今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年9月15日(木) 「ドル円「往って来い」の展開」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 東京市場で103円台前半まで上昇したドル円は株価が下げ、さらに長期金利が低下したことで反落。102円24銭までドル安が進み、日米の中銀政策会合までは神経質な展開が続く。
  • ユーロドルは前日と同様な展開。1.12台前半から後半で、もみ合う。
  • 株式市場は朝方は反発して始まったものの、原油価格が43ドル台まで下落したことで、エネルギー株が大きく売られる。ダウは31ドル下げ、ナスダックは小幅に上昇。
  • 債券市場は反発。株価の下落から買い物が入り、長期金利は小幅に低下し1.70%台を割り込む。
  • 金は6日ぶりに反発。原油は在庫の拡大懸念から大幅に続落。前日比1ドル32セント下げ、43ドル58セントで取引を終える。
    ドル/円 102.24 〜 102.97
    ユーロ/ドル 1.1217 〜 1.1275
    ユーロ/円 114.99 〜 115.54
    NYダウ −31.98 → 18,034.77
    GOLD +2.40 → 1,326.10
    WTI −1.32 → 43.58
    米10年国債 −0.029 → 1.698%

    本日の注目イベント

    • 豪 豪8月雇用統計
    • 欧 ユーロ圏7月貿易収支
    • 英 英8月小売売上高
    • 英 BOE金融政策発表
    • 英 BOE議事録
    • 米 8月小売売上高
    • 米 新規失業保険申請件数
    • 米 8月生産者物価指数
    • 米 9月NY連銀製造業景気指数
    • 米 8月鉱工業生産

    ドル円は「往って来い」の展開です。昨日の午後には103円34銭近辺までドルが買われたものの、NYでは103円台を試すこともなく、102円台前半までドル安が進みました。もともと米長期金利の上昇に支えられていたドル円は、金利が下がるとその流れは反転してしまい、昨日は金利上昇一服がドルを押し戻したかたちでした。

    来週のFOMCを巡る思惑が、株と債券の下落につながり、長期金利が上昇し、「ドル高株安」の現象が起きています。昨日はそれに加え、WTI原油価格が続落し、ほぼ2週間ぶりの安値を付け、株価を押し下げています。先週の原油在庫が予想外に減少したものの、製油所が数週間内にメンテナンスで操業停止に入るため、原油在庫は再び膨張すると見込まれている(ブルームバーグ)ことが売り材料となっています。

    原油価格が43ドル台半ばまで下げたことで、昨日はエネルギー株が大きく売られ、株価の下げを主導したかたちです。NYダウは辛うじて1万8000ドル台は維持していますが、この大台を割り込むと下げが拡大する懸念もあります。ダウは8月半ばには1万8600ドル台の最高値を記録し、その後は底堅い動きを見せていましたが、先週からは利上げが意識され売り圧力が増している状況です。そもそも現在の株価が「買われすぎ」との指摘が一部にはありますが、米国では歴史的な低金利が続き、配当利回りが長期債の利回りを上回っている投資環境の中では、安定的に資金流入があると見られます。また、仮に年内1回の利上げがあったとしても、今後も引き続き緩やかな利上げペースが見込まれており、米株価の長期低迷は予想しにくいと思われます。

    いよいよ来週には日米の金融会合が同時に開催されます。市場の関心は、FRBよりも日銀と見られます。「総括的な検証」を行うことになっていますが、日銀がこれまでの政策をどのように総括し、そしてこれから何を行うのかが最大の焦点です。報道ではマイナス金利の深堀を進めるのではないかとのことですが、マイナス金利がさらに拡大しても、それが株高・円安にはつながらず、金利だけが下がるといった「負の影響」も懸念されます。事実マイナス金利が0.3%まで拡大した7月下旬でも、ドル円は104円台で上値は重く、株価も低調でした。

    果たして、来週の政策変更がマーケットにどのような影響を与えるのか、じっくりと見てみたいと思います。本日は米国で小売売上高やNY連銀製造業景気指数など、そこそこ重要な経済指標が発表され、その結果次第で利上げ観測も上下します。値動きもある程度出るのではないかと思われ、レンジは101円80銭〜103円30銭程度を予想します。また原油価格の動きも注意が必要で、ここから一段と下げるようだと、波乱要因となります。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    8/1 ダドリー・NY連銀総裁 「年内の追加金融引き締めの可能性を排除するには時期尚早だ」講演で。 --------
    8/3 エバンス・シカゴ連銀総裁 「年内に1回の利上げが恐らく適切になる可能性があるのではないだろうか」記者会見で。 --------
    8/4 カーニー・BOE総裁 「早期に行動し、経済の不確実性を減らす」量的緩和決定後の記者会見で。 --------
    8/11 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「緩和策を解除する緩やかな軌道、アクセルの踏み込み具合を極めてゆっくりと緩めることが適切だ」ワシントンポストとのインタビューで。 --------
    8/16 ダドリー・NY連銀総裁 「追加利上げが適切となる時期がじわじわと近づいている」「9月利上げもあり得る」FOXテレビとのインタビューで。 ドル円99円台半ばから→100円台半ばまで反発
    8/18 グリーンスパン・元FRB議長 「金利は上昇し始めるはずで、そうなった場合は、その速さで我々を驚かせる可能性がある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/18 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「より早期の利上げ開始が一段と円滑で緩やかな正常化プロセスを可能にするだろう」講演で。 株価が下落し、債券も売られる
    8/24 カプラン・ダラス連銀総裁 「労働市場の改善などが続けば、利上げが適切だ。タイミングは明示しないが、利上げの時期は近づいている」日経新聞とのインタビューで。 --------
    8/25 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「米経済は完全雇用に近づいており、インフレは当局の目標に向って上昇してる。利上げは正当化されると」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/26 イエレン・FRB議長 「労働市場の堅調さが続いていることや、経済活動とインフレに対する当局の見通しを考慮すると、フェデラルファンド(FF)金利引き上げの論拠はここ数カ月で強まったと考えられる」ジャクソンホールでの講演で。 ドル円100円台前半から→101円台後半に
    8/30 フィッシャー・FRB副議長 「ぺースを選択することはできるが入ってくるデータに基づいて選ぶことになる」TV番組で。 ドル円102円台前半から→103円台に
    9/5 黒田・日銀総裁 「量、質、金利の部分で拡大は十分可能」講演で。 ドル円103円台後半から103円台半ばへ下落
    9/8 ドラギ・ECB総裁 「行動する決定を正当化できるほど重大な変化はなかったというのが当局の判断だ」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.12台から1.13台へ。ドル円は101円台半ばから102円60銭まで上昇。
    9/9 ローゼングレン・ブストン連銀総裁 「緩やかなペースで緩和解除を続けなければ、この回復局面は長くなるよりむしろ短くなる可能性がある」講演で。 NYダウ394ドル下落し、長期金利は上昇。ドルも売られる。
    9/12 ブレイナード・FRB理事 「先制的に政策を引き締める論拠は弱まっている」講演で。 ドル円下落。NYダウは急反発
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和