今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年9月12日(月) 「ボストン連銀総裁発言からダウ急落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • ドル円は順調に上昇し103円台を回復したが、ボストン連銀総裁の発言に株価が急落したことで102円55銭まで売られる。
  • ユーロドルは反落。1.12台後半から1.12割れまで売られる。
  • 株式市場は揃って大幅に下落。ローゼングレンボストン連銀総裁が「緩やかな引き締めが適切」と述べたことでダウは394ドル下落し、2カ月ぶりの安値を記録。
  • 債券相場も急落。利上げ観測の台頭から売り物が優り、長期金利は1.67%台まで上昇。日独の長期金利が上昇したことも売りを誘った。
  • 金は続落し、原油も大幅に反落。
    ドル/円 102.55 〜 103.06
    ユーロ/ドル 1.1199 〜 1.1271
    ユーロ/円 115.08 〜 115.95
    NYダウ −394.46 → 18,085.45
    GOLD −7.10 → 1,334.50
    WTI −1.74 → 45.88
    米10年国債 +0.074 → 1.675%

    本日の注目イベント

    • 米 ロックハート・アトランタ連銀総裁講演
    • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
    • 米 ブレイナード・FRB理事講演

    ドル円は底堅い動きを見せ、一時は103円台を回復する水準まで買われたものの、ボストン連銀総裁の発言で、NY株式市場が大幅な下落を見せたことで102円台半ばまで押し戻されました。ただ、米国債も売られ、長期金利が上昇したことでドルの下落は、株価の下落の割には緩やかだったと言えます。米利上げを巡っては、株価にとっては弱気材料と捉えられる一方、ドル円にとっては好材料と見られ、市場がそのどちらにより強く反応するのかを見る必要があります。br>ボストン連銀のローゼングレン総裁は9日、マサチューセッツ州で講演を行い、「緩やかなペースで緩和解除を続けなければ、この回復局面は長くなるより、むしろ短くなる可能性がある」と述べ、利上げを長く待ち続けると、米経済が過熱する恐れがあると警鐘をならしたかたちになりました。

    この発言をきっかけに株価が大きく売りこまれ、長期金利も急上昇しました。発言内容からすれば、それ程相場を大きく動かすものではなかったと思えますが同総裁はもともと「ハト派」と見られていたことが、相場の振幅を大きくしたものと思われます。またNY市場はシステム売買が盛んで、ある一定の値幅を超えると、さらに同じ方向に売り買いが出る傾向があります。今回のNYダウの400ドルに迫る下落も、「売りが売りを呼ぶ」展開だったようです。6月24日のイギリスがEUからの離脱を決めた日のドル円や、ポンド円の急落も同じような動きだったと理解できます。

    これまでも何度か指摘したように、市場は20−21日のFOMCで「白黒」がはっきりするまではこのような神経質な動きが予想されます。ただ冷静に考えれば、これまでの一連の連銀総裁や、イエレン議長、あるいはフィッシャー副議長の「タカ派的」な発言は、極端に悲観的だった市場の利上げに対する見方を、「修正」するという意味合いだったと考えられます。従って、もともと9月利上げはないという前提に立てば、12月利上げへの地ならしと考えることができるのではないかと思われます。「年内利上げはない」といった見方に警鐘を与えた程度と考えれば、FRBが通常の金融スタンスに戻っていることを市場に再認識させたとも言えます。

    週明けの今日も、まず日本株は売りから始まりそうです。為替がそれ程円高に傾いていないことから、下値は限られると思われ、日経平均株価の大幅下落がなければ、米金利の上昇がドル円をサポートしそうです。それでも日経平均株価が400―500円下げるようなことになると、102円を割り込むことも予想されます。株価をにらみながらの展開でしょう。レンジは101円80銭〜102円80銭程度を予想します。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    8/1 ダドリー・NY連銀総裁 「年内の追加金融引き締めの可能性を排除するには時期尚早だ」講演で。 --------
    8/3 エバンス・シカゴ連銀総裁 「年内に1回の利上げが恐らく適切になる可能性があるのではないだろうか」記者会見で。 --------
    8/4 カーニー・BOE総裁 「早期に行動し、経済の不確実性を減らす」量的緩和決定後の記者会見で。 --------
    8/11 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「緩和策を解除する緩やかな軌道、アクセルの踏み込み具合を極めてゆっくりと緩めることが適切だ」ワシントンポストとのインタビューで。 --------
    8/16 ダドリー・NY連銀総裁 「追加利上げが適切となる時期がじわじわと近づいている」「9月利上げもあり得る」FOXテレビとのインタビューで。 ドル円99円台半ばから→100円台半ばまで反発
    8/18 グリーンスパン・元FRB議長 「金利は上昇し始めるはずで、そうなった場合は、その速さで我々を驚かせる可能性がある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/18 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「より早期の利上げ開始が一段と円滑で緩やかな正常化プロセスを可能にするだろう」講演で。 株価が下落し、債券も売られる
    8/24 カプラン・ダラス連銀総裁 「労働市場の改善などが続けば、利上げが適切だ。タイミングは明示しないが、利上げの時期は近づいている」日経新聞とのインタビューで。 --------
    8/25 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「米経済は完全雇用に近づいており、インフレは当局の目標に向って上昇してる。利上げは正当化されると」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/26 イエレン・FRB議長 「労働市場の堅調さが続いていることや、経済活動とインフレに対する当局の見通しを考慮すると、フェデラルファンド(FF)金利引き上げの論拠はここ数カ月で強まったと考えられる」ジャクソンホールでの講演で。 ドル円100円台前半から→101円台後半に
    8/30 フィッシャー・FRB副議長 「ぺースを選択することはできるが入ってくるデータに基づいて選ぶことになる」TV番組で。 ドル円102円台前半から→103円台に
    9/5 黒田・日銀総裁 「量、質、金利の部分で拡大は十分可能」講演で。 ドル円103円台後半から103円台半ばへ下落
    9/8 ドラギ・ECB総裁 「行動する決定を正当化できるほど重大な変化はなかったというのが当局の判断だ」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.12台から1.13台へ。ドル円は101円台半ばから102円60銭まで上昇。
    9/9 ローゼングレン・ブストン連銀総裁 「緩やかなペースで緩和解除を続けなければ、この回復局面は長くなるよりむしろ短くなる可能性がある」講演で。 NYダウ394ドル下落し、長期金利は上昇。ドルも売られる。
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和