今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年9月13日(火) 「FRB理事発言を受けドル下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 東京時間では102円台を維持していたドル円は欧州市場に入るとジリジリと売られ、102円を割り込む。NYではブレイナードFRB理事の発言を受け101円56銭までドル安が進む。
  • FRB高官からの利上げに慎重な発言がドル売りユーロ買いにつながり、ユーロドルは1.1268まで上昇。
  • 先週末大幅安で引けた株式市場はブレイナードFRB理事の発言で安心感が広がり急反発。ダウは239ドル上昇し、他の2指数も揃って反発。
  • 債券相場も利上げ観測の後退から反発。長期金利は小幅に低下し、1.663%で引ける。
  • 金は4日続落し1325ドル台に。原油は反発。
    ドル/円 101.56 〜 102.08
    ユーロ/ドル 1.1214 〜 1.1268
    ユーロ/円 114.24 〜 114.64
    NYダウ +239.62 → 18,325.07
    GOLD −8.90 → 1,325.60
    WTI +0.41 → 46.29
    米10年国債 −0.003 → 1.663%

    本日の注目イベント

    • 中 中国 8月工業生産
    • 中 中国 8月小売売上高
    • 独 独9月ZEW景況感指数
    • 欧 ユーロ圏9月ZEW景況感調査
    • 英 英8月物価統計
    • 米 8月財政収支

    注目のブレイナードFRB理事の講演では、利上げに対して「慎重さ」の維持が必要との内容に、先週末とは打って変わって、ドル安、株高、債券高が進み、ドル円は101円56銭まで売られる局面もありました。NYダウは239ドル反発し、先週末の大幅安の6割ほど戻したかたちです。

    昨日のブレイナードFRB理事の講演が注目されたのには幾つかの理由があります。氏は、もしクリントン大統領が誕生すれば、財務長官の有力候補の一人です。また、FOMCを1週間後に控えていることから、昨日を最後にFOMCメンバーは公式の場での発言は控えるというルールがあります。(ブラックアウト期間)そのため、昨日はブレイナード理事だけではなく、アトランタ連銀やミネアポリス連銀総裁の講演もあり、いわば駆け込み状態でした。

    ブレイナード理事はさらに「ハト派」の重鎮としても知られ、先週末に講演を行ったボストン連銀のローゼングレン総裁と同じように、「ハト派」の代表格です。ローゼングレン総裁は、利上げを長く待ち続ければ米経済が過熱するリスクがあると語り、「タカ派」に変身した経緯があっただけに、ブレイナード理事がどのような発言をするのかが注目されたわけです。もし、氏が「タカ派」に変身するようだと、9月利上げ観測が急速に高まり状況が変わる可能性もあったわけです。

    ブレイナード理事は「先制的に政策を引き締める論拠は弱まっている」と述べ、金融引き締めに当たっては今後も慎重さは必要であるとの認識を示しました。(ブルームバーグ)株式市場はこの発言を好感し、ダウは急速に反発し、一方為替市場では金利が上がらないとの見方から、ドルが売られたという次第です。これで来週のFOMCまでは要人発言もなく後は、経済指標次第ということになります。

    昨日はアトランタ連銀総裁や、ミネアポリス連銀総裁も利上げには慎重な姿勢だったことを考えても、9月利上げの可能性は非常に低いと思われます。ISM製造業、非製造業景況指数が大きく下振れするなど、経済指標もまだら模様です。「利上げができない状況ではないが、9月に利上げを行う論拠がみつからない」といった見方が支持されるような状況だと見ています。

    本日はNY株が反発したにも関わらず、日本株の上昇は限定的と見られます。為替が円高に振れたことが重石となっており、輸出株の戻りが弱いと見ています。予想レンジは101円40銭〜102円40銭程度ですが、上値が重いものの、101円を攻めるには材料不足といったところです。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    8/1 ダドリー・NY連銀総裁 「年内の追加金融引き締めの可能性を排除するには時期尚早だ」講演で。 --------
    8/3 エバンス・シカゴ連銀総裁 「年内に1回の利上げが恐らく適切になる可能性があるのではないだろうか」記者会見で。 --------
    8/4 カーニー・BOE総裁 「早期に行動し、経済の不確実性を減らす」量的緩和決定後の記者会見で。 --------
    8/11 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「緩和策を解除する緩やかな軌道、アクセルの踏み込み具合を極めてゆっくりと緩めることが適切だ」ワシントンポストとのインタビューで。 --------
    8/16 ダドリー・NY連銀総裁 「追加利上げが適切となる時期がじわじわと近づいている」「9月利上げもあり得る」FOXテレビとのインタビューで。 ドル円99円台半ばから→100円台半ばまで反発
    8/18 グリーンスパン・元FRB議長 「金利は上昇し始めるはずで、そうなった場合は、その速さで我々を驚かせる可能性がある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/18 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「より早期の利上げ開始が一段と円滑で緩やかな正常化プロセスを可能にするだろう」講演で。 株価が下落し、債券も売られる
    8/24 カプラン・ダラス連銀総裁 「労働市場の改善などが続けば、利上げが適切だ。タイミングは明示しないが、利上げの時期は近づいている」日経新聞とのインタビューで。 --------
    8/25 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「米経済は完全雇用に近づいており、インフレは当局の目標に向って上昇してる。利上げは正当化されると」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/26 イエレン・FRB議長 「労働市場の堅調さが続いていることや、経済活動とインフレに対する当局の見通しを考慮すると、フェデラルファンド(FF)金利引き上げの論拠はここ数カ月で強まったと考えられる」ジャクソンホールでの講演で。 ドル円100円台前半から→101円台後半に
    8/30 フィッシャー・FRB副議長 「ぺースを選択することはできるが入ってくるデータに基づいて選ぶことになる」TV番組で。 ドル円102円台前半から→103円台に
    9/5 黒田・日銀総裁 「量、質、金利の部分で拡大は十分可能」講演で。 ドル円103円台後半から103円台半ばへ下落
    9/8 ドラギ・ECB総裁 「行動する決定を正当化できるほど重大な変化はなかったというのが当局の判断だ」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.12台から1.13台へ。ドル円は101円台半ばから102円60銭まで上昇。
    9/9 ローゼングレン・ブストン連銀総裁 「緩やかなペースで緩和解除を続けなければ、この回復局面は長くなるよりむしろ短くなる可能性がある」講演で。 NYダウ394ドル下落し、長期金利は上昇。ドルも売られる。
    9/12 ブレイナード・FRB理事 「先制的に政策を引き締める論拠は弱まっている」講演で。 ドル円下落。NYダウは急反発
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和