今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2016年9月27日(火) 「投資家リスク回避の姿勢強める」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 日欧で株価が下げたことで、NYでも株安、債券高が進み、リスクオフからドル円は下落。一時100円25銭までドルが売られ、今朝から始まる米大統領候補の直接対決も不安材料に。
  • ユーロドルは小幅に続伸。ドルが売られたことと、独IFO景況指数が予想を上回ったことが材料に1.1280までユーロ高が進む。
  • 株式市場は大幅続落。ドイツ銀行株が大きく売られたことで、金融株を中心に大幅安。ダウは166ドル下落し、1万8000ドル台に。
  • 世界的な株安に加え、今朝から始まる大統領候補者の討論会を控え、安全資産の債権が買われる。長期金利は1.58%台まで低下。
  • ドル安から金、原油は共に反発。

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    8月新築住宅販売件数 → 60.9万件
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    ドル/円 100.25 〜 100.56
    ユーロ/ドル 1.1248 〜 1.1280
    ユーロ/円 112.81 〜 113.22
    NYダウ −166.62 → 18,094.83ドル
    GOLD +2.40 → 1,344.10ドル
    WTI +1.45 → 45.93ドル
    米10年国債 −0.034 → 1.584%

    本日の注目イベント

    • 日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(7月28日、29日分
    • 中 中国8月工業利益
    • 欧 ユーロ圏8月マネーサプライ
    • 米 7月ケース・シラ−住宅価格指数
    • 米 9月消費者信頼感指数
    • 米 9月リッチモンド連銀製造業指数

    ドル円の方向をやや下に見ていましたが、昨日のNY市場では100円25銭までドル安が進み、先週東京市場が祝日で休場だった時とほぼ同じ水準までドルが売られて来ました。米大統領候補が直接対決することが不安視され、日米欧で株価が下落しリスクを回避する動きが強まって来ました。加えて昨日はドイツ銀行の株価が再び大きく売られたことも円買いを後押ししました。

    ブルームバーグによると、ドイツ銀行株は米国での取引で7.1%下落し、同行は住宅ローン担保証券(RMBS)を巡る司法省の調査を決着させるため140億ドル(約1兆4000億円)の支払いを迫られる恐れがあり、増資が必要になるとの懸念が浮上しているようです。また、フォ−クス誌がドイツ政府は支援の可能性を否定したと報じたことも、不安を高めたと伝えています。

    昨日のNY市場では、新築住宅販売件数が60.9万件と予想を上回り、WTI原油価格も急反発し、ドルがそれ程売られる環境ではなかったと思われますが、やはり上記「2つのリスク」が投資家の安全志向を刺激したと見られます。特に市場が注目しているのが、日本時間の今朝10時から始まるクリントン候補とトランプ候補の直接対決です。言うまでもなくトランプ候補のあの言動は、もし大統領になったら日本にとっても脅威です。同氏への対話のルートも日本政府は持ち合わせていないことから在日駐留米軍の費用問題も含めて、これまでのように友好関係を維持するのも簡単ではなくなります。

    もっとも、クリントン氏が大統領になっても、オバマ政権で国務大臣を勤めた人物であることから、安心感は各段にありますが、財務長官にブレイナードFRB理事を起用すると見られています。同理事は極めてハト派的であることからドル安要因とみる向きもあり、いずれにしても円が買われ易い状況であると言えます。

    足元の動きは100円前後ではドル買い意欲もあり底堅い印象もあります。ショートポジションの買戻しも、この水準では見られると思いますが、それでも反発力が弱かったら100円の大台を崩しにかかる投機筋もいるでしょう。100円を割り込んだら95円程度まで円高が進むと予想する専門家もいます。6月24日のBrexitの際に記録した99円前後を割り込むようだと、その可能性は急速に高まると、個人的には見ています。100円という水準はテクニカル的にもまた、日本の輸出企業によっても重要なレベルです。底堅い水準だけに、一旦割り込むと新しいレンジを形成し易いことも過去の経験から分かっています。10時から始まる討論会の行方を見ながら神経質な動きが続くでしょう。予想レンジは99円50銭〜100円80銭程度と見ます。

    What's going on?

    What's going on ?」とは・・・
    会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
    日時発言者内容市場への影響
    8/1 ダドリー・NY連銀総裁 「年内の追加金融引き締めの可能性を排除するには時期尚早だ」講演で。 --------
    8/3 エバンス・シカゴ連銀総裁 「年内に1回の利上げが恐らく適切になる可能性があるのではないだろうか」記者会見で。 --------
    8/4 カーニー・BOE総裁 「早期に行動し、経済の不確実性を減らす」量的緩和決定後の記者会見で。 --------
    8/11 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「緩和策を解除する緩やかな軌道、アクセルの踏み込み具合を極めてゆっくりと緩めることが適切だ」ワシントンポストとのインタビューで。 --------
    8/16 ダドリー・NY連銀総裁 「追加利上げが適切となる時期がじわじわと近づいている」「9月利上げもあり得る」FOXテレビとのインタビューで。 ドル円99円台半ばから→100円台半ばまで反発
    8/18 グリーンスパン・元FRB議長 「金利は上昇し始めるはずで、そうなった場合は、その速さで我々を驚かせる可能性がある」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/18 ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁 「より早期の利上げ開始が一段と円滑で緩やかな正常化プロセスを可能にするだろう」講演で。 株価が下落し、債券も売られる
    8/24 カプラン・ダラス連銀総裁 「労働市場の改善などが続けば、利上げが適切だ。タイミングは明示しないが、利上げの時期は近づいている」日経新聞とのインタビューで。 --------
    8/25 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁 「米経済は完全雇用に近づいており、インフレは当局の目標に向って上昇してる。利上げは正当化されると」ブルームバーグとのインタビューで。 --------
    8/26 イエレン・FRB議長 「労働市場の堅調さが続いていることや、経済活動とインフレに対する当局の見通しを考慮すると、フェデラルファンド(FF)金利引き上げの論拠はここ数カ月で強まったと考えられる」ジャクソンホールでの講演で。 ドル円100円台前半から→101円台後半に
    8/30 フィッシャー・FRB副議長 「ぺースを選択することはできるが入ってくるデータに基づいて選ぶことになる」TV番組で。 ドル円102円台前半から→103円台に
    9/5 黒田・日銀総裁 「量、質、金利の部分で拡大は十分可能」講演で。 ドル円103円台後半から103円台半ばへ下落
    9/8 ドラギ・ECB総裁 「行動する決定を正当化できるほど重大な変化はなかったというのが当局の判断だ」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.12台から1.13台へ。ドル円は101円台半ばから102円60銭まで上昇。
    9/9 ローゼングレン・ブストン連銀総裁 「緩やかなペースで緩和解除を続けなければ、この回復局面は長くなるよりむしろ短くなる可能性がある」講演で。 NYダウ394ドル下落し、長期金利は上昇。ドルも売られる。
    9/12 ブレイナード・FRB理事 「先制的に政策を引き締める論拠は弱まっている」講演で。 ドル円下落。NYダウは急反発
    9/23 ローゼングレン・ブストン連銀総裁 「緩やかで段階的な引き締めを今開始すべきだと考えている。今それをしなければ回復の期間の長さや持続性をより大きなリスクにさらすと懸念するからだ」講演で。 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和