売りが一気に進んだようです。2週間ほど前には100円台前半までドルが急落し、100円割れは必至と読んでいたところ、FOMC主要メンバーらの相次ぐ「利上げ可能発言」と、ジャクソンホールでのイエレン議長の「利上げの環境は整った」との講演で、104円台前半までドルが買い戻された矢先でのドル急落でした。今年の相場の「難しさ」を象徴するかのような動きです。

    重要なことは、こちらも5日(月)のコメントでも指摘しましたが、足許では日足チャートでの「雲抜け」が失敗に終り、「4度目の正直」には至らなかったことです。「日足」の雲は昨年12月24日に「雲を下抜け」して以来、一度もそのトレンドを変換させることなく下落しています。言い換えれば、それほど強力な「抵抗帯」だと言うことです。従って、この雲を明確に上抜けすれば、「青空」も見え、上昇に弾みがつくと考えられます。

    それには、何と言っても20−21日の日銀会合で「追加緩和」という援軍が必要です。もともと9月のFOMCでの利上げには懐疑的な見方を維持してきましたが、だからと言って、年内の利上げがないわけではないでしょう。ISM非製造業景況指数などが、盛り上がった9月利上げ観測を冷やしたと認識できますが、ドルが100円を底値に反発するには、米国以外からのドルサポート材料が不可欠です。

    日米金融政策会合を控えている以上、現時点では100円を割り込んでドルが大きく売られる可能性は低そうです。めまぐるしく上下するドル円ですが、その行方は結局日米の中銀が鍵を握っているということです。今回の会合は、日米共に同じ日に開催されます。もう2週間ほどはこのような神経質な相場展開が予想されます。そして忘れてはならないのが今夜のECBの金融会合です。ユーロドルの動きに引っ張られ、ドル円にも影響が出ることも十分考えられます。本日の予想レンジは101円〜102円30銭程度と見ています。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    8/1 ダドリー・NY連銀総裁 「年内の追加金融引き締めの可能性を排除するには時期尚早だ」講演で。 --------
    8/3 エバンス・シカゴ連銀総裁 「年内に1回の利上げが恐らく適切になる可能性があるのではないだろうか」記者会見で。 --------
    8/4 カーニー・BOE総裁 「早期に行動し、経済の不確実性を減らす」量的緩和決定後の記者会見で。 --------
    8/11 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「緩和策を解除する緩やかな軌道、アクセルの踏み込み具合を極めてゆっくりと緩めることが適切だ」ワシントンポストとのインタビューで。 --------
    8/16 ダドリー・NY連銀総裁 「追加利上げが適切となる時期がじわじわと近づいている」「9月利上げもあり得る」FOXテレビとのインタビューで。 ドル円99円台半ばから→100円台半ばまで反発
    8/18 グリーンスパン・元FRB議長 「金利は上昇し始めるはずで、そうなった場合は、その速さで我々を驚かせる可能性がある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/18 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「より早期の利上げ開始が一段と円滑で緩やかな正常化プロセスを可能にするだろう」講演で。 株価が下落し、債券も売られる
    8/24 カプラン・ダラス連銀総裁 「労働市場の改善などが続けば、利上げが適切だ。タイミングは明示しないが、利上げの時期は近づいている」日経新聞とのインタビューで。 --------
    8/25 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「米経済は完全雇用に近づいており、インフレは当局の目標に向って上昇してる。利上げは正当化されると」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/26 イエレン・FRB議長 「労働市場の堅調さが続いていることや、経済活動とインフレに対する当局の見通しを考慮すると、フェデラルファンド(FF)金利引き上げの論拠はここ数カ月で強まったと考えられる」ジャクソンホールでの講演で。 ドル円100円台前半から→101円台後半に
    8/30 フィッシャー・FRB副議長 「ぺースを選択することはできるが入ってくるデータに基づいて選ぶことになる」TV番組で。 ドル円102円台前半から→103円台に
    9/5 黒田・日銀総裁 「量、質、金利の部分で拡大は十分可能」講演で。 ドル円103円台後半から103円台半ばへ下落
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和